メルセデス・ベンツ 新型 S550ロング・S400ハイブリッド 試乗レポート/日下部保雄(2/3)
- 筆者: 日下部 保雄
- カメラマン:和田清志
驚くべき最適な乗り心地を生み出す『マジックボディコントロール』
Sクラスから投入された興味深い技術の一つは『マジックボディコントロール』で、これはフロントガラスに搭載されたステレオカメラで前方15mの路面を確認しつつ、アクティブサスペンションを予め制御して最適な乗り心地を提供しようというものだ。
突起物があると一端フロントサスペンションを伸ばし、障害物に乗ったところでたっぷりとしたサスペンションストロークで吸収して、フラットな乗り心地を実現している。かなり大きな段差にも対応できるので後席での乗り心地は驚くべき快適さでショックは小さかった。
ただし、この機能が作動するためには条件があり、130km/h以下でカメラが凹凸を確認できる必要がある。例えば夜間や、曇りで路面判別が難しい時は作動しない。しかし、もともとマジックボディコントロールはベースの車体の乗り心地に加えたアイテムのため、作動しなかったとしてもダメージはなく、作動しているときに比べて、多少ショックが大きくなる程度だ。
このボディマジックコントロールはS550 ロングにオプション、AMGには標準になる。
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サスペンションは4輪マルチリンクで、この場合は油圧アクティブで制御され、乗り心地だけでなくロールやピッチング制御にも使われて姿勢を安定させる。
メルセデスの旗艦モデルだけに、数えきれないほどの先進技術を搭載
テストコースで体験したのはEクラスと同じ追突防止や歩行者検知機能で、飛出し検知機能は72km/h以下で作動するが、ブレーキサポートでブレーキ踏力を強めてくれる機能は全域で作動する。また死角に入った斜め後方車両は短距離レーダーで検知してドアミラーにて警告する。
このプログラムでは、さすがに安全技術で先駆者らしいメルセデスのフラッグシップモデルだけに、数えきれないほどの先進技術を搭載している。そのために77GHzの長距離レーダー、25GHzの短距離レーダー、ステレオカメラ、単眼カメラ、ミリ波レーダーなどを張巡らせ、前方に限らず、後方、斜め後方にも監視の目を持っている。その数は驚くほどで、ある意味では航空機にも匹敵するのではないかと思われるほどだ。
折から『第20回ITS世界会議 東京2013』が開かれているが、Sクラスの装備は自動運転の先駆けでもあり、自動で前走車に追随していくことも難しいことではない。
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