3つの顔になった新型ワゴンRは、呪縛から解き放たれたスズキの”意欲作”[試乗](1/5)
- 筆者: 渡辺 陽一郎
- カメラマン:和田清志
”王道”ワゴンRが大きく変化を遂げた
スズキを代表する軽自動車「ワゴンR」がフルモデルチェンジした。軽の新たなジャンルを確立した1993年の初代モデル以来、長きに渡って軽No.1の販売実績を誇っていた”王道”ワゴンRも、ここ数年は多くの他社ライバルの猛追でランクダウン。保守的なモデルチェンジを続けてきたこともあって、やや存在感が薄れつつあった。そんな中で登場した6代目は、初代から受け継ぐ高い機能性とともに、3つのバリエーションを用意するなどデザイン性もアップ。マイルドハイブリッドや新プラットフォーム採用などにより燃費性能や安全性能も大幅に向上させるなど、大きな変化を遂げ生まれ変わった。さて、乗ってみてはどうだろうか。自動車評論家の渡辺陽一郎氏が3タイプを乗り比べ、新型ワゴンRの評価を下す!
>>[大量画像165枚!]スズキ 新型ワゴンR/ワゴンRスティングレー(2017年2月フルモデルチェンジ/6代目) フォトギャラリー
毎日使う”調理器具”のようなクルマからの脱却
今までのスズキ ワゴンRは、フルモデルチェンジを行ってもデザインをあまり変化させなかった。背景には、ワゴンRが日常生活のツールとして使われる事情がある。いわば”調理器具”のようなクルマだから、モデルチェンジの度にデザインが大きく変わると、使い勝手が悪化する心配が生じる。そこで居住性や燃費などを進化させながら、内外装の変化は小さかった。
ところが2017年2月1日に発売された6代目ワゴンRは印象が異なる。標準タイプとスティングレーの区分は先代型と同じだが、前者のハイブリッドFZには、FXなどとは違うフロントマスクを与えた。つまり3種類の顔がある。
ボディサイドの形状も変わり、後席側のサイドウィンドウの面積を少し狭めて、中央のピラー(柱)を太く見せた。それはなぜか。
ワゴンRが3つの顔になった本当の理由
ワゴンRの顔が3つになった理由は、ワゴンRの人気に陰りが見えているからだ。
1995年から2011年まで、スズキのワゴンRはほぼ一貫して軽自動車の年間販売(届け出台数)ナンバーワンを維持していた。時々ダイハツ ムーヴなどが1位になっても、翌年にはワゴンRが奪回した。
しかし2011年12月にホンダ N-BOXが発売されて状況は一変する。2012年の1位はダイハツミラ(大半がミライース)で、2位はN-BOX、3位がワゴンRになった。2013年はN-BOX、ムーヴ、ワゴンRの順番だ。2014年には新型になったダイハツ タントが1位になり、続いてN-BOX、ワゴンRと3位の時期が続いた。
さらに2015年は日産 デイズ(ルークスを含む)、ムーヴ、アルトにも抜かれて6位、2016年は9位まで下がった。
このように先代ワゴンRは2012年に発売されながら、エネチャージなどが有力なセールスポイントにならず、販売ランキングは低迷を続けている。長年の追われる立場から、追いかける側になった。
不動の1位から一転、ライバルを追う立場になったワゴンRがとった新しいチャレンジ
これはスズキとワゴンRには不幸だが、ユーザーには歓迎すべきことだったろう。販売首位では冒険ができず、保守的なフルモデルチェンジになるが、追いかけるなら話は別だ。今までのシバリから開放され、溜めていたエネルギーを一気に解き放つ商品開発が行える。
自然光の下で3種類のフロントマスクを見ると、どれも違和感なく仕上げていた。しかも、優れた実用性と低コストを前提にしながらも、新しいチャレンジが見受けられる。
ハイブリッド FZの顔立ちはトヨタ ヴェルファイアなどの高級ミニバン、ワゴンRスティングレーはキャデラック エスカレードなどの大柄なアメリカ車をそれぞれ連想させるイメージだが、これは今までのワゴンRとは明らかに違う。
また標準タイプのハイブリッド FXは先代三菱 eKワゴンに似ているが、シンプルで品行方正な感じが好ましい。
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