イメージしたのは「筆の運び」/トヨタ 新型「シエンタ」デザイナーインタビュー[後編]トヨタ 郷 武志【DESIGNER’S ROOM】(2/3)
- 筆者: 森口 将之
- カメラマン:原田淳
筆の運びはインテリアデザインにも反映
AO:インテリアもまたエクステリアに負けず有機的な造形ですが、まずインパネはどんな考えで描いたのでしょうか。
G:ここも筆の運びからイメージしました。まずは機能優先でメーター、センターのディスプレイ、助手席側の収納スペースを確保して、これらが象徴的に見えるように一筆書きで機能をつなげたのです。ミニバンなので広さと安心感は外せませんから、インパネの上側で広さ、下で安心感を表現しました。
AO:メーターをセンターからドライバー前の奥に移した理由は。
G:シエンタは家族のためのクルマでもありますが、同時にドライバーも満足できる要素を持たせたかったので、コクピット的に表現しました。センターに配置する要素が多く、レイアウトが難しいためもあります。
メーターを奥に置いたのは、視線移動の少なさもありますが、リムの上から見るタイプなので横方向に広げることが可能で、メーター内の液晶を見やすい横長にできました。
グローブボックスの中は・・・オレンジ!
AO:グローブボックスの中をオレンジにしたり、インテリアのカラーコーディネイトも大胆ですね。
G:グローブボックスは、お金をかけないで質感を上げるためのアイディアで、塗装ではなく材料着色で仕上げています。ジャケットの裏地など見えない部分に凝るファッションテクニックを参考にしました。
オレンジにしたのは、内装色やイルミネーションとのマッチングを考えた結果です。ストライプの下に入れたステッチ状の成形は、硬い成形品で上質感を出すためのアイディアです。シルバーの部分はサテンメッキとすることで、ダウンサイザーの方にも訴求しました。コストを掛けずに大人っぽく表現することを目指しました。
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