フォルクスワーゲン パサート W8 試乗レポート
- 筆者: 小川 フミオ
- カメラマン:永元秀和
カリスマなクルマ。
パサートのフラッグシップ、W8がこのほど日本に上陸した。
その最大の特徴はW8エンジンで、極端にいうとV型4気筒エンジンをふたつ、横に並べてくっつけた8気筒である。V4というバンクを2つ用いて構成されるV型(バンク角は72度)とみることもできる。
まず印象にのこるのは、わきでるようなトルク感で、スロットルペダルをすこし踏んだだけでクルマは力強く前に出ていく。じつは僕は、低回転域からトルクがいっぱい出るエンジンが好きで、パサートW8、いいなあと走りだしてすぐ嬉しくなってしまった。
それにひきかえ、W8の「曲がり」はそう楽しくない。ひとことでいうと「鼻が重い」印象だ。もともと4気筒エンジンがメインのところにもってきて8気筒を載せてしまったのだから、それもいたしかたないのかもしれないが、カーブを曲がるときはハンドルをきるタイミングを早めに合わせるようにしないと、少々外側にふくらみ気味だ。すこし遅れてハンドルを切り込むと、ノーズがぐっと沈み、乗員にとってはあまり快適ではない。
油圧式パワーアシストのついたハンドルは軽く、街中ではそれなりに路面の情報を手のひらに伝えてくれる。しかし、直進状態から左右どちらかに切りこんでいったときに感じるのは、その微妙な部分での感覚がややあいまいだということだ。
W8はどこまでも安逸に走っていくことをもっとも得意とするクルマなのだろう。
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