【5月27日更新!】フォルクスワーゲン 新型ゴルフ(ゴルフ7)新型車解説/渡辺陽一郎(1/3)

【5月27日更新!】フォルクスワーゲン 新型ゴルフ(ゴルフ7)新型車解説/渡辺陽一郎
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待ちに待った新型「ゴルフ7」、いよいよ発売!

VW 新型ゴルフ

(2013年5月27日追記)

今、最も話題に挙がる輸入車といえば、VW(フォルクスワーゲン)の7代目、新型ゴルフ。通称「ゴルフ7」だろう。

新型ゴルフ7は“MQB”と呼ばれる新しいプラットフォームを採用しており、1.4リッターエンジンも新開発。走行性能と燃費性能が優れており、衝突回避の支援機能など安全装備も充実させている。

先行受注を行った特別仕様車「ゴルフ・デア・エアステ」の情報は、以前から同記事の2ページ目以降で触れているが、5月20日の発表時には新たなグレード構成で発売されたため、改めて新グレードでガイドしたい。ちなみに、VWのホームページ上からは「ゴルフ・デア・エアステ」の情報は既に削除されているのであしからず。

なお、2ページ目以降に「ゴルフ・デア・エアステ」予約時の従来情報も繋げておくので、メカニズムや装備など詳細情報は、後のページを参照していただきたい。

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新型ゴルフ、1.2リッターの燃費はなんと「21km/L」!

VW ゴルフ7(海外仕様)新型ゴルフ(ゴルフ7)

 まずは、新型ゴルフのグレードやオプションパーツの選び方についてガイドしよう。

新型ゴルフの搭載エンジンは直4ターボで、排気量は1.2リッターと1.4リッターの2種類。さらに、1.4リッターには気筒制御の機能などが備わる。動力性能は、1.2リッターが最高出力105馬力(4,500~5,500rpm)、最大トルク17.8kg-m(1,400~4,000rpm)。1.4リッターは140馬力(4,500~6,000rpm)、25.5kg-m(1,500~3,500rpm)になる。1.4リッターは1.2リッターに対して35馬力/7.7kg-m向上。ターボを装着しないノーマルエンジンに換算すれば、1.2リッターは1.8リッターに匹敵し、1.4リッターは2.5リッター並の動力性能を持つ。

一方、JC08モード燃費は1.2リッターが「21km/L」で、1.4リッターは「19.9km/L」。1.4リッターには気筒制御技術などが備わるため、動力性能は1.2リッターに対して30~40%の向上だが、燃費性能は9%程度しか悪化しない。これらの性能は、先行受注を行った「ゴルフ・デア・エアステ」と同じだ。

新型ゴルフのグレードは、1.2リッターの「TSIトレンドライン」(249万円)「TSIコンフォートライン」(269万円)と、1.4リッターの「TSIハイライン」(299万円)計3グレード。 横滑り防止装置、フロント/サイド/カーテン/ニーエアバッグなどが全車に標準装備されており、さらにミリ波レーダーを使った衝突回避の支援機能「フロント・アシスト・プラス」も全車に備わっていて緊急時の自動ブレーキも働くなど、安全装備が充実している。

ただし、ミリ波レーダーを応用した車間距離を自動制御するクルーズコントロール「ACC」は、最も安価なグレードであるTSIトレンドラインではオプション設定。また、カメラを装着し車線逸脱の警報(ハンドルも振動させる)を行う「レーンアシスト」はTSIハイラインにのみ標準装備され、ほかのグレードではオプション設定だ。

ディスチャージヘッドランプはTSIコンフォートライン、TSIハイラインにオプション設定され、TSIトレンドラインでは選べない。CDオーディオ&8スピーカーは全車、リアビューカメラはTSIコンフォートラインとTSIハイラインに標準装着される。

カーナビは今のところ組み込み式が対応できておらず、設定されるのは2013年12月頃の予定だ。それまでに購入する場合は、インパネの上部などに設置するタイプを使う。

「TSIトレンドライン」と「TSIコンフォートライン」を比較

VW ゴルフ7(海外仕様)

それでは、グレードごとの違いや損得勘定を見ていきたい。まずは「TSIトレンドライン」(1.2リッター/249万円)、「TSIコンフォートライン」(1.2リッター/269万円)で比較してみよう。

両グレードの価格差は20万円。TSIトレンドラインではACC、オートライト、レーンアシストを含んだ「セーフティパッケージ」が15万7,500円で設定されるが、TSIコンフォートラインではACC、オートライトが標準装備され、「レーンアシスト」のみ6万3,000円で用意される。つまり差額の9万4,500円が「ACC」「オートライト」の換算額になる。

この他、TSIコンフォートラインに加わる装備として、コーナリング/フォグランプ、リアビューカメラ、コンフォートシートの装着、タイヤサイズの拡大(15インチから16インチ)などがあり、これらの価格換算額は日本車を基準に行うと12万5,000円だ。前述の9万4,500円と合計すれば約22万円。TSIトレンドラインとTSIコンフォートラインの差額は20万円だから、後者の装備を過剰と感じなければ、TSIコンフォートラインの方が2万円ほど割安と判断できる。

それでも安価なTSIトレンドラインを選ぶ手もあるが、ディスチャージヘッドランプのオプション設定がなく、コーナリングライト、リアビューカメラも付かないのは不満を感じるだろう。特に今のクルマは日本車、輸入車を問わず後方視界が悪い。ゴルフ7も同様だ。全幅も拡大し、初代~3代目ゴルフの時代と違って、リアビューカメラが必要なクルマになってしまった。これらはオプションに加えて欲しい。

逆にTSIトレンドラインにとって、アルミホイールは不要ではないのか。ベテランのクルマ好き、とりわけゴルフのファンには、安全装備は充実させて装飾品はなるべく省きたいと考えるユーザーも多い。TSIトレンドラインには、この気持ちを汲み取って欲しい。

「TSIコンフォートライン」と「TSIハイライン」ではどちらがお得?

VW ゴルフ7(海外仕様)

次は「TSIコンフォートライン」(1.2リッター/269万円)と「TSIハイライン」(1.4リッター/299万円)の比較、価格差は30万円だ。TSIハイラインに加わる装備は、TSIコンフォートラインが6万3,000円でオプション設定する「レーンアシスト」、エンジンやAT制御を変更できる「ドライビングプロファイル」、アルカンターラを用いたスポーツシート、アルミホイールのインチアップ(16から17インチ)など。細かな装備の違いも含めて価格換算すると約21万円になる。

となれば、残りの9万円がエンジンの変更とリアサスペンションの換算額になる。リアサスペンションは、1.2リッターが車軸式のトレーリングアーム、1.4リッターは独立式の4リンクだ。エンジンの価格換算は難しいが、日本車のノーマルエンジン搭載車では、排気量の相場は「100cc当たり2万円」。

前述のようにノーマルエンジンに換算した動力性能は、1.2リッターが1.8リッターに匹敵し、TSIハイラインの1.4リッターは2.5リッター相当になる。700ccの開きがあるから約14万円だ。この時点で走り関連の実質差額の9万円を超えており、「TSIハイライン」が5万円ほど割安と判断できる。

サスペンションの価格換算はさらに難しい。オーリスなどは4WDのリアサスペンションが独立式に変わるが、4WDの価格上昇は18万9,000円。サスペンションの変更コストを含まない。それでもメカニズムの違いを考えれば、7万円くらいには換算して良いと思う。となれば、12万円前後はTSIハイラインが買い得という計算が成り立つ。

このグレード選びは悩ましい。1.4リッターエンジンは欲しいが、アルカンターラのシートは不要と考えるユーザーもいるだろう。1.4リッターが動力性能に優れ、なおかつ低燃費も達成しているだけに、求めやすく配慮すべきだ。アルカンターラなどの上質な内装は、パッケージオプションにしてもらえると嬉しい。

では、先行予約された「デア・エアステ」との比較では!?

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もうひとつ気になるのは、先行受注を行った特別仕様車「ゴルフ・デア・エアステ」との比較。デア・エアステでは、TSIコンフォートラインとTSIハイラインをベースに設定されていた。

この「ゴルフ・デア・エアステ」の特徴は、TSIコンフォートラインには「レーンアシスト」とディスチャージヘッドランプ(今のグレードではオプション価格合計が13万6,500円)、TSIハイラインにはLEDポジションランプ付きのディスチャージヘッドランプ(オプション価格は10万5,000円)が加わっていたこと。

その上で「ゴルフ・デア・エアステ TSIコンフォートライン」の価格は279万円だったから、グレード化された今ではオプション込みの価格が3万6,500円高まる。「ゴルフ・デア・エアステ TSIハイライン」は305万円だったから、同様に4万5,000円上まわる。これからゴルフ7を買うなら、少なくともこの程度の値引きは引き出した方が良いだろう。「ゴルフ・デア・エアステ」は報道発表はされたが、ほとんど宣伝されず、大半がVWユーザーに向けて内々で売られたからだ。

もっとも「ゴルフ・デア・エアステ」を買ったユーザーにとっては、試乗もせずに契約するリスクを踏んだのだから、この程度は安くなって当然と考えるかも知れない。

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渡辺 陽一郎
筆者渡辺 陽一郎

1961年生まれ。自動車月刊誌の編集長を約10年務めた後、フリーランスのカーライフ・ジャーナリストに転向。「読者の皆さまに怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も重要なテーマと考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を心がけている。記事一覧を見る

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