スズキ 新型スイフト[2013年マイナーチェンジ/デュアルジェットエンジン搭載車]試乗レポート/渡辺陽一郎(1/2)
- 筆者: 渡辺 陽一郎
- カメラマン:オートックワン編集部
テコ入れを行い、燃費&環境性能をアップ
「新型フィットのノーマルエンジン車の燃費、気になりますよねぇ」。このような開発者のコメントを聞いた後で、スイフトの新グレード「XS-DJE」の試乗を開始した。
7月22日に掲載された『スズキ 新型スイフト[2013年マイナーチェンジ/デュアルジェットエンジン搭載車] 新型車解説』でもお伝えしたように、スイフトのDJE(デュアルジェットエンジン)搭載車は、JC08モード燃費が26.4km/Lに達する。この数値は、ホンダの現行フィットハイブリッドと同じだ。直列3気筒1リッターエンジンを積んだミラージュの27.2km/Lには達しないが、1.2リッター以上のノーマルエンジン搭載車に限れば、最高峰の燃費数値になる。
ところが2013年9月に発表予定の新型フィットは、ハイブリッドのJC08モード燃費を36.4km/Lに向上させ、なおかつ1.3リッターのノーマルエンジン車も26~28km/Lになる見込みだ。開発者が「気になりますよねぇ」と言う気持ちも理解できる。
数年前までのスズキ車は、全般的に燃費性能がイマイチだった。それが軽自動車では、2011年11月にアルトエコが30.2km/Lを達成し(今は33km/Lに向上)、2012年9月登場の現行ワゴンRも28.8km/Lになった(先ごろ30km/Lに向上)。となれば、次はスイフトにテコ入れを行うのは当然の成り行きだろう。
市場のスイフトに対するイメージを見ても、質感、走行安定性、走りの楽しさでは好感度を高めたが、燃費&環境性能の評価は低かった。いい換えれば、優れた燃費&環境性能を求めてコンパクトカーを買うユーザーに、スイフトは選んでもらえない。従来型のアイドリングストップ装着車のJC08モード燃費は21.8km/L。決して低い数値ではないが、マツダ 「デミオ13スカイアクティブ」が25km/L、日産「ノート(エコスーパーチャージャー装着車)」が25.2km/Lとなれば、スイフトが精彩を欠いたのも当然だ。
そこでデュアルジェットエンジンの搭載によって26.4km/Lを実現させたが、早くも新型フィットの1.3リッターエンジンに追い抜かれる懸念が生じている。今日の低燃費技術は日進月歩。厳しい競争が展開されているわけだ。
ボディやサスペンションの取り付け剛性を十分に確保し、快適性のバランスを上手に保っている
デュアルジェットエンジンを搭載したスイフトXS-DJEの動力性能は、1.2~1.3リッタークラスのコンパクトカーとして、平均水準に位置している。最高出力は91馬力(6000回転)、最大トルクは12kg-m(4400回転)。少し高回転指向で、4000回転を超えた領域で加速が伸びる面はあるが、実用回転域でも不足はない。車両重量が1000kgと軽いことも奏効して、登坂路でも相応の動力性能を発揮する。
エンジンノイズが耳障りに感じないことも特徴だ。エンジン音は相応に聞こえるが、音質が上手にチューニングされ、静かなクルマだと感じさせる。
CVT(無段変速AT)の作動もおおむね素直だが、負荷の大きな登坂路では、CVTのクセを少し意識させる。エンジンの回転が先行して高まり、その後で速度が上昇する動きになりやすい。
このあたりは小排気量のCVT車に多く見られる傾向だ。負荷に応じて燃費効率の優れた回転域を積極的に使うので、エンジン回転と速度上昇が必ずしも一致しなくなる。その代わりにJC08モード燃費が26.4km/Lという優れた数値を達成できた。
乗り心地は硬めだが、不快感を抱かせない範囲内に収めている。XS-DJEの試乗車が装着していたタイヤは、16インチ(185/55R16)のブリヂストン・トランザER300。タイヤの転がり抵抗を抑えて燃費を向上させるため、指定空気圧は前輪側が250kPa、後輪側が220kPaになる。高めではあるが、極端な数値ではない。
大きめの段差を乗り越えた時に、直接的なショックを伴わないことも注目すべき点だろう。燃費性能の向上と、快適性のバランスを上手に保った。
この背景にあるのは、現行型のスイフトが、ボディやサスペンションの取り付け剛性を十分に確保していることだ。そのためにタイヤの空気圧が高めでも、乗り心地を許容範囲に収めることができた。
となれば走行安定性も優れ、危険回避時でも進路を乱されにくい。後輪をしっかりと接地させた上で、自然に曲がる操舵感を実現させている。スイフトスポーツが優れた運転感覚を得られたのも、スイフトの土台を入念に造り込んだ結果だ。デュアルジェットエンジンの搭載と併せて、全車に横滑り防止装置が標準装着され、安心感をさらに高めた。
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