ビジネスマンの衣食住すべてを担う最強商用車 トヨタ プロボックス/サクシードの魅力とは?

  • 筆者: 小鮒 康一
  • カメラマン:茂呂 幸正・トヨタ自動車株式会社

さまざまなシーンで活躍している商用車「プロボックス/サクシード」

街中を走っている姿を見ない日はない、といっても過言ではないくらい日本中の道路を走りまくっているのが商用車だろう。そのなかでも、乗用車的にも商用車的にも使えるトヨタのプロボックス/サクシード兄弟は、さまざまなシーンで活躍している車種のひとつ。

今回はそんなプロボックス/サクシードにスポットライトを当ててみたい。

>>首都高最速!?プロボックス/サクシードを写真で見る

プロボックス/サクシードの歴史

プロボックス/サクシードのデビューは2002年7月のこと。それまでのカローラ/スプリンターバン、及びカルディナバンの後継車種として登場した。

当初はプロボックスがカローラ/スプリンターバンの後継として、サクシードは上位モデルのカルディナバンの後継としてリリースされており、パット見た際の外観こそほとんど同じに見えるが、サクシードの方が荷室長で20mm、全長で105mm長く、最大積載量もプロボックスの400kgに対し、サクシードの2WD車は50kg多い450kgとなるなど、実は細かな差異があった。また、2013年10月までは乗用登録となるワゴンも設定されていた。

2014年8月には、ビッグマイナーチェンジを実施。トヨタはマイナーチェンジとしていたが、車両型式が変更になるほどの大掛かりなもので、実質フルモデルチェンジと言っても過言ではない内容となっている、車両後部こそ共通なものの、フロントセクションは新たなプラットフォームが採用されているほどだ。

先進安全装備のトヨタセーフティセンスは全グレードで標準装備

過去には1.4リッターディーゼルエンジンや5速MTも存在していたが、現在は1.3リッター(プロボックスのみ)と1.5リッターのガソリンエンジンにCVTを組み合わせたモデルの設定となっており、駆動方式は前輪駆動の2WDとVフレックスフルタイム4WD(1.5リッターのみ)の2種類が用意されている。

グレードはプロボックスとサクシードで呼称こそ異なるが、内容は共通の4グレードを用意。

レジャーのお供としても使える乗用車ライクな最上級グレードから、必要な装備だけを厳選し価格を抑えたグレードまでが用意されているが、先進安全装備のトヨタセーフティセンスは全グレードで標準装備となっていることが素晴らしい。

一応非装着の設定もあり、そうすると54,000円安くはなるが、経営者の皆さんには安さを取るあまり安全装備をおろそかにするような人にはなってもらいたくないところだ。

ビジネスマンの衣食住すべてをこなす営業車としての機能性

働くクルマに特化したプロボックス/サクシードは、実際に使用しているビジネスマンから徹底したヒアリングによってさまざまな装備が決められている。特にマイナーチェンジ後のインパネは前期型から大きく変更がなされており、現場の声が反映された賜物なのである。

例えばインパネの運転席寄りに備えられたマルチホルダーは、メモ帳はもちろん充電ケーブルを繋いだままのスマホも格納できるように作られている(ただし、メーカー純正装備らしく、ホルダーに入れたままスマホの操作はできないようになっているが)。

センタートレイにはペットボトルはもちろん、紙パックドリンクもOKなドリンクホルダーが用意されていたり、パソコンやお弁当を置くことができるインパネテーブルが備わっていたりと、まさに使い勝手を考え抜いているのである。

また、フロントシートは長時間乗車する際も快適な座り心地を実現しただけでなく、車内で仮眠をすることまで考えられており、実際に仮眠をするテストまで実施している。戦うビジネスマンは衣食住すべてをプロボックス/サクシードの中でこなすのだ。

プロボックスとサクシードの違いは?

2014年のビッグマイナーチェンジで、プロボックスとサクシードの違いはサクシードに1.3リッター仕様が用意されない程度で他は共通となってしまっている。

それまでのプロボックス/サクシードは、前述したようにプロボックスがカローラ/スプリンターバンの後継、サクシードがカルディナバンの後継ということで、サクシードの方が、荷室長で20mm、全長で105mm長く、最大積載量もプロボックスの400kgに対し、サクシードの2WD車は50kg多い450kg。またフロントマスクとリアの意匠も異なっており、サクシードの方がやや上級感のあるデザインが採用されていた。

なお、ビッグマイナーチェンジ後の荷室長は、前期プロボックスと同じ1810mm、全長は前期プロボックスとサクシードの中間となる4245mmに統一されている。

販売店は、プロボックスはカローラ店、サクシードはトヨタ店とトヨペット店となる。

なんであんなに速いの!?高速を爆走するプロサク集団

平日昼間の首都高最速は、悪魔のZでも黒い怪鳥911ターボでもなくプロボックス/サクシード……と言われるほど高速道路を爆走している姿を見ることが多い同車。

もちろん地獄のチューナーが組んだエンジンが搭載されているわけでも、中学生のころから豆腐の配達をしていたドライバーが運転しているわけではない(たぶん)。

一説には顧客の元に1分1秒でも早く到着しなければならないとか、仕事が終わったから秒速で帰りたいとか、タイヤもガソリンも会社持ちだから思う存分踏めるとか、さまざまな説が噂されている。

しかし、その一番の立役者は、なんといってもキッチリ踏み抜いても付いてくる足回りや、マイナーチェンジで刷新されたプラットフォームなどがいい仕事をしているに違いない。実はプロボックス/サクシードのワンメイクレースが行われているほど、その実力は評価されているのだ。

http://www.tp-spirit.co.jp/indexevent.html(参考までに)

TRD仕様もある!人とは違うプロボックスをお求めのあなたに…

デイリーユースとしてプロボックス/サクシードを購入し、社用車との差別化を図りたいという人には、ディーラーオプションとして用意されているTRDブランドのアイテムがオススメだ。

他車種とも共通アイテムとなるシフトノブやウインカーバルブ、LEDクリアランスバルブはもちろん、専用設計となるフロントスポイラーは、同車のイメージを大きく変えてくれるアイテムとなっている(ちなみにタウンエース/ライトエース用にもモデリスタからフロントスポイラーが設定されている)。

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トヨタ「新型サクシード/新型プロボックス」用TRDパーツが発売

また、前述のようにワンメイクレースも開催されていることから、他メーカーのエアロパーツはもちろん、足回りやブレーキなどのパーツ、果ては過給機まで用意されており、自分だけの1台を作る楽しみも大いに残っている車種でもある。

トヨタとマツダの提携でファミリアバンもプロボックスのOEMになった

一昔前までは各メーカーがそれぞれライトバンを用意しており、トヨタ カローラ/スプリンターバン、日産 ADバン、ホンダ パートナー、マツダ ファミリアバン、三菱 ランサーカーゴ、スバル レオーネバンと、全て異なる車種が存在していたのだが、ひとつ、またひとつと他車のOEMで賄うか、存在自体が消滅してしまい、2010年のホンダ パートナー生産終了をもって、プロボックス/サクシードと、ADバンOEM軍団(日産、マツダ、三菱)の2車種となってしまった。

しかし、この勢力図に今年の6月に動きがあった。2017年8月のマツダとトヨタ自動車の業務資本提携に基づいて、ファミリアバンがADバンのOEMからプロボックス/サクシードのOEMへと変更されたのである。

ちなみにトヨタ、ダイハツ、スバルでOEM供給をしあう車種については、エンブレムの楕円のアールを共有してどのエンブレムが付いても自然になるようになっているが、マツダのエンブレムはそうもいかず、ファミリアバンのエンブレムは土台の上に付く形となっている。

日本の営業マンに愛されているプロボックス/サクシード

会社に与えられているから乗っているだけで、別に愛してなんかねーよ! という声も聞こえてきそうではあるが、トヨタ ヴィッツの1.3Fが148万1760円のところ、同じエンジンを搭載するプロボックスDX1.3が138万240円と安価である点を見ても、性能と価格のバランスが圧倒的に優れていることは間違いない。

また、その道具に徹した潔さから、ハイエースほどではないものの、レジャー用に個人で購入する猛者も少なくない。そういった点を鑑みると、純粋にクルマとしての完成度が高いところにあるから未だに多くのユーザーに愛用されているのだろう。

[TEXT:小鮒 康一/PHOTO:茂呂 幸正・トヨタ自動車株式会社]

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筆者小鮒 康一

1979年5月22日生まれ、群馬県出身。某大手自動車関連企業を退社後に急転直下でフリーランスライターへ。国産旧車に造詣が深いが、実は現行車に関してもアンテナを張り続けている。また、過去に中古車販売店に勤務していた経験を活かし、中古車系の媒体でも活動中。最近では「モテない自動車マニア」の称号も獲得。記事一覧を見る

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