より広く、そしてプレミアムに生まれ変わった新型ミニ クロスオーバーに試乗
- 筆者: 岡本 幸一郎
- カメラマン:和田清志
サイズはさらに拡大、プレミアム度がグンと増した新型ミニ クロスオーバー
バリエーション豊富なラインアップのある中でも、唯一SUVテイストの与えられた“ミニ クロスオーバー”は、MINIファミリーの中でも異彩を放つ存在だ。2011年の初代の日本導入から6年ぶりにモデルチェンジした2代目クロスオーバーは、まさしく全方位にわたり進化を遂げたことが、以下よりご理解いただけることと思う。
ボディサイズは4315mm×1820mm×1595mmとなり、全長は初代に対して+195mmと大幅に拡大。全幅はついにMINIファミリーで初めて1800mmを上回り、全高も1550mmを超えた。スタイリングは初代のイメージを色濃く残しながらも、ユニークな形状のヘッドライトや表情豊かなボディパネルの表情など、より個性が際立った。全体的に車格も上級移行したように目に映る。
ルーフレールが初代のようなベタづけではなく、さまざまなアイテムを装着しやすい脚のあるタイプとなったのも、クロスオーバーの使われ方に合っていて大歓迎だ。これにより全高が上がって機械式立体駐車場に対応できなくなったと感じるかもしれないが、実はルーフアンテナもあるため、いずれにしても難しかったようだ。
フルモデルチェンジで後席の居住性と荷室が大幅に拡大した
インテリアの雰囲気も、慣れ親しんだMINIらしいたたずまいを残しながらも、より現代的になり質感も高まっている。純正ナビではタッチパネルを採用するなど、機能面で進化しているところもよい。ドライバーは左手で操作することになるのは仕方がないが、インパネ中央のドライバーから近い位置に画面のあるMINIの場合は、とくにタッチパネル化の恩恵は大きいと思う。
あえてクロスオーバーを選ぶ人にとっては大いに気になるであろう後席の居住性とトランクについても、大幅に利便性が向上している。初代もMINIファミリーの中では使い勝手はよいほうだったが、仮にも「MINI」を名乗る以上、あまり大きくするわけにはいかないという遠慮が感じられたところ、新型は吹っ切れたようで、一般的なCセグのハッチバック車と遜色ないほどの空間を得た。後席はひざ前と頭上のスペースとも平均的な成人男性の体格である筆者が座って十分な余裕があるし、後席乗員向けのエアコン吹き出し口もある。
なお、クロスオーバーというと、初代の登場時にあった、後席の左右間に好みのアイテムを装着できるレールを備えた4人乗り仕様を思い出すところだが、残念ながら選ぶ人は少なかったようで、もうずいぶん前に消滅している。
現在はディーゼルのみの設定だが、遅れてPHVやガソリンの「ONE」も導入予定
搭載されるエンジンは発売時点ではひとまずディーゼルのみ。少し遅れて新世代プラグインハイブリッド(PHV)が導入される。また、時期は未定ながらガソリンの「ONE」の導入予定もあるようで、カタログにはすでにその姿が掲載されている。
今回試乗したのは、2WDの「クーパーD」と4WDの「クーパーSD ALL4」。車両価格は386万円と483万円だ。初代も本国では設定のあったクーパーSDのALL 4が、なぜか日本では選べず、クーパーSDこそ4WDを欲しがる人は多いのではと思っていたところ、新型ではちゃんと選べるようになったのもありがたい。
同じ2リッター直列4気筒ディーゼルながら、性能としては最高出力はクーパーDが110kW[150ps]、クーパーSDが140kW[190ps]、最大トルクも330Nmと400Nmとそれなりに差別化されている。一方でJC08モード燃費は、クーパーDが21.2km/Lに対しクーパーSDが20.8km/Lと、意外と小さな差だ。
ドライブすると、やはりそれなりに違いはある。クーパーDでも十分にディーゼルらしいトルクフルな走りを楽しめるところ、クーパーSDは、いかにも過給されている感じで、さらに上乗せされた力強さ。いずれも低速域では若干ディーゼルっぽいゴロゴロとした音と振動を感じるが、タウンスピード程度にまで車速が達してしまえばほとんど気にならなくなる。
レブリミットは5200rpmと高め、踏み込んだときの吹け上がり方はどちらもディーゼルっぽさを感じさせないが、加速の力強さではやはりクーパーSDのほうが圧倒的だ。クーパーSDにはパドルシフトが付いているのもうれしい。
カート感覚を残しつつ動きが素直に
フットワークは、よくMINIが「カート感覚」と評されるそのもの。街中からワインディングまで、どこでもMINIに乗る醍醐味であるクイックなハンドリングを味わうことができるのは、新型ミニ クロスオーバーでも変わらない。
初代と比べて変わったなと感じるのは、動きが素直になったことだ。初代はタイヤ外径が大きく重心高の高くなったクロスオーバーでも、ハッチバックと変わらないカート感覚を表現するための相反として、やや足まわりが突っ張った印象になっていた。ところが新型は、よく引き締まっていながらも、無理をしていない感じがする。
おかげで乗り心地もよくなった。今回の試乗車は、クーパーSが17インチタイヤ+標準サス、クーパーSDが18インチタイヤ+ダイナミック・ダンパー・コントロールだったのだが、後者のほうが乗り味は上質かつスポーティ。「MID」および「GREEN」ではより快適に、「SPORT」ではより俊敏で姿勢変化の小さい走りを楽しめる。
ただし、初代では同機構の有無によりまったく乗り心地の印象が違ったところ、新型ミニ クロスオーバーではその差が小さくなっていることもお伝えしておこう。
より成熟して、さらに魅力的に進化を遂げた2代目 新型ミニ クロスオーバー。MINIのデザインが好きで、実用性を求めるユーザーにとって、十分すぎるほどの広さと、期待を超える走りと上質感を手に入れたことを大いに歓迎したいと思う。
[レポート:岡本幸一郎/Photo:和田清志]
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