autoc-one.jp 記事・レポート 特集 自動車評論家コラム 国内登録車の50%はトヨタ車|圧倒的シェアの背景と今後の課題とは

自動車評論家コラム 2018/10/10 16:20

国内登録車の50%はトヨタ車|圧倒的シェアの背景と今後の課題とは

トヨタ店
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国内メーカーで圧倒的なシェアを誇るトヨタ、一体なぜ?

日本の自動車(完成車)メーカーは、商用車専門を除いても8社ある。この内で、最も高いシェアを持つのがトヨタだ。2018年度上半期(2018年4~9月)の販売データを見ると、トヨタ(レクサスブランドを含む)は、国内市場全体の30%、登録車(小型/普通車)に限れば46%を占める。

そしてトヨタは2018年度上半期に、71万7783台を販売した(速報値)。2位のスズキが34万8944台、3位のホンダが34万6418台だから、2位以下のメーカーはトヨタの半数にも及ばない。

登録車に限ると、台数の格差はさらに激しくなる。2018年度上半期におけるトヨタの登録台数は69万8542台で、2位の日産は19万9494台、3位のホンダは17万2475台だ。2位の日産でもトヨタの29%にとどまる。

このようにトヨタのシェアが高いのは、今に始まったことではない。国内販売全体におけるトヨタのシェアは、1965年の時点で25%に達していた。1990年は32%だから、今よりも少し高い比率であった。

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的確なユーザーニーズの反映と販売網の充実が鍵

トヨタ新型クラウン&カローラスポーツのコネクテッドカー発表イベント「THE CONNECTED DAY」[2018年6月26日]

トヨタが古くから高いシェアを維持できた理由は2つある。

まずは1955年に発売された初代クラウンを皮切りに、ユーザーニーズを的確に汲み取った商品開発を続けてきたことだ。

2つ目は、クラウンを扱うトヨタ店、コロナ(プレミオの前身)やマークIIを売るトヨペット店、カローラのトヨタカローラ店という具合に、販売網を着実に充実させたことがある。ディーラーローンなど、ユーザーがクルマを積極的に購入できるサービスを早期に整えたことも、トヨタ車の売れ行きが伸びた要因だ。

こういったトヨタの周到な戦略から付けられたニックネームが「販売のトヨタ」であった。

かつてトヨタに勤務していた年配の開発者と話をすると、「巷でいわれた販売のトヨタというのは、開発者には屈辱的な表現だった」と振り返る人が多い。

この気持ちは分かるが、当時のトヨタ車の技術水準が低かったわけではない。ほかのメーカーに比べると、品質管理まで含めた信頼性と、販売支援を入念に行っていたから「販売のトヨタ」と呼ばれたのだ。

「販売のトヨタ」の土台に技術指向の歴史あり

トヨタ プリウスPHV

実際、トヨタは黎明期から技術指向が強かった。第二次世界大戦後、日産はオースチン、いすゞはヒルマン、日野はルノーという具合に、主だったメーカーは通商産業省(現在の経済産業省)の指導で欧州車のノックダウン生産を行っている。

しかしトヨタはこれを受け入れなかった。あくまでも自社の技術で、1947年に国産初の本格乗用車とされるトヨペットSAを開発して、1950年代に入るとトヨペットSFやトヨペットスーパー、1955年の初代クラウンに繋げている。

当時(1950年代前半)を知る開発者の1人は「ノックダウン生産を行う日産やいすゞが羨ましかった」という。先進的な欧州メーカー車の図面が手に入るからだ。

そこで当時の豊田英二常務(5代目社長)にノックダウン生産の話を持ちかけると、「設計図面に失敗の歴史が書いてあるか」と言われたという。試行錯誤を重ね、自分たちで失敗を乗り越えないと、本当の技術力は身に付かないというわけだ。トヨタは1997年に世界初の量産ハイブリッドとしてプリウスも発売しているから、技術力の高いメーカーだ。そこに優れた販売力も加わったから、売れ行きが伸びて今日の繁栄が築かれた。

販売店舗数とセールスマン数でも他メーカーを凌駕

カローラ店

トヨタの国内シェアには、販売店舗数とセールスマンの数も関係している。

トヨタ系販売会社の内訳と大まかな店舗数は、トヨタ店:1000店舗、トヨペット店:1000店舗、トヨタカローラ店:1300店舗、ネッツトヨタ店:1600店舗だ。合計すれば4900店舗に達する。レクサスは170店舗少々にとどまる。

ほかのメーカーは、基本的に系列を撤廃した。日産:2100店舗、ホンダ:2200店舗、マツダ:1000店舗、三菱:600店舗、スバル:460店舗という具合だ。

軽自動車が主力のダイハツとスズキは、業販店(修理工場などに併設される小さな販売店)の販売比率が高い。業販店は複数のメーカーを扱うことが多く、全国に約4万店あるといわれるが、業販契約を結びながら新車をほとんど売っていない店舗もある。従って販売店舗数には含められない。

以上の店舗数を基準に考えると、プリウスやアクアなどトヨタ全店が扱う車種は、日産やホンダの2倍以上の販売網で売られる。大雑把にいえば、前述の6メーカーの店舗総数は1万1260拠点だ。トヨタは4900店舗だから全体の44%を占める。

この比率は、冒頭で触れた登録車の販売比率となる46%とほぼ等しい。つまりトヨタは、特別な方法で売れ行きを伸ばしているわけではない。1店舗当たりの販売台数は平均水準で、店舗数とセールスマンの数が圧倒的に多い。

それでも4900店舗が維持され、クルマの売れ行きも堅調に高いシェアを確保するのは容易ではない。今は安全装備や環境性能の向上で新車価格が全般的に高まり、2018年度上半期には、軽自動車が新車需要の36%を占めた。トヨタには価格の高い上級車種も多く、軽自動車を扱わなから不利になるが、昔からほぼ一定のシェアを保っている。

トヨタの販売店には、今でも前述の4系列が残り、トヨタ店は今の日本で売りにくい高価格セダンのクラウンを、2018年度上半期には1か月平均で4220台登録した。現行クラウンは乗り替え需要の多い新型車だから、売れ行きが伸びて当然ともいえるが、ノアやアルファードと同程度の台数になる。

トヨタの販売会社は、メーカーの資本に依存しない地場資本が多いことも特徴で(一部の地域を除く)、各販売会社が地域の事情に合った売り方をして顧客を繋ぎ止めている。

こうなるとメーカーのトヨタも、販売会社を軽く見ることはできない。トヨタもダイハツ以外の他メーカーと同様、世界生産台数の80%以上を海外で売るが、日本向けの商品開発も周到に行う。ヴォクシー/ノア/エスクァイア、アルファード&ヴェルファイアなど、販売系列に応じて姉妹車を造り分けることも、販売会社の意向に基づく。

系列ディーラー専売車を辞めると何が起こる?

TRD クラウン for RS BODY ブラックエディション(2リッターターボエンジン搭載)

2018年9月下旬に、トヨタが全店で全車を扱って車種数を半減させるという報道があった。これについて地場資本の販売店からは「冗談ではない。専売車は他店には売らせない」と憤る声が聞かれる。クラウンをネッツトヨタ店が売ったり、パッソをトヨタ店が扱えば、ユーザーから見た時の違和感も大きいだろう。

また全店が全車を扱うと、売れ行きが販売のしやすい車種に偏ってしまう。系列を撤廃した他メーカーを見ると、ホンダであれば軽自動車が国内販売の約半数を占める。さらにN-BOX(少数のスラッシュを含む)だけで、ホンダ車全体の30%以上に達する。日産もノート+セレナ+デイズ+デイズルークスの4車種が、日産車全体の60%以上を占める。

そしてこの状況は、トヨタでも進行中だ。トヨタで国内販売の上位に位置するアクア、プリウス、シエンタ、C-HRは全店が扱う。販売のしやすいハイブリッドとコンパクトミニバンだから、売れ行きが伸びた。

逆に市場が縮小傾向にあるセダン&ワゴンのクラウンやカローラを全店が扱えば、専門性が薄れたことで売れ行きが下がる可能性も生じる。

販売網の再編は誰のため?

ネッツ店トヨペット店

さらに懸念されるのは店舗の統廃合だ。4系列を残した状態で店舗を廃止すると、その地域に供給できない車種が生じてしまう。例えばトヨタ店を廃止すれば、クラウンやランドクルーザーを広い地域で売りにくくなる。

しかし全店が全車を扱えば、1つの店舗を減らしても、周辺の店舗でカバーできる。むしろ販売網が余剰になることもある。

日産やホンダも以前はトヨタのような販売系列をそろえていたが、2000年に入って販売網の再編を本格化させ、系列を集約して全店が全車を扱うようになった。その結果、店舗数も減っている。この時にメーカーは「全店が全車を扱う方がお客様にとって親切」と説明したが、それが本当なら、1950年代から1980年代に築いた販売系列は無意味だったことになってしまう。本当の目的は販売網をシンプルにしてコスト低減を図り、店舗の統廃合や姉妹車を含めた車種の廃止を容易にすることだ。つまり販売網の再編は、ユーザーの立場で考えても、後ろ向きの市場戦略といえるだろう。

トヨタが高いシェアを保つ背景には、系列化された地場資本の販売力があり、これは何よりも大切にすべきだ。

このほか他メーカーが販売再編を皮切りに、商品開発の主力を海外向けに移して車種数を減らしたことも、トヨタの立場を有利にした。他メーカーが弱くなって、トヨタの1人勝ちになったわけだ。このトヨタが全店で全車を扱ったり、車種の廃止を進めれば、国内需要の冷え込みが加速する心配が生じる。

カーシェアへの進出は切り札になるか

カーシェアリングも、ユーザーニーズに応じて用意するのは理解できるが、積極的に行う事業ではないだろう。自分が所有するクルマでないと、愛情を注ぎにくいからだ。ユーザーに「愛車」という気持ちがないと、点検、消耗部品の交換、洗車、さらにいえばドレスアップなどを行う意欲まで薄れてしまう。クルマの売れ行きが下がるだけでは済まされない。

今はクルマの変革期とされるが、それだけに慎重で正しい判断が求められる。間違えた方向に進むと、取り返しがつかない結果を招く。

挑戦することは大切だが、常にユーザーの満足感を基準に考える必要がある。例えばカーシェアリングを進めるなら、所有するのと同様の満足感を別の形で提供する必要があるだろう。

コネクティッド戦略の先に見え隠れする可能性と不安

トヨタ新型クラウン&カローラスポーツのコネクテッドカー発表イベント「THE CONNECTED DAY」[2018年6月26日]

コネクティッドと称される通信機能も同様だ。もともとクルマは移動の手段であり、コミュニケーションのツールだから、通信とは親和性が高い。昔の逓信省(ていしんしょう)は、郵便と併せて電話も扱っており、この2つの手段はライバル同士でもあった。クルマの持つ移動の価値と、コネクティッドをバランス良く両立させる必要がある。

トヨタは日本のクルマ社会のリーダーだから、過去を振り返っても、各社が多かれ少なかれトヨタに追従しながら成長してきた。これからも良い手本を見せていただきたい。

[筆者:渡辺 陽一郎]

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