トヨタ 新型 オーリス 120T(1.2ターボ) 公道試乗レポート/渡辺陽一郎(3/4)
- 筆者: 渡辺 陽一郎
- カメラマン:阿部昌也
オーリスの1.2ターボは実用域重視の性格
試しに1500~2000回転で微妙にアクセル開度を変えると、ムダな変速が行われず忠実に速度を増減させる。いわゆるダイレクト感のある運転感覚に仕上げた。
この働きはフォルクスワーゲンのDSG、ホンダ車のDCTといったクラッチ方式のATでも可能だが、低回転/低速域で速度調節を行う時など、エンジンやクラッチの制御がスムーズさを欠いて車両の動きがギクシャクする場合がある。CVTならこの不都合も生じない。
1.2リッターターボが最も得意な回転域は2000~4000回転。最大トルクが発生して、アクセル操作に対する反応も自然だ。旧来のターボ車にありがちなターボラグ(アクセルペダルを踏み込んだ後、若干の時間差を置いて駆動力が高まる現象)も生じない。
この後もアクセルを踏み続けると、4800回転付近から速度の伸び悩みが見られる。最高出力が発生するのは5200~5600回転だが、回す価値があるのは5400回転くらいまでだ。最高出力の数値も116馬力にとどまる。つまり典型的な実用エンジン。CVTには7速の疑似変速モードも備わり、パドルシフトによる変速操作も可能だが、これらの付加的な機能はエンジンの性格に合わない。
全てのモデルで1.2ターボを搭載すべき
そもそもCVTの走りのメリットは、フル加速時にはエンジン回転を最もパワフルな領域に固定させ、無段変速機能で最大の加速力を得られる点にある。エンジン回転をムダに上下させるシーケンシャルやパドルを使った疑似変速、あるいはステップ変速制御は、CVTのメリットを妨げる遊び道具に過ぎない。1.2リッターのターボは、こういった付加価値と組み合わせるエンジンではなく、オーリスの本流に位置付けるべきだ。
となれば既存の1.5リッターや1.8リッターのノーマルエンジンを廃止して、すべて1.2リッターのターボとするのが合理的だろう。今のところ1.2リッターのターボを搭載するグレードは120Tのみ。価格を高めることも視野に入れ、スポーツシートや木目調パネルなどを装着したが、もっと幅広いグレードに積極的に活用すべきだ。
[欧州仕込みのハンドリング、その仕上がりは・・・次ページへ続く]
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