トヨタ カムリハイブリッド(2014年マイナーチェンジモデル)試乗レポート/渡辺陽一郎(2/2)

トヨタ カムリハイブリッド(2014年マイナーチェンジモデル)試乗レポート/渡辺陽一郎
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さらなる改善を望む「レーダークルーズコントロール」

トヨタ カムリハイブリッド(2014年マイナーチェンジモデル)

注意したいのは「レーダークルーズコントロール」だ。

アクセルとブレーキを自動調節しながら先行車に追従して走るが、スバルのアイサイトのような全車速追従型ではない。速度設定は時速50~100kmの間で行い、40kmを下まわると自動解除されてしまう(この時にインジケーターの表示は切り替わるがアラームは鳴らない)。

だから使えるのは流れの良い高速道路やバイパスに限られ、速度が下がったら解除される前にドライバーが自分でペダル操作を開始した方が安全だ。そもそもレーダークルーズコントロールは、「ペダル操作はクルマに任せてください」という装置。プリクラッシュセーフティシステムと違って、ドライバーの装置に対する依存度が高い。

なので全車速追従型にしないと、危険を誘発する心配がある。今後は停止状態までカバーできるように改善して欲しい。カムリはLサイズのハイブリッドセダンだから、高速道路を使って長距離を移動するユーザーも多く、力を入れるべき装備だろう。

JC08モード燃費は、基本的には変更前と同じ「23.4km/L」だ。ただしGパッケージなどを備えていない16インチタイヤを履いた標準仕様に、アルミホイールをオプション装着すると「25.4km/L」に向上する。

足まわりのチューニングにより「フラットな乗り心地」へ

トヨタ カムリハイブリッド(2014年マイナーチェンジモデル)

運転感覚は、変更前に比べて乗り心地が向上した。試乗車が履いていた17インチタイヤはブリヂストン・トランザER33で、指定空気圧は燃費を考慮して240kPaと少し高い。それでも変更前に比べて粗さが抑えられ、路面のデコボコを直接的には伝えにくい。路面の段差を通過した時のショックの吸収力も高まり、いわゆる「フラットな乗り心地」に近づいた。

背景にあるのは足まわりのチューニングだ。セッティングを見直して、ドアの防音材、カーペットなどにも改良を施している。

走行安定性と操舵感は、以前と大差ない。今日のセダンの走行性能を考えると、小さな舵角での正確性をもう少し高めて欲しいが、緩めの操舵感はカムリらしさともいえるだろう。

トヨタ カムリハイブリッド(2014年マイナーチェンジモデル)
トヨタ カムリハイブリッド(2014年マイナーチェンジモデル)トヨタ カムリハイブリッド(2014年マイナーチェンジモデル)

ホイールベース(前輪と後輪の間隔)の長い低重心のセダンとあって、安定性は良好だ。機敏に曲がる性格ではないが、後輪の接地性が高く運転感覚は馴染みやすい。

動力性能は変更前と同じだが、過不足がなくちょうど良い。実用回転域の駆動力が高く、運転がしやすい。動力性能をノーマルエンジンに当てはめれば、2.7リッタークラスになる。エンジンノイズは、前述の改良によって静かになり、高級セダンらしさを強めた。

車両の価格は、ハイブリッドGパッケージが341万3782円。変更前に比べて9万1497円の値上げになった。この金額が、LEDクリアランスランプ、マルチインフォメーションディスプレイ、サスペンション変更などの対価になる。

クルーズコントロールの機能は見直して欲しいが、価格はハイブリッドを搭載したLサイズセダンとしては割安だ。前後席の居住性は、国産セダンではトップクラスになる。長距離を頻繁に移動するユーザーにとっては、快適性が高く、燃費も節約しやすい。現実的な選択といえるだろう。

カムリは海外向けに開発されたクルマだが、日本で選ぶメリットもしっかりと備わっている。

トヨタ 新型カムリハイブリッド Gパッケージ 主要スペック

全長×全幅×全高:4,850×1,825×1,470mm/ホイールベース:2,775mm/最低地上高:150mm/駆動方式:FF(前輪駆動方式)/エンジン:2.5リッター 直列4気筒DOHC(2AR-FXE)/最高出力<ネット>:118kW(160PS)/5,700rpm/最大トルク<ネット>:213N・m(21.7kgf・m)/4,500rpm/モーター最高出力:105kW(143PS)/モーター最大トルク:270N・m(27.5kgf・m)/動力用主電池:ニッケル水素電池/車両重量:1,540kg/燃費:23.4km/L/価格:3,413,782円

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渡辺 陽一郎
筆者渡辺 陽一郎

1961年生まれ。自動車月刊誌の編集長を約10年務めた後、フリーランスのカーライフ・ジャーナリストに転向。「読者の皆さまに怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も重要なテーマと考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を心がけている。記事一覧を見る

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