[試乗]第三の顔「スズキ スペーシアカスタム Z」でライバルKカーに宣戦布告!(2/3)
- 筆者: 渡辺 陽一郎
- カメラマン:小林岳夫
スペーシアカスタムZの”Sエネチャージ”、新型ワゴンRでは”マイルドハイブリッド”と呼ぶ
試乗したグレードは、スペーシアカスタムZ ターボであった。
フロントマスクにはメッキグリルのほかにLEDフォグランプが装着され、その下にはLEDイルミネーションも備わる。15インチアルミホイールはカスタムZ ターボ専用のデザインだ。
動力性能はスペーシアカスタム XSターボと同じで、最高出力は64馬力(6000回転)、最大トルクは9.7kg-m(3000回転)。ターボの過給効果が高まるのは2500回転以上だが、軽自動車は全般的にギヤ比がローギヤードだ。トランスミッションも無段変速のCVTなので、発進直後から常にターボが作動していた。加速力は機敏で、1リッターエンジンを搭載する感覚で運転できる。
Sエネチャージの名称でマイルドハイブリッドも備わり、ISG(モーター機能付き発電機)が、減速時を中心とした発電、アイドリングストップ後の再始動、エンジン駆動の支援(最長30秒のモーター駆動)を行う。そのために再始動音も静かだ。
>>[迫力画像62枚!]スズキ 新型スペーシアカスタム Z フォトギャラリー
2WDのJC08モード燃費は、カスタムZターボが26.8km/Lになる。ターボを装着しないノーマルエンジンが30.6km/Lだから、ターボの燃費数値は88%だ。最大トルクはターボの装着でノーマルエンジンの152%に達するが、燃費の悪化率は小さい。
背が高く走行安定性は不利だが、ライバルに比べたらかなり低重心に感じられるのが美点
背の高い軽自動車だから、走行安定性は不利な要素が多い。全高は全幅の118%に達するので、ボディは縦長の形状になって運転感覚も腰高だ。
それでもN-BOXやタントに比べるとボディが軽く低重心だから、自然な感覚で運転できる。峠道などを走っても、曲がりにくく感じる機会は少なく、背が高い割には軽快に走る。
気になるのは乗り心地だ。時速50km以下で走る市街地では、路上の細かなデコボコを伝えやすい。理由はいくつかあり、まずは燃費数値の向上を目的に、転がり抵抗を抑えたタイヤを装着したことがある。
スペーシアカスタムZ ターボのタイヤサイズは15インチ(165/55R15)で、銘柄はブリヂストン エコピアEP150。指定空気圧は前後輪ともに240kPaと高めだ。走行安定性を確保する目的で足まわりを少し硬く設定しており、ショックアブソーバーのコスト低減なども影響した。
運転していて、スペーシアカスタムZのメリットだと感じたのは、ボンネットが視野に収まること。その分だけ前方の死角が増しているから一長一短ではあるが、車幅とボディの先端位置が分かりやすい。
後席には左右独立して前後に170mm調節できるスライド機能が備わり、床面へ落とし込むように小さく畳める。この状態であれば自転車も積みやすい。助手席の背もたれも水平に近い角度まで前方に倒せるから、後席の格納と併用すれば長い荷物も収まる。
これらの多彩なシートアレンジを可能にしながら、後席のサポート性も悪くない。内装の機能もバランスが良い。
>>スズキ 新型スペーシアカスタム Z フォトギャラリー[迫力画像62枚!]
注意したいのは、後席を床面へ落とし込むように畳むと、前席のスライド量が少し制限されること。長身のドライバーが大きな荷物を積んで移動するなら、後席を畳んだ状態で適切な運転姿勢を取れるか確認したい。
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