“トヨタの顔” カローラがハッチバックから先行フルモデルチェンジ│スポーティイメージの裏に込められた意味とは!?【ニューヨークショー2018】

12代目となる“トヨタの顔” 新型カローラハッチバックが登場

1966年に初代モデルが登場して以降、進化・熟成を行なってきたトヨタ カローラ。

累計4500万台以上を販売し、名実ともにトヨタの「顔」と言える存在である。しかし、ベストセラーならではの問題も抱えている。失敗が許されないため保守的になりがちで、更に世代を重ねるごとにユーザーの高齢化も課題となっているそうだ。

生まれ変わったカローラ

2016年に生誕50周年を迎えたが、カローラのチーフエンジニアで小西良樹さんは「次の50年に向けたファーストバッターとして大きく変える必要がある」と考えた。

それがニューヨークショー2018でお披露目された12代目だ。驚きなのは、セダンではなくまずはハッチバックからお披露目されたこと。恐らく歴代カローラ史上初の出来事だろう。

「ハッチバックを最初にお披露目したのは、カローラが生まれ変わったことを伝えたかった事が大きいですね。スポーティなイメージを高め、楽しく走れるクルマ……ある意味『原点回帰』ですね。また、若い人にも乗ってもらいたいと言うメッセージも込めています」。

ちなみに現在のカローラ購入者の平均年齢が60歳を超えているそうだ。

「これまで支えてくれたシニアの方も大事ですが、カローラを知らない若い世代に『こんなクルマがありますよ!!』と打ち出していきたいと思っています」。

2月下旬に開催されたジュネーブショー2018で新型オーリスが世界初公開されているが、カローラハッチバックは基本的には同じと考えていい。更に言えば日本向けは「カローラ●●●●」とサブネームが付くそうだ。

初代カローラFX以来のインパクト

エクステリアはオーリスの流れを組んだデザインだが、より立体的で力強いフォルムへと進化。歴代のカローラハッチバックを振り返ると比較的コンサバなデザインが多かったが、新型は「2BOX上級生」のキャッチが話題となった初代カローラFX以来のインパクトだ。ちなみにボディサイズは全長4370×全幅1790×全高1435mm、ホイールベース2640mmとなっている。

カローラの刷新

インテリアは奇を狙わずシンプルなレイアウトで、薄型インパネと連続したトリムにより解放感にこだわったデザインだ。質感にかなりこだわっており、レクサス顔負けのクオリティを実現。この辺りはバブル期に開発された100系を思い出す。

「あのカローラがこんなに立派になってしまって……」と言う人もいると思うが、それも含めて「カローラの刷新」なのだ。

プラットフォームはプリウス/C-HRにも採用されるTNGA「GA-C」を採用。20mmの低重心化をはじめとする基本性能のレベルアップに加えて、既販モデルの知見をフィードバックさせることで、より高いレベルの走りを実現しているそうだ。

「カローラは12代目以降、スポーティなモデルになって展開していくつもりです。このクラスはコンペティターがたくさん存在します。世界ではVW ゴルフ。北米でホンダ シビックの人気が高いので、気持ちの中では『追いつけ追い越せ』です。ただ、まだ発売までにやることはたくさんありますよ」。

一貫してスポーティなイメージを持たせて展開していきたい

パワートレインは2月に技術発表され2.0リッター直噴「ダイナミックフォースエンジン」に発進用ギア付のCVT「ダイレクトシフトCVT」もしくは、こちらも新開発の「6速MT」を組み合わせる。北米仕様はこれ一本のラインアップだが、日本向けはこれとは異なるパワートレインを用意しているそうだ。1ヶ月前にジュネーブショーでお披露目された欧州向けのオーリスは1.2リッターターボと2種類のハイブリッド(1.8リッター/2.0リッター)を用意するが、果たして!?

もちろん、カローラシリーズは様々なボディバリエーションを持つが、12代目はその辺りの展開はどのような感じだろうか?

「もちろん考えていますが、一貫してスポーティなイメージを持たせて展開していきたいと思っています」

スポーツバージョン“GRMN”の登場にも期待がかかる

VW ゴルフには「GTI」、ルノー・メガーヌには「R.S.(ルノー・スポール)」ホンダ シビックには「タイプR」とスポーツモデルが用意されるが、カローラハッチバックはどうだろうか? トヨタには「GRシリーズ」があるが……。

「私はそういうモデルが凄く好きですが、やはり必要ですよね?」

今回、カローラハッチバックの登場に合わせて、フォーミュラドリフト参戦マシンもお披露目。

駆動方式はFFからFRに変更、エンジンは2AR(縦置き)+ターボ+NOS により1000hpを誇るモンスターマシンだが、筆者はこのクルマをジックリと観察、運転席に座って製作者と熱心に話をする小西CEの姿を見ている。彼の頭の中には、スポーツバージョン(GRMN!?)の構想がすでにでき上がっているのかもしれない。

[Text:山本 シンヤ/Photo:トヨタ自動車]

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山本 シンヤ
筆者山本 シンヤ

自動車メーカー商品企画、チューニングメーカー開発を経て、自動車雑誌の世界に転職。2013年に独立し。「造り手」と「使い手」の両方の気持ちを“解りやすく上手”に伝えることをモットーに「自動車研究家」を名乗って活動をしている。西部警察は子供時代にリアルでTV放送を見て以来大ファンに。現在も暇があれば再放送を入念にチェックしており、当時の番組事情の分析も行なう。プラモデルやミニカー、資料の収集はもちろん、すでにコンプリートBOXも入手済み。現在は木暮課長が着るような派手な裏地のスーツとベストの購入を検討中。記事一覧を見る

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