トヨタ 新型スープラはこうやって復活した!│開発者インタビュー(2/3)
- 筆者: 山田 弘樹
- カメラマン:茂呂 幸正・和田 清志
開発当初、スープラにあまり空力要件を盛り込みすぎないようにしていた
スープラのデザインで目を惹くのは、その近未来的なルックスの中にちりばめられた、古典的なスポーツカーの様式美である。
たとえばそのルーフは、60年代にアバルトやアルファ・ロメオSZといった、小さな宝石たちが用いた「ダブルバブル」形状になっている。
ただしこのデザインは、単なる懐かしさから導き出されたものではない。「ドライバーがヘルメットを被った際にヘッドクリアランスを確保するための処理で、中央部分は可能な限りこれを低めた結果なんです」と中村氏が語る通り、昔のダブルバブルと同じ、機能面から採用されたデザインなのであった。
またそのリアハッチには、やはり70年代のポルシェ911を連想させるダックテールスポイラーが一体式で装備されている。これは完全にGTウイングを嫌った美しさ狙いのスポイラーだが、空力的にも前後のリフトバランスに貢献しているという。
とはいえスープラには、開発段階から不思議な一面があった。
「我々は開発当初、このスープラにあまり空力要件を盛り込みすぎないようにしていたんです。まずはスポーツカーとしての美しさを優先して、そのデザインをスタートしました」
と、リアフェンダーアーチの盛り上がりを指さしながら中村氏は語る。
「デザインの修正は全部で3回行ったのですが、既に2回目のデザイン改良を行った時点で、空力的な目標はほぼクリアできてしまっていたのです。我々もそれがどうしてなのかを正確に解析するのはこれからなのですが、これにはBMWも驚いていました」
というのだ。
ちなみに多田チーフエンジニアもスープラには「燃費性能向上を目的としたドラッグ(空気抵抗)低減をそれほど求めてはいない」と語っている。それよりもスープラでは「(操縦性を向上させる)リフトの低減をしっかりやろう」ということになった。こうした思い切りの良さは、プリウスを筆頭とした乗用車で、常に厳しい燃費性能を追求してきたからこそ可能となったのだろう。普段やることやってるのだから、スープラは思い切り走りを楽しむクルマにしよう! というわけだ。
つまり人間(この場合はデザイナーか)の感性を中心にデザインした結果、スープラのデザインは空力的にも優れたものとなっていた。CAD-CAMによる効率追求型のデザイン構築が全盛のいま、デザインはどれも画一的で「みんな同じ」になりがちである。そんな中でスープラは、個性と性能を神業的に両立させたスポーツカーだと言えるかもしれない。
>>今後の発展性を次第では「M」シリーズのアップライトや足回りが流用可能[次ページへ続く]
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