トヨタは2030年までにEV30車種を投入予定! 世界初披露となる15台のコンセプトカーとトヨタのEV戦略とは

  • 筆者: 永田 恵一
  • カメラマン:森山良雄/トヨタ自動車
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2021年12月14日(火)、トヨタが大々的にEV戦略の方針を発表した。「2030年までに電気自動車を30車種投入し、350万台生産。2022年年央に市販化されるミドルSUVの電気自動車となるbZ4Xと15台もの電気自動車のコンセプトカーの公開」といった点などに注目が集まった。

トヨタの電気自動車説明会で筆者が強く感じたのは、トヨタの大きなポリシーである「やると決めたら必ずものにする」と「顧客第一主義」だった。

一体どのような内容が発表されたのだろうか。詳しく紹介しよう。

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  1. ハイブリッドカーや燃料電池車を世界初の量産化に成功
  2. 2030年にはトヨタ全体の3分の1以上が電気自動車となる
  3. 電気自動車を牽引していくのもトヨタという構図になりそうだ

ハイブリッドカーや燃料電池車を世界初の量産化に成功

まず「やると決めたら必ずものにする」という点だ。こちらに関しては、古くはATやデジタルメーター、20世紀末からのハイブリッドカー、今後パワートレーンにおける大きな柱になるであろう燃料電池車と、これまでにトヨタが「将来性があると判断したら、時間を掛けてでも普及させた技術」というのは数多い。

電気自動車の量産化への準備は水面下で進められていた

そのなかでトヨタの電気自動車への取り組みは量産車がbZ4Xまでなかったこともあり、「消極的」と言われた時期もあった。しかし、それは大きな間違いで、トヨタは1992年にEV開発部という組織を持っていたのに加え、ハイブリッドカーや燃料電池車は極端に言えば、ハイブリッドカーはエンジンと発電用モーターを、燃料電池車は燃料電池をバッテリーに置き換えれば電気自動車であり、電気自動車の量産化への準備は着々と進められていた。

ただ、電気自動車のユーザーメリットなどを総合的に考えると、後者の「顧客第一主義」から電気自動車への注力の大々的な発表は「今年に入ってからだった」というだけである。

2030年にはトヨタ全体の3分の1以上が電気自動車となる

ということからトヨタが「2030年に電気自動車を350万台」と宣言したことの凄さを考えると、トヨタとレクサスの世界生産台数は新型コロナウイルスの影響があった2020年/約790万台、2019年/約905万台だったので、つまり2030年にはトヨタとレクサスを合計した3分の1以上が電気自動車になるということである。

特にレクサスは「2030年に電気自動車が100万台(中国、欧州、北米では2030年に電気自動車100%、2035年にはすべて電気自動車化)」と宣言されており、レクサスの世界販売台数は2020年/約72万台、2019年/77万台だった。このためレクサスは販売台数とシェアを大幅に拡大した上での電気自動車100万台であり、レクサスの電気自動車化はレクサス自体のブランド力と商品力の向上を含め、力が入っている。

なお、トヨタは電気自動車の普及に伴い充電インフラに関しても、2025年を目指し日本全国のトヨタディーラーに急速充電器を設置していくことも計画しているという。

コンパクトカーからピックアップトラックまでフルラインナップする

また、トヨタが「2030年に350万台生産」という点には、コンパクトカーからランドクルーザーやピックアップトラックまで揃えるフルラインナップメーカーという面でのトヨタらしさも感じた。

というのも説明会の質疑応答の中には「ブラジルではガソリンより安いバイオエタノール燃料が実用化され、トヨタもバイオエタノール燃料を使ったハイブリッドカーを販売している」という例から、「地域やクルマの性格によっては電気自動車化がベストとも限らない」という言葉もあった。

といった事情もあり電気自動車、レーシングカーでの実験が行われているエンジンを含めた水素、プラグインハイブリッドを含めたハイブリッドカーなど、全方位戦略=ユーザーの選択肢を広めていくという方針は実にトヨタらしい。

電気自動車を牽引していくのもトヨタという構図になりそうだ

また、今年のお正月に「550万人の走らせる仲間」という自工会のCMがあったように、自動車関係は日本の就労人口の10%となる基幹産業である。それだけに自動車生産は雇用の裾野も広いが、電気自動車の普及は部品サプライヤーのとっては死活問題となる面もある。そんな懸念に対しても質疑応答で豊田章男社長から「どんな仕事、会社の規模であれ、ずっとやってこられた方々、やってきてこられた会社が、今までの人生は何だったのと思わないような自動車産業にしていきたいと思う」という言葉があったのも、日本を代表する企業の1つであるトヨタが抱える責任のようのものも感じた。

いずれにしてもbZ4Xをはじめ、説明会で公開された遠くないうちに揃うトヨタとレクサスの電気自動車を見ると、「電気自動車を牽引するのもトヨタで、電気自動車に乗り換えるならトヨタ車を見てから」と思わざるを得ない。同時にトヨタとレクサスが投入していく電気自動車がいろいろな面で世界の自動車業界に大きな影響を与えるのも間違いだろう。

【筆者:永田恵一】

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永田 恵一
筆者永田 恵一

1979年生まれ。26歳の時に本サイトでも活躍する国沢光宏氏に弟子入り。3年間の修業期間後フリーランスのライターとして独立した。豊富なクルマの知識を武器に、自動車メディア業界には貴重な若手世代として活躍してきたが、気付けば中堅と呼ばれる年齢に突入中。愛車はGRヤリスと86、過去には日本自動車史上最初で最後と思われるV12エンジンを搭載した先代センチュリーを所有していたことも。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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