欧州生産の新型SUVがいよいよ日本で発売!「スズキ 新型エスクード」詳細解説(3/3)

欧州生産の新型SUVがいよいよ日本で発売!「スズキ 新型エスクード」詳細解説
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スズキの国内販売では初となる6速ATを搭載

スズキ 新型エスクード

エンジンは先に述べたとおり、SX4・Sクロスと同じ直列4気筒の1.6リッターを搭載する。最高出力は117馬力(6000回転)、最大トルクは15.4kg-m(4400回転)で性能の数値も等しい。

ただしATは異なる。SX4・Sクロスが一般的な無段変速のCVTとしたのに対し、エスクードはスズキの国内仕様では初搭載となる6速ATだ。

ハンドルにはパドルスイッチが装着され、マニュアルの変速操作も行いやすい。

スズキ 新型エスクード

駆動方式は前輪駆動の2WDと4WDを用意した。4WDシステムは多板クラッチの締結力を走行状態に応じて可変させ、前後輪に最適な駆動力を配分する電子制御カップリング式だ。

ホイールが空転を生じた時は、そこにブレーキをかけて空転を抑え、駆動力の伝達を保つ機能も採用した。

走行モードはオート/スノー/ロックの3種類が設定され、ロックモード時にはブレーキ制御がさらに強化されて走破力を高める。

JC08モード燃費は、2WDが18.2km/L、4WDが17.4km/L。この数値はATがCVTになるSX4・Sクロスに近い。

新型エスクードはアイドリングストップを装着することで、ATを6速としながら燃費の悪化を抑えた。サスペンションはフロント側がストラット式、リア側はトーションビームによる車軸式とした。

安全装備もしっかりと搭載

スズキ 新型エスクード

安全装備はレーダーブレーキサポートIIを採用する。ミリ波レーダーをセンサーとして使い、時速5~100kmの間で警報を発する。緊急自動ブレーキは、静止している車両に対しては時速5~30km、移動している場合は時速5~100kmの範囲で作動するようにした。

ミリ波レーダーを利用したクルーズコントロールも装着され、先行車との車間距離を自動調節しながら追従走行することが可能だ。

ただしクルーズコントロールの設定速度は時速40~100kmとされ、停止状態までカバーする全車速追従型ではない。速度が下がるとクルーズコントロールがキャンセルされて、自分でペダルを操作せねばならない。

今は停止状態まで自動制御される全車速追従型が増えているが、それと同じ感覚で使うと危険が生じる。サイド&カーテンエアバッグの装着を含めて、安全面のさらなる進化が今後の課題だろう。

オフロード指向が強く、装備面からみた価格も割安

スズキ 新型エスクード

新型エスクードの価格は2WDが212万7600円、4WDは234万3600円だ。クルーズコントロールの機能も備えたレーダーブレーキサポートII、アイドリングストップ、17インチアルミホイール、LEDヘッドランプ、本革&スエード調のシート表皮などが標準装着されることを考えると、価格を割安に抑えている。

特に車間距離を自動調節できるクルーズコントロールは、大半の車種が2リッタークラス以上の装着だ。コンパクトサイズで採用しているのは、1.6リッターエンジンのインプレッサ、1.5リッターのアクセラ程度しかない。

装備と価格のバランスは、ホンダヴェゼルの1.5Lノーマルエンジンを搭載したXやSに近い水準となる。身内のSX4・Sクロスに比べると、8万6400円の価格アップだから新型エスクードが割安だ。この差額でレーダーブレーキサポートII、アイドリングストップ、4WDモデルでは進化したシステムとヒルディセントコントロールなどが加わる。

新型エスクードはイメージが少しつかみにくいが、前述のように日産エクストレイルのサイズダウン版と考えれば良い。前輪駆動をベースにしたシティ派SUVだが、オフロードSUV風の機能を備える。

ちなみにコンパクトSUVでオフロード色の強い車種は、「トヨタ ラッシュ」&「ダイハツ ビーゴ」、「ジムニー シエラ」、強いて挙げれば「三菱 RVR」程度しかない。これらの車種はいずれも設計が古いから、新型エスクードは魅力的だ。

今後、シートや荷室に防水加工を施すなど、レジャーユースでの使い勝手を高めた仕様を設定すると、新型エスクードの魅力はさらに高まると思う。

そしてスズキは、イグニス(ソリオとプラットフォームを共通化したさらに小さなSUV感覚のコンパクトカー)も導入予定だから、日本の道路条件に合ったSUVの世界はますます面白くなるだろう。

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渡辺 陽一郎
筆者渡辺 陽一郎

1961年生まれ。自動車月刊誌の編集長を約10年務めた後、フリーランスのカーライフ・ジャーナリストに転向。「読者の皆さまに怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も重要なテーマと考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を心がけている。記事一覧を見る

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