トヨタ 新型カローラ/カローラツーリング試乗|世界の大衆車“カローラ”は本当に生まれ変わったのか(1/2)

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50年以上の歴史を持つトヨタの大衆車ブランド「カローラ」がフルモデルチェンジを実施した。プラットフォームを一新し、エッジの効いた内外装デザインを与えることで、これまでのカローラのイメージを若返らせている。さて、乗ってみた印象はどうだろう。気になる乗り味や動力性能、居住性など、モータージャーナリストの山田弘樹氏が徹底的にテスト。新型カローラ/カローラツーリング/カローラスポーツの印象について、詳細に評価する。

目次[開く][閉じる]
  1. 先行するカローラスポーツがデビュー1年で乗り味に手を加えた理由
  2. 一部改良で洗練度を増したカローラスポーツに試乗
  3. 日本向けにボディサイズをギュッと凝縮させたカローラ/カローラツーリング
  4. 新型カローラの1.8Lガソリンとハイブリッドを徹底比較
  5. 過去の呪縛に決別を告げながらも、いっぽうで頑固に守り続ける味がある

先行するカローラスポーツがデビュー1年で乗り味に手を加えた理由

12代目となるカローラの「セダン」と「カローラツーリング(ワゴン)」、そして今回小変更を受けた「カローラスポーツ」に試乗することができた。

昨年5ドアハッチである「カローラスポーツ」をプロトタイプから試乗し、「トヨタのハンドリングに小さな革命が起きている!」と感じた筆者だったが、なんと今回はそのカローラスポーツが、一年も経たないうちに足回りの変更を受けたという。

そしてこの変更をベースに、セダンとツーリングのフットワークが形成されたというので、順序立ててこれを説明して行くこととしよう。

>>新型カローラ/カローラツーリング/カローラスポーツを画像でみる[フォトギャラリー]

一部改良で洗練度を増したカローラスポーツに試乗

小変更を受けたカローラスポーツを試乗してまず感じたのは、「これは去年真っ先に購入したユーザーが悔しがるだろうなぁ…」ということだった。

試乗したのはハイブリッドモデルで、グレードは「G “Z”」。

従来モデルとの違いは、ずばり乗り心地の洗練だと思う。そして開発陣は変更の狙いを、操作性の向上だと述べた。従来のようにピッチングやロールを抑制してスタビリティを高めるのではなく、「人が予測しやすくサスペンションを動かす」ことで、目線の動きを減らす。これによって快適な運転感覚を目指したのだという。そこで今回ダンパーの構造とEPS(電動パワーステアリング)の制御を見直したわけだが、結果的には乗り心地までもが良くなっていた。

具体的にはオイルの選定から見直し、ピストン外壁に敢えてシリンダーとの摺動(しゅうどう:滑らせて動作させる)抵抗を僅かに掛けることで、動き出しから減衰力を素早く立ち上げるのだという。またリアのスタビライザーは、板厚を増す方向で適正化したという。

目線の動きが少なくなり、乗り心地も上質に

実際にこれを試したところ、サスペンションの縮み出しがとてもスムーズ。そしてまったりと路面の入力を受け止めて、これを減衰していることが印象的だった。

目線の動きの少なさは、意識すると確かにピッチングの少なさとして感じ取れたが、これを意識しながら乗るよりも、自然に運転している方が断然気持ち良い(まさにここが開発陣の狙いなのだが)。

乗り比べてしまうと板の上に乗っているような旧モデルに対して、新型はそこに厚手の絨毯を敷いたような乗り心地の良さを感じる。遮音性は同じくらいだが、路面からの細かいバイブレーションと、コツコツとした突き上げが巧みにダンピングされていた。それでいてダンパーは初期からきちっと減衰力を立ち上げているから、しっかり感も損なわれていないのだ。

とはいえ接地荷重が高まって行けば、旧型も生き生きとしてくる。コーナリングの素直さや操舵応答性の良さはまったく損なわれておらず、むしろこのちょっと荒い初期ダンピングからのシャープな応答性に、若いユーザーならスポーティさを感じるかもしれない。

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逆に新型はサスペンションの初期作動領域が洗練されたことで、EPSのフィールにメリハリ感がもう少し欲しくなった。今回はここも改良したとのことだったが、モードを「スポーツ」に変更しても、まだ操舵方向に若干オーバーシュートしてしまう。これをドライバーが無意識に近い状態で引き戻す感覚が少しだけある。

ひとつ改善すれば次の課題が見つかる。それが進化というものなのだろう。

ちなみに今回の新旧比較は、オプションのAVS(可変ダンパー)ではない。コンベンショナルダンパーでこれだけの進化を果たしたのは本当に驚きだが、まさにこの技術をカローラセダンとカローラツーリングにも応用するため、この短期間でカローラスポーツにも改良が加えられたのだという。

日本向けにボディサイズをギュッと凝縮させたカローラ/カローラツーリング

新型カローラ(セダン)とカローラツーリング(ワゴン)において最も注目すべきポイントは、そのボディサイズがグローバルモデルとは違い「日本専用サイズ」となったことだろう。

ちなみにツーリングのボディサイズは4495×1745×1460mmで、ホイールベースは2640mm。これは先代モデルに対してひとまわり大きいサイズになっているものの、欧州モデルに対しては全長が155mm短く、全幅は45mm狭く、ホイールベースは60mmも短くなっている。

これはひとえに取り回しの良さを考えてのコンパクト化だが、リアの居住空間がグローバルモデルに比べて狭いことをユーザーがどのように捉えるかは興味深い。実際は先代比ならホイールベースも40mm延長されており、決して広くは感じないが、身長170cmの筆者が座ってもさほど窮屈な感じはしなかったことを付け加えておく。

ちなみに最小回転半径は、セダン/ワゴン共に5mを実現している。

トヨタ/カローラ
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セダンとツーリング、乗り味の違いがほとんどないことに感心

そんなセダンとツーリングだが、感心したのはその乗り味だった。当然ワゴン形状のボディならばセダンよりも剛性は落ちるはずだが、結論から言えば街中でその差はほとんど感じられなかった。

両者の重量差は最大でも20kgほどしかなく(ガソリン車のGーXモデルのみ40kg)、ツーリングだからといって特別なボディ補強をしているわけではなさそう。つまりそれだけツーリングのTNGAプラットフォームがしっかりしており、なおかつサスペンションが路面からの入力を上手にいなしているということなのだろう。フロアに低級振動が伝わるようなこともなく、乗り心地は至って快適だった。

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山田 弘樹
筆者山田 弘樹

自動車雑誌編集者としてキャリアをスタート。輸入車雑誌 副編集長、アルファ・ロメオ専門誌編集長等を経て、フリーランスのモータージャーナリストに。レース参戦なども積極的に行い、走りに対する評価に定評がある。AJAJ会員。カーオブザイヤー選考委員。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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