トヨタ 新型 オーリス 120T(1.2ターボ) 公道試乗レポート/渡辺陽一郎(4/4)
- 筆者: 渡辺 陽一郎
- カメラマン:阿部昌也
安定志向ながら、同時に走る楽しさも身に付けた
走行安定性にも触れておきたい。オーリスは全幅が1760mmに達する3ナンバー車で、全高は1480mmと低めに抑えた。現行型の登場時点から走行安定性は優れた部類に入り、先のマイナーチェンジでは足まわりがさらに滑らかに動くように改善を加えた。
オーリス 120Tが標準装着するタイヤは15インチ(195/65R15)だが、試乗車にはメーカーオプションの17インチ(225/45R17)がアルミホイールとセットで装着されていた。
スポーティに走ると旋回軌跡を少し拡大させやすいが、操舵感が鈍い印象はない。後輪の接地性が高いので、直進時、旋回時ともに安心して走れる。いかにもトヨタらしい安定指向のセッティングを施しながら、17インチタイヤと相まって、適度に機敏に曲がる運転の楽しさも身に付けた。
1.2ターボにもMTモデルや高性能版の登場を期待したい
それでもトヨタ車全体の中におけるオーリスの位置付けを考えると、判断は違ってくる。先に述べたようにオーリスは海外向けの商品で、国内の売れ行きは低い。3ナンバーサイズのハッチバックという位置付け自体に、大量に売る上では無理が伴う。
だとするなら、オーリスをクルマ好きに向けた商品に位置付ける方が価値を発揮させやすい。エンジンは1.2リッターのターボのみにして、今はRS専用になる6速MTも設定する。開発者は「ノーマルタイプの1.8リッターエンジンは吹き上がりが良く、6速MTもこれに用意した」と述べるが(エンジンとの相性を重視すればその通りだが)、クルマ好きにしてみれば1.2リッターのターボにも6速MTが欲しい。
さらに燃費が下がっても過給圧を高め、最大トルクが25kg-mくらい出ているスポーティグレードがあっても良いだろう。
同クラスのベンチマーク「VW ゴルフ」と徹底比較
オーリスの開発者は『オーリスには(欧州・ミドルサイズハッチバックの代表格である)フォルクスワーゲン ゴルフと勝負できる実力がある』と言うが、ゴルフは各部を緻密に造り込んで安全装備を充実させ、燃費も優れ、価格は意外に安い。となればオーリスには、分かりやすいスポーツ感覚と、ゴルフを超える割安感が求められる。
今のオーリスはカローラアクシオ&フィールダーの拡大版のように見えてしまうが、『FR(後輪駆動)のスポーツモデルが欲しいなら「86」、FF(前輪駆動)なら「オーリス」をどうぞ』といえるくらいの商品に仕立てて欲しい。そうなれば存在感も強まると思う。
[レポート:渡辺陽一郎]
トヨタ オーリス 120T[2WD] 主要諸元
全長x全幅x全高:4330x1760x1480mm/ホイールベース:2600mm/車両重量:1300kg/乗車定員:5名/駆動方式:前輪駆動(FF)/エンジン種類:直列4気筒 インタークーラー付ターボ付 DOHC 直噴ガソリンターボ「8NR-FTS」エンジン/総排気量:1196cc/最高出力:116ps(85kW)/5200-5600rpm/最大トルク:18.9kgf・m(185N・m)/1500-4000rpm/トランスミッション:CVT(自動無段変速機)/使用燃料:無鉛プレミアムガソリン/燃料消費率:19.4km/L[JC08モード燃費]/タイヤ&ホイール:195/65R15タイヤ&15x6Jスチールホイール(樹脂フルキャップ)[※試乗・撮影車両はオプションの225/45R17タイヤ&17x7Jアルミホイール(122,040円高)を装着]/メーカー希望小売価格:2,590,037円[消費税込み・オプション除く]
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