水と油!? トヨタとソフトバンクがいま協業を始める理由とは

  • 筆者: 国沢 光宏
  • カメラマン:オートックワン編集部

日本を代表する製造業とIT企業が手を組んだ

2018年10月4日、株式時価総額日本No.1のトヨタ自動車とNo.2のソフトバンクが協業を始めると発表した。皆さん「凄いことですね!」とは思うだろうけれど、どんな内容なのか解りにくいかもしれない。

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トヨタとソフトバンク、共同出資会社を設立|新モビリティサービス構築に向け

そもそもトヨタは日本の象徴といえる伝統ある製造業の雄。そしてソフトバンクといえば、今や世界の流れとなるIT企業で、水と油のような存在だった。

私は自動車産業を長く見てきている。

自動車産業の特徴を上げると…

1.人生の中で家を除けば一番高い商品を作っている

2.大切な人命を預かっているため、信頼性やアフタービスに魂を込める

3.「速度違反」に代表される警察官や政治家ですら守れない法律を前に、比較的フレキシブルな奥行きを持つ現実社会と付き合っている

いっぽうソフトバンクといえば

1.ユーザーから直接お金取らない業種もあるのに利益を上げられる

2.たまにアプリがフリーズするくらいなら随時アップデートしていけばよいレベルの信頼性

3.付き合いのあるソフトバンクの部門(私の場合Yahoo!です)を見ると原理主義。速度違反であれば、現実がどうあれ1km/h違反なら絶対に許せない

…といった具合。

極めて高い信頼性を20年に渡り維持することなどIT業界で実現できるのか!?

考えて欲しい。

クルマのメインスイッチを入れると、ハイブリッド車は複雑なシステムを立ち上げるけれど、フリーズすることなど許されない。社外品であるカーナビゲーションシステムすら、トラブルが出ることなど皆無に近いほど。過酷な環境で使われるのに、20年程度の耐久性が要求される。

ということから、自動車業界は今までIT産業に対し少し懐疑的だった。実際、協業が始まると現場のスタッフは相当苦労することだろう。

今回発表された協業内容を見ると、とりあえず自動車の自動運転に代表されるIT分野になるようだ。トヨタからすると、絶対安全性は譲れない。「売ってから完成度を高めていこう」というIT産業の常識からすれば「そんなことしていたらいつになっても発売出来ない」等々。

稀代の経営者、豊田 章男と孫 正義が、困難な課題も打ち破る!?

といった具合で、ハードルはおそらく山ほどあるに違いない。通常の提携なら前に進むことが難しいことだろう。

けれど個人的には相当期待している。なぜか?

豊田 章男と孫 正義という稀代の経営者が手を握ったからに他ならない。

もっと言えば、この2人で現在我が国が抱えている課題を突破出来なければ、日本の先は暗い。

次世代のクルマづくりは”オールニッポン”で取り組む!

少し具体的に書く。

トヨタは2020年のオリンピックに合わせモビリティサービス専用EV“e-Palette”という自動運転車を実現させようとしている。

当初、独自で全て手がけようとしていたが、やはり餅は餅屋だと考えたようだ。自動車産業で言えば、タイヤはタイヤ業界に頼んだ方が自社開発よりずっと奥行きのあって優れた製品が低コストで作れる。

実際、自動運転やAI、コネクテッドに代表される次世代のクルマを開発するにあたり、IT企業のパワーやノウハウは必要だと思う。章男社長の言葉を借りれば「オール日本で取り組む」ということ。協業が進捗しなければ、豊田 章男と孫 正義から叱責されるのだから現場も頑張るしか無い!

どんなアウトプットが出てくるのか、今から楽しみだ。

[Text:国沢 光宏/Photo:オートックワン編集部・トヨタ自動車]

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国沢 光宏
筆者国沢 光宏

1958年生まれ。ベストカーガイド編集部員を経て自動車評論家に。空気を全く読まず言いたいことを言い、書きたいことを書くので自動車メーカーから嫌われている。現在所有しているクルマは日産リーフとトヨタ・プリウス、ホンダ・インサイト。趣味はラリーに出場すること。人気のない(本人談)Webサイト(http://kunisawa.net/)を運営中。記事一覧を見る

監修トクダ トオル (MOTA編集長)

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