限定100台・648万円の86に応募が殺到!「トヨタ 86 GRMN」サーキット試乗&工場見学レポート(4/4)

限定100台・648万円の86に応募が殺到!「トヨタ 86 GRMN」サーキット試乗&工場見学レポート
トヨタ 86 GRMN トヨタ 86 GRMN トヨタ 86 GRMN トヨタ 86 GRMN トヨタ 86 GRMN トヨタ 86 GRMN トヨタ 86 GRMN トヨタ 86 GRMN トヨタ 86 GRMN 「ニュルブルクリンク24時間レース」に参戦したトヨタ 86 「ニュルブルクリンク24時間レース」に参戦したトヨタ 86 画像ギャラリーはこちら

86GRMNのために「型式」まで取得

トヨタ自動車 元町工場にて「86 GRMN」

86 GRMNはこれらの走りだけでなく、製造方法に大きなこだわりがある。

ノーマルの86はトヨタ×スバルの共同開発モデルで、生産は群馬県太田市の「富士重工業群馬製作所・本工場」で行なわれている。

だが、86 GRMNは何と「トヨタ自動車 元町工場」で生産。富士重工業で生産された完成車をトヨタのラインで架装するのではなく、正真正銘トヨタのラインで一から生産を行なっている。

トヨタの名を冠するモデルであるからには、性能だけよければいいというのではダメで、品質や信頼性も同等のレベルが必要。そのためにはベース車を後架装と言う方式では、新車の信頼性を確保することができない。そのため、全てを自らの手で生産する必要があったのだ。

トヨタ自動車 元町工場にて「86 GRMN」

86 GRMNでは、何とこのクルマだけの型式(GRMN86-FRSPORT)まで取得。つまり、これまでのGRMNモデル(=トヨタテクノクラフトで後架装)とは生い立ちその物が違うのである。

86 GRMNは見た目こそ86の姿をしているが、新たなスポーツカーを新規開発したのとほぼ同じ過程を踏んでいるのである。

富士重工業から未塗装のホワイトボディ、トヨタテクノクラフトからチューニング済みのエンジン、そして各サプライヤーから車両を攻勢する全ての部品が元町工場に集結。

ちなみにボンネットやルーフ、エアロなどのカーボンパーツは、外注ではなくLFAのカーボンボディを作り上げた匠の手により一つ一つ丁寧に製作される。

1台1台手組みすることにより「理想の性能」を実現

トヨタ自動車 元町工場にて「86 GRMN」

ホワイトボディはクラウンやマークXと同じ塗装ラインで塗装を実施。ボディカラーはトヨタ専用色となる「ホワイトパーツクリスタルシャイン」だが、これもトヨタ製であるこだわりの一つである。

塗装されたボディは、乾燥後に「86 GRMN専用組み立てライン」に運ばれる。

ラインと言っても一般的な流れ作業ではなく「工房」と言ったほうがいい施設だ。かつてLFAの生産も担当した7人の匠の手によって、一台一台丹念に組み立てが行なわれる。

ちなみに一日に2台のペースで生産され、もうすぐ2/3のラインオフから約3ヶ月。この記事が出る頃には100台の生産が終了しているはずだ。

生産は時間/効率よりも精度が重視されており、LFA開発時に組み付け精度でクルマの走りが大きく変わることが解ったため、86 GRMNでは全てのモデルに誤差がないように組み付け時のトルク管理(中央値に近づける)を実施。

つまり、どのモデルも開発者が求めた「理想の性能」を備えているのだ。

トヨタ自動車 元町工場にて「86 GRMN」トヨタ自動車 元町工場にて「86 GRMN」トヨタ自動車 元町工場にて「86 GRMN」トヨタ自動車 元町工場にて「86 GRMN」トヨタ自動車 元町工場にて「86 GRMN」

全ては「スポーツカー存続」の為に

トヨタ自動車 元町工場にて「86 GRMN」トヨタ自動車 元町工場にて「86 GRMN」

86 GRMNの車両価格は648万円。値段だけみれば「高い」と感じる人もいるかもしれないが、前述のこだわりの生産過程を考慮すると、その考えは払拭されることがおわかりいただけたかと思う。

もし後架装で同じクルマを作るとしたら、ノーマルの分解作業や再利用できない部品、無駄な部品が発生するため、更に50~100万円近く高価になってしまうそうだ。

正直言ってしまうと、100台のための専用ラインは間違いなく“赤字”のはず。なぜ、そこまでしてトヨタでの生産にこだわったのだろうか?

それはメンツでも何でもなく「未来のスポーツカー」のためである。

トヨタは2007年にMR-Sが生産終了し、2012年に86が登場するまでスポーツカーは途絶えた時期がある。そんな反省から、スポーツカーを継続させるためには「少量生産であっても対応可能なクルマ作り」が必要となる。大量生産が得意なトヨタが、その真逆となるクルマ作りを86 GRMNでチャレンジしたと言うことに意味があるのだ。

現在、BMWと共同でミドルクラスのスポーツカーが開発されているのは周知の事実だが、もしかしたら元町工場で生産される可能性もあるのかもしれない。

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山本 シンヤ
筆者山本 シンヤ

自動車メーカー商品企画、チューニングメーカー開発を経て、自動車雑誌の世界に転職。2013年に独立し。「造り手」と「使い手」の両方の気持ちを“解りやすく上手”に伝えることをモットーに「自動車研究家」を名乗って活動をしている。西部警察は子供時代にリアルでTV放送を見て以来大ファンに。現在も暇があれば再放送を入念にチェックしており、当時の番組事情の分析も行なう。プラモデルやミニカー、資料の収集はもちろん、すでにコンプリートBOXも入手済み。現在は木暮課長が着るような派手な裏地のスーツとベストの購入を検討中。記事一覧を見る

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