トヨタ プリウス新旧比較|新型は見た目も走りもスポーティに進化! ただし実用性の悪化と価格アップには要注意【2023年】

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2022年11月に5代目となる新型モデルが登場したトヨタ プリウス。新型プリウスは新たなHYBRID(ハイブリッド)の象徴として、「一目惚れするデザイン」「虜にさせる走り」をキーワードに、そのプロポーションは先代型からスタイリッシュでスポーティなものに大幅に進化しています。また、動力性能も大幅に向上しており、新型プリウスは走りもスポーティなものに。

ここでは、そんな注目の新型プリウスがどのように進化したのか、カーライフ・ジャーナリストの渡辺陽一郎さんによる先代型との新旧比較解説をお届けします。

目次[開く][閉じる]
  1. 話題のトヨタ プリウスを新旧徹底比較
  2. トヨタ プリウス新旧比較のレビュー・評価
  3. トヨタ プリウス新旧比較|外観(エクステリア)&ボディサイズ比較
  4. トヨタ プリウス新旧比較|視界/運転のしやすさ比較
  5. トヨタ プリウス新旧比較|内装のデザイン/視認性/操作性比較
  6. トヨタ プリウス新旧比較|前席・後席の居住性比較
  7. トヨタ プリウス新旧比較|乗降性比較
  8. トヨタ プリウス新旧比較|動力性能&加速フィーリング比較
  9. トヨタ プリウス新旧比較|走行安定性と操舵フィーリング比較
  10. トヨタ プリウス新旧比較|乗り心地比較
  11. トヨタ プリウス新旧比較|燃費比較
  12. トヨタ プリウス新旧比較|価格・装備の割安度、おすすめ(買い得)グレード比較
  13. トヨタ プリウス新旧比較|総合評価

話題のトヨタ プリウスを新旧徹底比較

5代目となるトヨタ 新型プリウスは、外観を大幅に変更してカッコ良くなりました。この背景には、先代型になる4代目の販売低迷があります。

先々代型となる3代目プリウスは、2010年から2015年までの6年間で、1ヶ月平均2万台以上を登録しました。それが先代型の4代目では、2016年から2022年の1ヶ月平均が約9500台に留まっています。コロナ禍の影響も受けましたが、先代プリウスの国内登録台数は、2世代前の半分以下です。販売不振と判断され、プリウスは燃費重視のコンセプトをスペシャルティカーの方向へ発展させました。

ただし人気が下がったものの、先代プリウスの保有台数は多いです。販売店からは「先代型から乗り替えるお客様が今でも多い」という話も聞かれます。そこで今回は、新型プリウスを先代型と比べてみたいと思います。新型が先代型から進化するのは当たり前ですが、新型プリウスは、前述の通り外観をカッコ良く変更。そのために全高は40mm下がって前後のピラー(柱)も寝ています。そこも含めて新旧モデルを比べていきます。

トヨタ プリウス新旧比較のレビュー・評価

新型プリウス

先代プリウス

外観

4

3

内装

2

3

走行性

5

3

運転しやすさ

2

3

乗り心地

4

3

価格の割安度・燃費・維持費

5

4

新型プリウスの先代型に比べて良い点

・走行性能、乗り心地、燃費、安全装備などの機能が向上した

・外観がカッコ良くなり、機能や装備を充実させた割に価格を抑えた

新型プリウスの先代型に比べて悪い点

・新型プリウスは天井が低くなり、乗降性や後席の居住性などが悪化した

・2Lエンジンは不要と考えるユーザーも多く、買い得な1.8LにもKINTO(カーリース)専用車でなく普通の販売形態を設けてほしい

トヨタ プリウス新旧比較|外観(エクステリア)&ボディサイズ比較

新型プリウスのボディサイズは、全長が4600mm、全幅は1780mm、全高は1430mmです。先代型に比べて25mm長く、20mmワイドで、40mm低いです。ホイールベース(前輪と後輪の間隔)は2750mmなので50mm伸ばされ、4輪をボディの四隅に配置しています。

リヤ側のオーバーハング(ボディが後輪よりも後ろ側へ張り出した部分)は、先代型に比べて50mm短く、ボディの後部を切り落とした形状です。逆にフロントオーバーハングは25mm伸びています。外観は、前後のピラー(柱)とウィンドウを先代型以上に寝かせて、5ドアクーペ風になっています。

新型プリウス

先代型(4代目)プリウス

全長

4,600mm

4,575mm

全幅

1,780mm

1,760mm

全高

1,430mm

1,470mm

ホイールベース

2,750mm

2,700mm

トヨタ プリウス新旧比較|視界/運転のしやすさ比較

新型プリウスはフロントピラーを大きく寝かせたので、先代型以上にインパネ上面の奥行きが深いです。そのためボンネットが見えず、先代型よりもボディの先端が分かりにくいです。

斜め前方の視界は、新型プリウスではドアミラーとフロントピラーの間に適度な空間があり、先代型よりも見やすくなりました。

側方視界は、新型プリウスではサイドウィンドウの下端が先代型以上に高く感じられて見にくいです。後方視界も先代型と同様に悪いです。新型プリウスはリヤウィンドウの上下寸法と幅をもう少し広げたいところ。視界は安全に直結するからです。最小回転半径は、新型プリウスのZとGは5.4mになります。これは先代型のツーリングセレクションと等しいです。

トヨタ プリウス新旧比較|内装のデザイン/視認性/操作性比較

新型プリウスのインパネは個性的です。デジタルメーターが奥まった位置に配置され、ステアリングホイールの内側ではなく、上側に見えます。注意したいのは運転姿勢との相性で、着座位置を下げたり背もたれを寝かせると、メーターがステアリングホイールの陰に隠れやすいです。

先代型のデジタルメーターは薄型で、インパネ中央の奥まった位置に装着されています。先代型では視線を左に向ける必要があるので、メーターの視認性に関しては、新旧モデルともに一長一短で互角です。

試乗した新型プリウスのグレードはZでしたが、インパネの中央には、12.3インチのディスプレイを装着していました。カーナビを表示する時には、もう少し上下幅を広げたいですが、前方視界を妨げる心配も生じます。操作性と視認性は、新旧モデルともに同等です。

トヨタ プリウス新旧比較|前席・後席の居住性比較

新型プリウスの前席は、床と座面の間隔が先代型に比べて減少しています。手足を少し伸ばして座ります。座り心地は先代型よりも快適です。腰から大腿部にかけて、先代型よりもしっかりと支えてくれます。シートは今でも進化を続けているので、新型プリウスは長距離を移動する時の疲労も少ないでしょう。

後席も新型プリウスは床と座面の間隔が少なめ。大腿部が座面から離れる心配はありませんが、先代型に比べると腰が下がって膝は持ち上がります。

身長170cmの大人4名が乗車した時、後席に座る乗員の頭上空間は、新型プリウスでは握りコブシの半分程度。後席の膝先空間は握りコブシ2つ分になります。この余裕は先代型と大差ないですが、新型プリウスは着座位置が下がったので、後席は少し窮屈で閉鎖感が伴います。

トヨタ プリウス新旧比較|乗降性比較

新型プリウスは先代型に比べて全高を40mm下げて、さらにフロントピラーを大きく寝かせました。従って乗降時には、先代型以上に頭と腰を低く下げる必要があります。

後席のドアは、開口部の上端が後ろに向けて下がっているので、乗降時には乗員の頭部が前席以上にルーフに干渉しやすいです。先代型も乗降性は良くなかったですが、新型プリウスではさらに悪化しました。先代型から乗り換えるユーザーは注意が必要です。

トヨタ プリウス新旧比較|動力性能&加速フィーリング比較

新型プリウスの動力性能は、先代型に比べて大幅に向上しました。当面はKINTO専用車となる1.8Lエンジン車も、ハイブリッドシステムが第5世代に入り、実用回転域の駆動力が高まっています。

性能の違いを明確に感じるのは、登坂路などに差し掛かってアクセルペダルを踏み増した時です。先代型ではエンジン回転数が急激に上昇してノイズも増えましたが、新型プリウスの1.8Lは実用域の駆動力が高まったので静かです。動力性能の向上も含めて運転しやすくなっています。

一般ユーザー向けのグレードになる2Lエンジン車は、実用域の駆動力がさらに向上して余裕が生じます。エンジンノイズも大幅に小さいです。モーターのみの駆動で発進して、その後にエンジンが始動しても、ノイズの変化が小さいです。

エンジンとモーターの駆動力を合計したシステム最高出力は、先代型の1.8Lが122馬力、新型の1.8Lは140馬力、2Lは193馬力。感覚的にいえば、新型プリウスの1.8Lの性能は、ノーマルエンジンの2Lに相当します。2Lのハイブリッドは2.5L並みです。

トヨタ プリウス新旧比較|走行安定性と操舵フィーリング比較

新型プリウスは先代型に比べて重心が低く、ボディの各部も補強されました。そのために走行安定性が高まっています。先代型はステアリングホイールを回し始めた時の反応が少し曖昧でしたが、新型プリウスは正確で、運転しやすく操舵感も上質です。

カーブを曲がる時の性能も高まり、先代型は後輪の安定性を確保するために峠道では少し曲がりにくかったものの、新型プリウスは操舵角に応じて車両が確実に内側を向きます。

しかも下りカーブでは後輪の接地性が高く、安定性や操舵感を総合的に向上させています。ステアリングホイールを通じて、路面の状態も的確に伝わり、安心して運転を楽しめます。

トヨタ プリウス新旧比較|乗り心地比較

19インチタイヤを装着する2LのZやGは、時速40km以下で走る街中では、乗り心地が少し硬いです。17インチタイヤの1.8Lモデルは、操舵感は少し鈍いですが、乗り心地が柔軟になって市街地走行には適しています。

先代型に比べても、19インチタイヤは硬めですが、適度な引き締まり感もあります。乗り心地は粗さが抑えられ、少し快適になりました。17インチはさらに柔軟で、バランスが良いです。

先代型も衝突被害軽減ブレーキなどを採用していますが、新型プリウスでは、自車が右左折する時でも直進車両や横断歩道上の歩行者を検知できます。

新型プリウスではプロアクティブドライビングアシストにも注目したいところ。下りカーブに差し掛かり、ドライバーがブレーキペダルを踏もうとした時には、自動的に緩やかな制動が開始されます。衝突被害軽減ブレーキは、衝突が迫った時に急制動しますが、プロアクティブドライビングアシストは、その前の段階で危険な状態に近付くのを抑えます。安全装備は今でも進化が著しく、新型では機能が向上しています。

トヨタ プリウス新旧比較|燃費比較

新型プリウスのWLTCモード燃費(2WD)は、1.8Lが32.6km/Lで、2Lは28.6km/Lです。

先代型は1.8Lのみで、売れ筋になる15インチタイヤ装着車は30.8km/L、17インチは27.2km/Lでした。つまり新型プリウスは、動力性能とWLTCモード燃費が両方ともに改善されているということです。

トヨタ プリウス新旧比較|価格・装備の割安度、おすすめ(買い得)グレード比較

新型プリウスの価格・グレード

グレード

エンジン

駆動方式

最高出力(馬力)/

最大トルク(Nm)

価格(税込)

Z

2.0L+ハイブリッドシステム

4WD

152馬力/188Nm

392万円

2WD

370万円

G

4WD

342万円

2WD

320万円

U(当面はKINTO専用車)

1.8L+ハイブリッドシステム

4WD

113馬力/206Nm

321万円

2WD

299万円

X(法人向けグレード)

4WD

297万円

2WD

275万円

新型プリウスPHEVの価格・グレード

グレード

パワートレイン

(動力源)

駆動方式

最高出力(馬力)

価格(税込)

Z

2.0L+プラグインハイブリッドシステム

2WD

223馬力

460万円

旧型プリウスの価格・グレード

グレード

エンジン

駆動方式

最高出力(馬力)/

最大トルク(Nm)

価格(税込)

E

1.8Lハイブリッドシステム

2WD(FF)

98馬力/142Nm

251万8560円

S

2WD(FF)

256万5000円

E-Four(4WD)

275万9400円

S“ツーリングセレクション”

2WD(FF)

273万2400円

E-Four(4WD)

292万6800円

A

2WD(FF)

284万2560円

E-Four(4WD)

303万6960円

A“ツーリングセレクション”

2WD(FF)

300万6720円

E-Four(4WD)

320万1120円

Aプレミアム

2WD(FF)

317万5200円

E-Four(4WD)

336万9600円

A"ツーリングセレクション"

2WD(FF)

328万4280円

E-Four(4WD)

347万8680円

新型プリウスの1.8Lでは、ベーシックなXは法人向けで、Uは当面、定額制カーリースのKINTO専用車となります。一般ユーザーを対象にするのは、G、Z、外部充電可能なPHEV・Zのみになります。

この中で最も買い得なグレードはG(320万円)です。1.8LのX(275万円)に比べると、ハイブリッドシステムが上級化して、なおかつ19インチアルミホイール&タイヤ(オプション価格は11万2200円)、8インチディスプレイオーディオなどのセットオプション(22万7700円)、上級ファブリックのシート生地(7万2600円)も加わります。

Gの価格はXに比べて45万円高いですが、その内の約41万円は装備の価格換算額で埋まり、ハイブリッドシステムの上級化に伴う価格アップは正味4万円に収まります。

つまりトヨタのミドルサイズカー以上に搭載されるハイブリッドは、今後は2Lが主力になることが予想されます。この大量生産を見越して、新型プリウスでは、高コストな筒内噴射+ポート噴射を併用する2Lハイブリッドを割安に抑えたわけです。新型プリウスの2Lを先代型と比べても、価格自体は高まりましたが、機能の向上で新型プリウスが買い得になっています。

トヨタ プリウス新旧比較|総合評価

新型プリウスは先代型に比べると、側方の視界、前後席の乗降性、後席の居住性、荷室の使い勝手をすべて悪化させました。

従って先代型から新型に乗り替える時も、この欠点は十分に注意すべきですが、逆に動力性能、走行安定性、ブレーキ性能、乗り心地、静粛性、燃費性能、安全装備は向上しています。さらに2LのGは、機能や装備の充実を考えると、先代型に比べて買い得になっています。

販売店の試乗車を使って前述の欠点を確認して、不満を感じなければ、新型プリウスは買い得です。納期は2023年2月初旬の時点で、2LのZは1年以上に延びています。受注を停止した販売会社もあります。Gも半年から1年を要するので、購入検討の方は商談は早めに開始したいところです。

【筆者:渡辺 陽一郎 カメラマン:小林 岳夫】

トヨタ/プリウス
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新車価格:
275万円460万円
中古価格:
28.6万円648万円

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渡辺 陽一郎
筆者渡辺 陽一郎

1961年生まれ。自動車月刊誌の編集長を約10年務めた後、フリーランスのカーライフ・ジャーナリストに転向。「読者の皆さまに怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も重要なテーマと考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を心がけている。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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