三菱自「燃費不正」問題の測定方法『惰行法』と『高速惰行法』の違いとは

三菱自「燃費不正」問題の測定方法『惰行法』と『高速惰行法』の違いとは
シャシダイナモメータ計測 三菱eKワゴン エンジン 三菱eKワゴン メーター 三菱自動車本社(田町) 三菱自動車本社(田町) 三菱自動車本社(田町) 三菱自動車本社(田町) 平成27年度業績概況説明会:三菱自動車本社 平成27年度業績概況説明会:三菱自動車本社 平成27年度業績概況説明会:三菱自動車本社 平成27年度業績概況説明会:三菱自動車本社 画像ギャラリーはこちら

空気抵抗の差を反映した負荷を掛けるという考え方はどちらも同じ

シャシダイナモメータ計測

三菱自動車の燃費不正の問題で、走行抵抗の計り方に『惰行法』と『高速惰行法』という二つのタイプが出てくる。大雑把に言って日本は前者を、アメリカで後者を採用していると言われているものの、これについて計り方を説明しているメディアは無い。

簡単に紹介してみたいと思う。

ご存知の通りシャシダイナモ測定はクルマを動かさず行うため、車重が同じならどんなボディ形状であっても同じ燃費になってしまう。実際は空気抵抗の違いで燃費も大きく変わってくる。

そこでシャシダイナモ測定に空気抵抗の差を反映した負荷を掛けてやりましょう、というのが基本的な考え方。

まず『惰行法』だけれど、車速20km/hの走行抵抗を計る場合、車速25km/hでニュートラルにする。そして10km/h落ちるまでの時間を計り、抵抗を算出。

1回だと正確じゃないし、風向きにもよる(試験は基本的に無風の日に行う)。そこで3回以上往復し、平均値を採用することになってます。

ちなみに3回のバラ付きが大きければ4回、5回と行っていく。全く同じ方法で走行抵抗を10km/h刻み取り、走行抵抗を出す。90km/hまで取るとなれば、最低3往復を7回行わなくてはならない。

まぁ手間が掛かると言えばその通り。ここで出た車速毎の抵抗係数をシャシダイナモに負荷として掛けてやると言うのが惰行法。

惰行法と高速惰行法による走行抵抗の差は大差なし

三菱eKワゴン メーター平成27年度業績概況説明会:三菱自動車本社

逆に『高速惰行法』はシンプル。車速を150km/h程度まで上げておき、そこから1秒ごとに落ちる速度を測っていく。1秒で落ちる速度=走行抵抗ということになります。

高速域では空気抵抗がハッキリ反映されるため、正確な数値になると言われている。ただ低速域は少しバラつく傾向。

走行試験は往復で4回以上行えば良く、時間も掛からない。どちらの計測方法も、空気抵抗+タイヤの転がり抵抗の数値になるため、絶対的な抵抗という点では大差なし。

ただ、三菱自動車によれば3%程度「高速惰行法」の方が悪い数値になるため、日本で計測するときには補正しているそうな。

具体的に書くと高速惰行法での走行抵抗が100と出たら、97にして日本の燃費試験のデータにしていたということ。

ここまで読んで頂ければ解る通り、惰行法と高速惰行法による走行抵抗の差は無視出来るレベルだと思う。ただ決まり通りにやらなかった、という事実は明らかな法令違反だと考えます。

[Text:国沢光宏]

この記事の画像ギャラリーはこちら

  すべての画像を見る >

【PR】MOTAおすすめコンテンツ

検索ワード

国沢 光宏
筆者国沢 光宏

1958年生まれ。ベストカーガイド編集部員を経て自動車評論家に。空気を全く読まず言いたいことを言い、書きたいことを書くので自動車メーカーから嫌われている。現在所有しているクルマは日産 リーフやトヨタ MIRAIなど多数。趣味はラリーに出場すること。人気のない(本人談)Webサイトを運営中。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

MOTA編集方針

「車好きのみんなが見ているメルマガ」やSNSもやってます!
カー用品・カスタムパーツ

愛車の売却を、もっと楽に!もっと高く!

  • 一括査定はたくさんの買取店からの電話が面倒?

    これまでの一括査定は、たくさんの買取店からの電話が面倒でした。MOTA車買取なら、最大20社の査定額をwebで簡単比較。やり取りするのは査定額上位の3社だけ。車の査定が楽に完結する仕組みです。

  • 一括査定は本当に高く売れるの?

    これまでは、買取店に会わないと査定額がわからず、比較がしづらい仕組みでした。MOTA車買取は、申込翌日18時に最大20社を簡単比較。加えて、買取店は査定額上位3社に選ばれるために競い合うから、どうしても高く売れてしまいます。

人気記事ランキング
最新 週間 月間

新着記事

新着 ニュース 新型車 比較 How To
話題の業界トピックス・注目コンテンツ

おすすめの関連記事

三菱の最新自動車ニュース/記事

三菱のカタログ情報 三菱の中古車検索 三菱の記事一覧 三菱のニュース一覧

この記事にコメントする

コメントを受け付けました

コメントしたことをツイートする

しばらくしたのちに掲載されます。内容によっては掲載されない場合もあります。
もし、投稿したコメントを削除したい場合は、
該当するコメントの右上に通報ボタンがありますので、
通報よりその旨をお伝えください。

閉じる