メルセデス・ベンツ 新型 S550ロング・S400ハイブリッド 試乗レポート/日下部保雄(3/3)
- 筆者: 日下部 保雄
- カメラマン:和田清志
全長5250㎜でもメルセデスならではの美点で小回りが効く
さて最初に乗ったのはS 550ロング。大画面の液晶モニターに映し出されるマルチインフォメーションシステム、メーターなど、ドライバーインターフェースも斬新で見やすい。操作系はいろいろなことが出来るだけに、最初に簡単なレクチャーを必要とするが、慣れれば簡単なコマンドドライブを操作して、必要な画面を呼び出すことが出来る。
Sクラスのサイズは全幅はほぼ1.9m、全長5250㎜(ロング)というラージサイズだが、メルセデスならではの美点で小回りが効き、ハンドルの操舵感も優れており、実寸ほどにはサイズを感じない。ちなみに最小回転半径は5.7mに留まっておいる。この効果は大きい。
試乗車はフロント245/45 R19、リア275/40R 19の大きなタイヤサイズを履くが、すべてランフラットになる。乗り心地は荒い路面ではタイアの硬さもあり路面からの突き上げがあるが、大きなウネリなどでは結構快適にいなしてくれる。
マジックボディコントロールは日差しの強い場面で車載カメラがテストコースの荒れた路面を捉えてボディのピッチングを抑えることが出来るが、高速ではもともとのシャシーの優れたところを体感でき、マジックボディコントロールが働かない場面でも路面からの突き上げは多少強くなる程度だ。
取り回し、扱い易さはメルセデスの良いところだが、テストコース周辺の郊外道路でもサイズに悩まされる場面は少なかった。狭い道でのUターンも切れ角の大きなハンドルと、しっとりとした操舵力でドライバーにプレッシャーを与えることは少ない。
フラットな乗り心地だけでなく、ワインディングロードでもハンドルの追従性と操舵力はバランスされており、左右にハンドルを切り返す時も大きなSクラスは自然にノーズを変える。また、コーナリング中にギャップなどに遭遇した場合にもサスペンションの吸収力は高く、姿勢を乱されることもない。軽快という言葉はあてはまらないが、メルセデスらしくグリップ力が髙く、しっとりとしたハンドリングを持っている。
動力性能は言わずもがな。
アクセルを踏みこむと4.7リッター直噴V8ツインターボは独特のエキゾーストノートと共に力強く加速していき、たちまち100km/hに到達し、さらに際限なく伸びて行こうとする。700Nmのトルクの図太さは想像に余りあり、粘り強さには舌を巻く。しかしSクラスは普通に走ろうと思えば極めておとなしく、粗暴なイメージは全くない。
先進技術のオンパレード、進撃はまだまだ続く
さてV6 3.5リッターのS400 ハイブリットの動力性能はどうだろう。
306PS/370Nmの直噴エンジンと、20kW/250Nmのハイブリットモーターの組合せは日常的には十分な出力を持ち、7速のトルコンオートマチックとの相性も悪くない。ギクシャクする場面もほとんどなく、スムースで快適なドライビングが出来た。
S400 ハイブリットでは高速道路でのディストロニック・プラスをアクティブにすることで前走車の測度に合わせて追従してくれ、楽なクルージングが出来る。またレーンキーピングアシストはカメラが白線を読んで逸脱しそうになるとハンドルに軽いバイブレーションを送って、ドライバーに注意を促す。
つまりハンドルに軽く手を添えているだけで、無精ドライブが可能になってしまうが、あくまでもドライバーのサポートに徹している。ただし最初はハンドルの操舵力にモーターアシストが加わるので、直進時や高速道路のコーナリングなどでは、慣れるまで若干の違和感を感じた。
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