トヨタ セルシオ 試乗レポート

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キャデラック、ベンツに影響を与えたクルマ「セルシオ」

1989年、トヨタのクルマづくりのノウハウを集結してつくられたセルシオは、アメリカ市場でレクサス店のフラッグシップカーだった。その完成度は高く、アメリカのキャデラックやドイツのメルセデスベンツの高級車づくりに影響を与えた、とまで言われた。その後、2代目を発表し、これも成功した。3代目が現行モデルで、2000年8月に登場している。スタイリングの基本イメージはそのままに、全長、全幅を拡大することなくホイールベースを75㎜、全高は55 ㎜高くした。これで室内の居住空間は、前後に身長190㎝クラスが座れるほどに広くなった。マイナーチェンジは03年8月。このときにそれまでの5速AT から6速ATに変更、さらにプリクラッシュセーフティシステムを採り入れるなど、燃費向上と安全性の充実を図った。

ミリ波レーダーにより進路上の障害物を認知

新開発の6速ATはシーケンシャルシフトマチックを採用した。これはDレンジからシフトレバーを横に倒し、Sレンジを選択。ここからレバーを前後に動かすことでシフトアップ、ダウンをマニュアル操作できる。6速だけでなく5速ギアにもロックアップ制御を作動させることで燃費は初期モデルの8.2km/Lから8.9km/Lへと向上した。サスペンションはモノチューブ型ショックアブゾーバーを採用している。安全性能ではミリ波レーダーにより走行中に進路上にあるクルマや障害物を認知し、その状況から衝突への危険性を判断する。衝突することが避けられないと判断した場合はシートベルトのたるみを巻きとり、体を固定する。さらにブザー音とメーター内で警告表示する。同時にブレーキ制御し、車速を低減させる。ブレーキを踏んだときは運転者の意志と関係なく急ブレーキをかけるなど、クルマが制動距離を縮める動きをしてくれるのだ。

スポーツカー並みの加速にして燃費もGOOD!

V8、4.3Lエンジンは1000回転という低い回転数からでも、ビッグサイズの4ドアセダンを加速させる太いトルクを発生する。さらに4000回転をオーバーすると、トルクはより太くなり、加速力も高まる。Dレンジでのスタートから100km/hまでに要する時間は7秒台。これはスポーツカーの数値だ。6速ATはシフトショックもなくスムーズ。6000回転まで上昇し、1速60、2速で110km/hまで引っぱる。一方、100km/h走行時のエンジン回転数は6速1600、5速2300回転と、かなり低回転。これなら燃費もよいはずだ。エアサスペンションはノーマル/スポーツの切りかえで、ロールの角度も制御する。その差はハンドルをきりこんだ瞬間のボディのロールでわかる。スポーツモードにしても、乗り心地は不快なほどにかたくなることはなかった。ブレーキも強力だった。

ヨーロッパ車の個性をとるか、セルシオの安心感をとるか

デビューして5年目に入るセルシオだが、強力なライバルが表われる。それは、新型のクラウン・マジェスタだ。今回のマジェスタは、V8エンジン、大きなボディで、セルシオの対抗モデルに成長したのだ。これはセルシオオーナーやファンにはかなり気になる。現行のセルシオでは、やはりヨーロッパチューンのサスペンションを与えられたeR仕様が気になる。そのセッティングは、あまりかたくなく、乗り心地は犠牲になってはいなかった。個人的にはもう少しハードにしてもよいのでは、と思った。セルシオはボディサイズや性能、格式などを含めて、ライバルはヨーロッパのミドルクラスセダンだろう。メルセデスベンツEクラス、BMW5シリーズ、アウディ6シリーズ、ジャガーSタイプなどがその候補といえる。これらのモデルとセルシオを購入対象として比較してほしい。ヨーロッパ車の個性をとるか、セルシオの安心感をとるか。

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石川 真禧照
筆者石川 真禧照

1947年東京都生まれ。1970年日刊自動車新聞社入社。翌年同社退社後、フリーの自動車評論家となる。1982年「I.W.OFFICE」を設立し、自動車を中心としたメディア活動を開始。「自動車生活探検家」として、『GORO』『DIME』(小学館)、『HOT DOG PRESS』(講談社)、『カーセンサー』(リクルート)など多数のメディアで活躍、現在に至る。日本モータースポーツ記者会会員。日本自動車ジャーナリスト協会副会長。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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