遂に310psへ! ”最強のゴルフ” フォルクスワーゲン 新型 Golf Rをスペイン・マヨルカ島で試乗
- 筆者: 山田 弘樹
- カメラマン:Volkswagen AG
スペイン・マヨルカ島でマイナーチェンジ版 新型ゴルフRに先行試乗
7代目フォルクスワーゲン ゴルフのマイナーチェンジに伴い、続々とその派生モデルたちが同様のインフォテインメント機能を備え、かつ外観をブラッシュアップし始めた。そして今回は、その中でも“真打ち”とも言えるスポーツフラッグシップ、”ゴルフR”にスペインはマヨルカ島で試乗してきたので、その進化っぷりをみなさんにお伝えしよう。
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フォルクスワーゲン ゴルフ最強の”R”が310psに進化(でも日本仕様は・・・?)
ゴルフRといえばその源流をVR6に置き、狭角V6エンジンを搭載したR32の末裔といえる、最強のゴルフだ。ルノー メガーヌRSが「ニュル最速のFWD」という金看板を掲げライバルたちを挑発したことで、フォルクスワーゲンも最速ランナーの座はFWDの「GTi クラブスポーツS」に譲ったが、あれは限定モデル。量産モデルとしてはやはり、最強のパワーを発揮する2リッター直噴エンジンと最新式ハルデックスカップリング4WDを備えたゴルフRが「顔役」なのである。
そんなゴルフRが、より一層磨きを掛けられた。ハイライトはやはり出力アップで、エンジン内部には手を加えてはいないもののそのパワーは、とうとう280psから310psへと大台に乗せられたのである。
ちなみに欧州本国では、既にRは300psを実現していた。ただ日本のように高温多湿な環境でエンジン保護を優先としたフォルクスワーゲンは、これを280psにセーブしていたのである。だとすれば今度は290psになっちゃうんじゃないの!? と思う読者は賢い。しかしどうやら、7.5世代のRはそのまま導入されそうな気配があるのだ・・・あくまで私見だけれど。
”Performance Package”(パフォーマンス・パッケージ)の充実ぶりに驚く
そしてこれに併せてオプションも充実化が図られた。
”Performance Package”(パフォーマンス・パッケージ)と銘打たれた装備にはまず「R Performance」エキゾーストシステムをラインナップ。これはフォルクスワーゲンが、かのアクラポヴィッチとジョイントして製作したチタン製のエキゾーストシステム。またECUの制御なども変わるのか、パフォーマンス・パッケージを装着することによってゴルフRは、速度リミッターが250km/hから265km/hへと引き上げられるとのことだった。
さらにその足下には、235/35R19サイズのミシュラン パイロットスポーツ カップ2が履かされた。つまりホイールは19インチへと1サイズアップしたことになる。
今回はこのパフォーマンス・パッケージを装着した“全部盛り”で、マヨルカ島にあるサーキットを走った。
サーキットレベルでもスタビリティの高さは驚異的
マヨルカ島のサーキットコースは、二本のストレートをツイスティなコーナーで結んだレイアウト。アップダウンが激しく、曲がり混んだコーナーが多いため「ゴルフRにはちょっと厳しいコースかな・・・」と最初は感じたが、どうしてどうして。新型ゴルフRは、ここで素晴らしいアシ付きの良さを披露してくれた。
今までゴルフRには、硬めのアシ周りでスタビリティを保つ印象が強かった。しかし新型ゴルフRのサスペンションは、サーキットレベルの高い縦・横Gに対してグーッと踏ん張り、しなやかに伸びる。だからブレーキングからターンインにかけての挙動がどっしりと安定し、なおかつステアリングを切り込んで行ったときもグリップが抜けず、クリッピングポイントからはドン!とアクセルを踏み込むことができる。
相変わらずリアの接地性は高く、慣性でリアタイヤを滑らせながら向きを変えるような運転には頑固に応じてくれない。だが懐深いフロントサスの応答性を使って、慣性で上屋(ボディ)の向きを変えて行くと、4輪が接地したままでも、ジワーッと曲がって行く。そのトルクを最大で0:100までリアに配分する4MOTIONは、低μ路でもない限りFRのような挙動を示してくれるわけではないのだが、4WDへの切り替わりを意識させないほど黒子的にスタビリティを確保している。だからひとつひとつの操作がゆっくりしていて質感が高く、確かにこれならビギナーでも安心してこのパワーを楽しむことができると感じた。
最大の変更ポイントは”ブレーキ”にあった
まるでボディ剛性を引き上げたかのようなゴルフRの走りに、ボクは「サスペンションにも変更を与えたのか? ボディも何かやった?」とエンジニアに尋ねたが、彼らは「手を加えたのはパワーとブレーキだけだよ」と答えた。
パイロットスポーツ カップ2の絶大ながらもしなやかなグリップ特性が、ゴルフRの挙動において支配的なのは確かだった。しかしそのグリップにも負けないブレーキシステムの性能が、最大の変更点だということがわかった。
そのローターはベルハット部分にアルミを使い、鋳鉄ローターとの間をピンで結ぶ2ピース構造となっている。これによってローターが熱膨張してもブレーキの効きやタッチが保たれ、なおかつバネ下重量で2kgも軽量化が図られている。
さすがに本気でブレーキングを繰り返すとタッチに甘さは出て来たが、ペダルストロークが変わらないことから考えても、その放熱性はかなり高そう。パッドを耐フェード性の高いものに換えれば、さらに完璧なマシンコントロールができそうだ。そしてこのブレーキとタイヤが発生させる減速Gによって、固いだけだと感じていたゴルフRのサスペンションが、伸びやかに本領を発揮するようになったのだと思う。
このように極めてシャシーファースターな特性を持つゴルフRだったから、310psのエンジンパワーに振り回されるということは一切なかった。
やはり”最新のRは最強のR”だった
逆に気になったのは低回転領域においてブーストの立ち上がりがやや鈍いことで、イメージやや早めにアクセルを開けてやらないとリニアにコーナーを立ち上がれない場面が何カ所かあった。ただこの2.0TSIは6MTで380Nm、7速DSGで400Nmものトルクを2000rpmから発揮するわけだから、エンジン側に問題があるというよりは、カップ2のグリップがそれだけ強大だと言えるのだろう。
そう、6速MTと7速DSGはどちらが楽しいのか? という話もしなくてはならない。
日常からゴルフRとの対話を楽しみたいなら6MTという選択は悪くない。しかしこのパッケージングを満喫するなら、ギア比が細かく区切られ、しかもトルクが20Nm増した7速DSGの方が断然いい。ユーザーフレンドリーとは言ってもその速さは本物なわけで、短い時間で変速をこなし、かつエンジンやトランスミッションを壊さないようにするのに、DSGは最良の選択だ。未だに「RACE」モードでも左足ブレーキがシンクロすると出力を絞ってしまうのは無粋だと思うが、ここは「ただのオートマでしょ?」なんて思わず、2ペダルの先進性を積極的に味わって欲しい。
今回の結論は”最新のRは最強のR”。しかしその性能アップのほとんどはパフォーマンス・パッケージによるもので、サーキットでその性能を味わいたいのでなければ前期型Rユーザーもそれほど心配することはない。逆にそのL字型ヘッドライトやエアロキットをインストールし、後期型ルックで長く愛車を楽しむのも一興だろう。
ただこうした弛まぬ進化があるからこそ、ゴルフはRに限らず常に一流であり続けて入る。もしアナタがここから初めてゴルフを味わうならば、Rは強烈にその存在感を魅せ付けてくれるだろう。気になる導入は、2017年の夏から秋にかけてだと思われる。
[レポート:山田弘樹/Photo:Volkswagen AG]
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