新型アルファード&ヴェルファイア マイナーチェンジ版試乗レポート|500万円超えでも爆売れし続けるミニバン界の旗艦(1/2)

軽・コンパクトが大勢を占める日本における”アル・ヴェル”人気の秘密を探る

日本ではもともと5ナンバー車が好調に売れてきたが、特に近年では売れ筋車種が小型化している。軽自動車が新車として売られるクルマの35%前後を占めて、小型/普通車の販売上位にも、日産 ノート、トヨタ アクア、トヨタ シエンタ、トヨタ ルーミー&タンクといった1.2~1.5リッターエンジンを搭載した車種が多く見られる。販売の上位車種でボディがミドルサイズに達するのはトヨタ プリウス程度だ。

小型化の背景には、経済的で運転のしやすいクルマに乗り替えるダウンサイジングのほか、安全装備の充実や環境性能の向上により、車両価格が全般的に高まった事情もあるだろう。

このような市場傾向の中で、例外的に好調に売れているのがトヨタのアルファード&ヴェルファイアだ。

3列のシートを備えた車内の広いLサイズミニバンで、エンジンは直列4気筒の2.5リッター、V型6気筒の3.5リッター、2.5リッターをベースにしたハイブリッドを搭載する。

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>>【2ページ目】新型アルファード エグゼクティブラウンジに試乗!

驚異の人気! アルファード&ヴェルファイアはヴィッツ並みに売れている!

アルファードはトヨペット店、ヴェルファイアはネッツトヨタ店が販売しており、両車ともにフロントマスクのデザインなどを除くと基本的には同じクルマだ。グレード名は異なるが、グレードの構成と価格は共通になる。

開発者によると、好調に売れているグレードは、アルファードであれば2.5リッターエンジンを搭載した上級の2.5S・Cパッケージ(ヴェルファイアならZ・Gエディション)とのことで価格は436万2120円に達する。ハイブリッドの売れ筋価格帯は500~550万円だから、相当な高価格車だ。

2017年1~12月の登録台数を合計すると、ヴェルファイアが4万6757台(1か月平均で3896台)、アルファードが4万1923台(同3493台)で、合計すると8万8680台だ。この数字はコンパクトカーのヴィッツと同じだから、アルファード&ヴェルファイアはトヨタの国内販売を支える基幹車種へ成長したといえるだろう。

このトヨタ アルファード&ヴェルファイアが2017年12月25日にマイナーチェンジを行った(発売は2018年1月8日)。詳細は2017年12月25日に掲載した「トヨタ 新型アルファード&新型ヴェルファイア最新情報」に掲載したので、今回は試乗した印象をお伝えしたい。

直噴化や8速AT新搭載などで生まれ変わったV6 3.5リッター版ヴェルファイアに試乗

まず試乗したのはV型6気筒の3.5リッターエンジンを搭載する新型ヴェルファイア”ZG”だ。

3.5リッターの主力グレードで、外装ではエアロパーツと18インチタイヤ(235/50R18)を装着している。2列目には固定式アームレストを備えたエグゼクティブパワーシートが備わり、リクライニングや足を支えるオットマンの調節が電動式となる。価格も494万7480円に達する。

V6 3.5リッターエンジンはマイナーチェンジで大幅に刷新され、2GR-FKS型を新たに搭載した。内径と行程の数値は同じだが、シリンダーのヘッドやブロックまで新設計となる。実質的に新開発のエンジンといえるだろう。

しかも筒内噴射とポート噴射を併用するD-4Sに進化した。トヨタのエンジンラインナップでは上級タイプとされるレクサスGS350と同様のエンジンだ。

最高出力は301馬力(6600回転)、最大トルクは36.8kg-m(4600~4700回転)とされ、ミニバンの中でも動力性能が際立って高い。マイナーチェンジ前は280馬力/35.1kg-mだったから5~7%増強された。さらに以前のATは6速の有段式だったが、マイナーチェンジで8速ATに改められている。

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グレードによっては5割を占める! V6 3.5リッター版の意外な人気

V6 3.5リッターのアルファード&ヴェルファイアだが、動力性能が根本的に高いため、アクセルペダルを深く踏み込む機会はほとんどない。もともと高回転型のエンジンだが、3.5リッターの排気量があるから、車両重量が2トンを超えるボディでも加速力の不足はまったく感じない。静かに回ることも特徴だ。

試しにアクセルペダルを強く踏み込んでみると、2GR-FKS型に進化したことを実感した。吹き上がりが以前よりも大幅に滑らかで、エンジン各部の摩擦を小さく抑えている。数あるV型6気筒エンジンの中でも回り方が上品だ。

最大トルクを発生させるのが4600~4700回転、最高出力は6600回転だから、吹き上がりが抜群に良い。以前はどちらかといえばV型6気筒らしい迫力を強調していたが、マイナーチェンジ後は滑らかさ、静かさが特徴となる。

今回のアルファード&ヴェルファイアのマイナーチェンジでは複数の変更が施されたが、その前後を比較して、運転感覚で最も大きく変わったと感じさせるのは、実はV型6気筒エンジンの回転感覚と静粛性であった。

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  1. 軽・コンパクトが大勢を占める日本における”アル・ヴェル”人気の秘密を探る
  2. 驚異の人気! アルファード&ヴェルファイアはヴィッツ並みに売れている!
  3. 直噴化や8速AT新搭載などで生まれ変わったV6 3.5リッター版ヴェルファイアに試乗
  4. グレードによっては5割を占める! V6 3.5リッター版の意外な人気
  5. アルファードとヴェルファイアがV6 3.5Lを維持し続ける理由
  6. 剛性アップや足の見直しなどで高級感を保ちながら操縦安定性も向上
  7. トヨタ アルファード&ヴェルファイア 関連記事
  8. VIP御用達! 新型アルファード”Executive Lounge”(エグゼクティブラウンジ) ハイブリッドに試乗
  9. 最上級の独立型セカンドシートだが、掛け心地には更なる改善を望みたい
  10. トヨタ セーフティセンスが第二世代へ進化、トヨタ車初の搭載は新型アルファード&ヴェルファイアから
  11. トヨタ アルファード&ヴェルファイア 関連記事
  12. トヨタ 新型アルファード&ヴェルファイアの主要スペック

アルファードとヴェルファイアがV6 3.5Lを維持し続ける理由

ちなみにトヨタのエスティマはマイナーチェンジでV型6気筒エンジンを廃止した。販売比率が減ったためだが、アルファード&ヴェルファイアでは存続している。

この経緯を開発者に尋ねると「エンジンの販売構成比を見ると、直列4気筒の2.5リッターが60%、ハイブリッドが30%、V型6気筒が10%となる。V型6気筒は全体で見れば少ないが、エグゼクティブラウンジに限れば50%に達する(残りの50%はハイブリッド)。そこでV型6気筒を引き続き設定している」という。

V型6気筒の搭載が主にエグゼクティブラウンジだとすれば、マイナーチェンジによるエンジンのグレードアップはかなりメリットがあった。最上級グレードに相応しい回り方をするからだ。

剛性アップや足の見直しなどで高級感を保ちながら操縦安定性も向上

今回のマイナーチェンジでは、構造用接着剤の適応範囲を拡大して、高剛性ガラス接着剤も使っている。これによってボディの剛性が高くなり、走行安定性が底上げされ、ショックアブソーバーの減衰力を見直して乗り心地を向上することができた。

新型ヴェルファイアZGは18インチタイヤを装着しており、少し芯のある硬さを感じたが、足まわりの伸縮性は良好だ。路上の細かなデコボコによる粗さは抑えられ、少し硬めではあるが重厚感が伴う。

新型アルファード&ヴェルファイアの足回りをクラウンに例えれば、ゆったりしたロイヤルサルーンというよりもスポーティなアスリートに近い印象だ。前述のようにエンジンの回転感覚が上質になって吹き上がりも良くなったから、スポーティセダン的な印象がさらに増した。

それでも高重心でボディの重いミニバンだから、操舵に対する反応は穏やかだが、走行安定性は高い。ドライバーにとっての満足度を従来以上に向上させた。

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渡辺 陽一郎
筆者渡辺 陽一郎

1961年生まれ。自動車月刊誌の編集長を約10年務めた後、フリーランスのカーライフ・ジャーナリストに転向。「読者の皆さまに怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も重要なテーマと考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を心がけている。記事一覧を見る

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