アウディ A5&S5 海外試乗レポート(2/3)
- 筆者: 河村 康彦
- カメラマン:アウディ・ジャパン株式会社
決して後ろ過ぎる事のない前輪の位置
従来の“アウディ・クーペ”の例に倣わない、何とも流麗なファーストバックのルーフラインを採用してデビューのA5/S5。しかし、そうした美しさは何もルーフトップ部分からリアデッキへと流れるような下降線を描くラインどりのみによって実現されているのではなさそうだ。
メルセデス・ベンツCLKやBMW3 シリーズクーペといった、FRレイアウトの持ち主にも負けない美しいプロポーションを実現させた“キモ”――それはこのモデルの場合、「決して後ろ過ぎる事のない前輪の位置」にあるように思う。
実はアウディは今回のA5/S5の開発に際し、エンジンに組み合わせるフロント・トランスアクスルのデザインを大変更。これまではエンジンと共に縦置きマウントされるトランスミッションのほぼ最前部から取り出していたドライブシャフトを、エンジン重心に近いクランクケース下からの取り出しへと位置変更。これにより、前輪位置を100mmレベルで前進させる事が可能になり、前述のようなFR車ばりの短いフロント・オーバーハングのプロポーションを実現させているのだ。
A5/S5ではこうしたフロント・セクションの造形に加えて、フル4シータークーペとしての実用性を高めるべく巧みにパッケージングされた後輪位置をやや後ろ寄りとしたリア・セクションのデザインも採用。もちろん、4,625mm(S5は4,635mm)×1,854mmというゆったりした全長×全幅サイズを採用という理由も大きいものの、後席にはヘッドスペースはミニマムでありながらも大人2人が十分にリラックス出来る空間を確保する。
と同時に、後席使用時でも455リッター、シートバックを前倒しすれば829リッターにも及ぶトランクスペースの容量を実現。こうしてクーペでありながらすこぶる実用性の高いパッケージングを作り上げたのが特筆に値するポイントだ。
ナビゲーション用モニターを、涙滴型のタコ/スピードメーターと同列の高い位置に配したダッシュボードは、センターパネル部までを大きなひと囲みのクラスターで構成するA6同様のデザイン。ただし、センターコンソールの位置がひと際高いので、ドライバーズ・シートに腰を降ろすと何とも囲まれ感の強いそのスタンスは良くも悪くも「もはやFFレイアウトがベースのモデル」とは思えない印象でもある。
そんなインテリアの仕上がり具合はやはりエクステリアのそれと同様、いかにもアウディ車らしい質感の高さが大きな美点。一方で、日本導入時の事を考えるとちょっと心配になるのが、右側フロント・トーボードの幅のタイトさ。左側トランスミッション側面からの膨らみがフロア部分にも張り出し、右ハンドル化にあたってのペダル&フットレスト付近のスペースへの影響が懸念をされるのだ。
ちなみに、8気筒エンジンを搭載するホッテスト・モデルであるS5も、ボディそのものはA5と共通のデザイン。識別のポイントはエクステリアではプラチナグレー塗色のフロントグリルや“4本出し”のテールパイプ。インテリアではスポーツシートにグレー指針のメーター類が採用されるなど、比較的小規模に留まっている。
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