トヨタ 新型RAV4試乗【後編】 公道&ダートの巻|群雄割拠のミッドサイズSUVセグメントの中でも人気者になりそうな気配(1/3)
- 筆者: 今井 優杏
- カメラマン:茂呂 幸正
今のSUVのメインストリームにおいてパイオニアである「RAV4」が日本復活
さあ、いよいよ日本市場にRAV4が復帰だ!
ちょっと見ない間に5代目である。なかなかのロングランモデルなのだ。
その歴史を振り返ると、1994年に発売された初代RAV4は、ソフトクロカンというかマイルドオフロードというか、“オンロード系オフロード”という、ちょっとナンパなコンセプトが時代にハマって人気を博したクルマだった。
当時はラダーフレームを使っていない四駆はヨンクじゃない!的な風潮がまだあったのだけれど、その禁じ手を破り、乗用車をベースにして設計されたのがRAV4。そう、まさにコレって今のSUVのメインストリームな手法だから、このジャンルにおけるパイオニアだと言ってもいい。
>>>日本市場に復活した新型RAV4の内外装を画像でチェック
群雄割拠のミッドサイズSUVセグメントの中でも人気者になりそな気配ムンムン
だけど時代は変わり、今やご存知の通りこのミッドサイズSUVというセグメントは隙間がないくらいの大混雑だ。
国産はおろか輸入勢も薄利多売を承知で戦略的なプライスタグを掲げ、バカスカ参入している密集状態。しかも同社にはほぼ同サイズの売れっ子、ハリアーも存在しているし、いったい棲み分けはどうするの?
そんな疑問は一回試乗した途端に吹っ飛んだ。なにこれ、めちゃイイやん!
トヨタ車ならではのきめ細やかな商品力に、確かな走行性能を兼ね備えていて高好感度。いやはや、これは初代同様、人気者になりそうな気配ムンムンだ。
一般発売を前に、ひと足お先にオフロードコースと一般道での試乗が叶ったのでレポートしたい。ちなみにさらにその前、雪上クローズド・コースでの試乗も行っている。それは別記事にて展開しているので、是非併せてご覧くださいませね。
全体的にロー&ワイドで都会にも馴染むワイルドさ
まずはエクステリアから見てみよう。
トヨタの最近のデザイン・コンセプトであった「キーン・ルック」は、ここのところ同社他モデルのプレゼンでも聞かなくなった。RAV4の先代となる4代目は、北米と欧州を中心に販売されていた日本未導入モデルであったけれど、その4代目がまとっていたデザインがまさに「キーン・ルック」。しかし近年、人知れずまた別フェーズに入ったのか、新型RAV4はキュっと釣り上がった目元こそさらに眼光鋭く生まれ変わったけれど、少し手法を異ならせているような印象を受ける。
ライト類はボディー両端に配置されて、大きなグリルがグワっと口を開ける。先進的なのだけど、パキっとしたプレスラインを随所に効かせて、どこかクラシカルにも受け取れるようなメカっぽさを漂わせている。全体的にロー&ワイドで、都会にも馴染むワイルドさを手に入れた。
実は設計初期、デザインが白紙になっていた過去も!?
幾何学形状の八角形を互い違いにはめ合わせた「クロスオクタゴン」というのがそのデザインソースになっているのだが、実は設計初期の2015年、すでに年の瀬が差し迫ったクリスマス間近に、ほぼそれのうちのどれかで決定かと思われた3つのフルサイズ・クレーモデル(粘土で削り出したデザイン模型)をすべて、白紙に戻した。クリスマス前だっていうのに、デザインチームは暗礁に乗り上げてしまった…。皆が頭を抱えたそんなとき、社内の若いデザイナー(30代男性)からその「クロスオクタゴン」というキースケッチがポロっと上がって来たのだそうだ。
「本当に、魔法のようにそのときからスッと、スムーズになにもかもが動き出したんです」と話すのはデザインを担当した豊田自動織機デザイン室の坂上元章氏。
「さらに、いざ作り始めるとこの八角形というのは、設計の上でも理にかなっていたんです」と設計側が話を受け取る。「角を落とした円に近い形状が、SUVに不可欠なアプローチアングルやデパーチャー・アングルにも有効だったのです」
加えてエクステリアデザインには、同社ランドクルーザーや北米モデルであるタコマなど、本格クロスカントリーモデルの手法を取り入れ、力強いSUVを目指したのだという。
他にも工夫された場所は多い。見切りのためにインパネの角度を1度(!)下げて視界を確保したり、サイドミラーをドア付けにしてミラー根本付近の死角を軽減したりと、快適性へのこだわりにはエピソードが尽きない。
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