日本にない日本車 ホンダ CRIDER(凌派)・JADE(傑徳) ~中国・上海モーターショーに見るホンダの世界戦略~/桃田健史(1/2)
- 筆者: 桃田 健史
- カメラマン:桃田健史・本田技研工業
「弊社として初めて、中国で企画段階から開発したクルマだ。
最初のデザインを見た時、こうしたアイディアは日本では絶対に出ていこないと、改めて中国市場の特殊性を感じた」[コンセプトC]
「こちらは日本開発車だ。しかし、メインの市場は中国。
中国要件を充分に取り入れながらも、日本を含めた世界各地でも売れるクルマにしたい。日本では、(次期)ストリームになる可能性がある」[コンセプトS]
さらにこの時、伊東社長は「近年中の量産化」をほのめかしていた。
あれから1年。今年4月の上海モーターショーでは・・・。
北京から1年、上海モーターショー2013ではコンセプトC・コンセプトSの市販モデルが登場
上海モーターショー2013、ホンダの舞台には3台の新型車が並んだ。
1台は4ドアセダンの「CRIDER(凌派)」。これが「コンセプトC」の量産モデルだ。2013年6月から広汽ホンダで販売される。
もう1台が、5ドア車の「JADE(傑徳)」。こちらは「コンセプトS」の量産モデル。伊東社長が、日本ではコンパクトミニバン「ストリーム」の後継にもなりうる、と語っていたクルマだ。2013年9月から東風ホンダで販売の予定。
これら2車とも今回、スペックについては未公開だった。
「世界販売台数600万台」の呪縛
2012年9月、青山本社で社長会見があった。これが事実上の、中期経営計画発表会だった。そのなかで伊東社長は、2016年3月期までの「世界販売600万台達成」をぶち上げた。
2012年、ホンダの世界販売台数は400万台強だ。それを、4年間に1.5倍に急増させるという野心的な戦略だ。
ではそれをどうやって実現するのか?
600万台のうち、300万台は先進国、つまり日本、アメリカ、欧州だ。日本については、軽自動車「N BOX」の大ヒットで幸先良いスタート。同車を含めて、日本国内での生産量は当面100万台をキープ。そのほとんどを国内販売向けにする。
次にアメリカ。こちらはホンダの主力マーケット。「シビック」、「アコード」、「CR-V」の御三家を中心に、高級ブランド「アキュラ」のラインアップを刷新中。そのトリを飾るのが、2015年発売予定の「NSX」となる。また、次期「フィット」と、その派生車となるセダンとMPVをメキシコで生産し、北米向けに輸出する。
また欧州は、長引く経済危機に加えて、VWなど欧州の定番商品のブランド力と実売価格の安さから、ホンダの苦戦が続きそうだ。
つまり先進国300万台達成には、アメリカでの販売増が主体となる。
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