スバル レヴォーグ(LEVORG)新型車解説/渡辺陽一郎(1/3)

  • 筆者: 渡辺 陽一郎
  • カメラマン:富士重工業/オートックワン編集部
スバル レヴォーグ(LEVORG)新型車解説/渡辺陽一郎
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ニューモデルにも関わらず「25年目のフルモデルチェンジ」を謳う、その意味とは

スバル レヴォーグ
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スバルファンのみならず、多くのクルマ好きにとって気になる新型車がスバル「レヴォーグ(LEVORG)」だろう。2013年に開催された「第43回東京モーターショー」にも出品され、多くの来場者から注目されていた。

レヴォーグのウェブサイトを見ると「25年目のフルモデルチェンジ」となっている。まったく新しいクルマなのに、なぜ「フルモデルチェンジ」なのか。

それは25年前、つまり1989年に初代レガシィが発売され、ツーリングワゴンがヒット作になったからだ。「レヴォーグはレガシィツーリングワゴンの後継車種なのですよ」と示唆している。

ならば、今後のレガシィはどうなるかといえば、ボディをさらに拡大して海外指向を強める模様だ。実際、次期レガシィの方向性を示すショーモデルの「レガシィコンセプト」は全幅が1900mmを超えている。

とあるスバルのディーラーで聞いたところ「国内で販売される次期レガシィは、セダンのB4とSUVスタイルのアウトバックのみになるらしい。この2タイプのレガシィはボディが大型化され、ツーリングワゴンは導入されない。その代わりにレヴォーグを扱う」と言う。だとすれば「25年目のフルモデルチェンジ」とツジツマが合う。

グレード名

エンジン

トランスミッション

駆動

価格

発売予定時期

1.6GT

1.6L水平対向 4気筒DOHC

直噴ターボ“DIT”

リニアトロニック

AWD

2,667,600円

2014年5月

1.6GT EyeSight

2,775,600円

2014年6月

1.6GT-S EyeSight

3,056,400円

2.0GT EyeSight

2.0L水平対向 4気筒DOHC

直噴ターボ“DIT”

スポーツリニアトロニック

3,348,000円

2014年5月

2.0GT-S EyeSight

3,564,000円

高額商品であるクルマは、本来“試乗してから買う”のが当たり前なのだが・・・

スバル レヴォーグ

レヴォーグで驚くのは、予約受注を開始する日と実際に販売開始する日付のタイミングが大きくズレていること。

2014年1月4日(土)の時点で「参考価格」を明らかにして受注を開始したが、ディーラーによればレヴォーグの正式発表は4月。実際に販売が開始されるのは2リッターターボが5月で、1.6リッターターボは6月までズレ込むという。最短でも約半年の納車待ちだ。

ユーザーが辛いのは、しっかりと試乗してから契約しようとすると、納車が年末になってしまう可能性もあること。2014年1月から受注を開始しているため、5~6月になれば相当な台数の予約受注が発生しているはず。そこから納車を開始するのだから、5月頃に試乗して契約したとすれば、いわば“長い行列の最後に並ぶ”ことになってしまうことが容易に想像できる。

スバル レヴォーグ

最近はトヨタ 新型「ハリアー」、日産 新型「エクストレイル」、マツダ 新型「アクセラ」など、各メーカーとも発売に対して受注開始の時期を早めるようになった。背景には「消費増税後に販売が落ち込むのを抑えたい」という意図もあるが、それだけではない。早々に受注を開始すれば、生産の開始と同時にスムーズな納車が可能で、受注状況から生産計画も立てやすいからだ。

「お客様を待たせても、生産や販売の効率を優先する」売り方になっている。「発売後1ヶ月で受注台数が6万台!」などと台数をアピールしたい意図もあるだろう。

以前は日産が「のってカンガルー」というCMを放映するなど、試乗してから買うことをアピールする好ましい方向に発展していたが、今は逆になった。クルマは高額商品で返品もできないから(クーリングオフの対象外)、試乗してから買うのが当たり前。にもかかわらず、試乗をしにくい状況になっている。

メーカーが主導してやっていることで、各販売系列ともディーラーは困惑気味だ。「どうしてそこまで待たせるの!?」と文句を言われるのは現場のセールスマンであるからだ。

スバル レヴォーグ

スバルのディーラーでは、「レヴォーグの注文を入れた時には1万円の予約金を預かるが、生産開始前であればキャンセルは可能。返金も行う。だから軽い気持ちで注文を入れて欲しい」と言う。セールスマンの気持ちは良く分かるが、クルマは「軽い気持ちで注文」する商品ではないだろう。

受注開始と納車タイミングのズレは、ほとんどのメーカーに見られる傾向だから、業界全体で見直す機会を作って欲しい。今の状況はどう考えてもユーザーに対して不親切だ。

なので今回のレヴォーグの解説は、「既存のスバル車を試乗することで想像できる機能」も踏まえながら述べていきたい。実車を見ないで注文するにしても、相応の判断材料が欲しいからだ。

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渡辺 陽一郎
筆者渡辺 陽一郎

1961年生まれ。自動車月刊誌の編集長を約10年務めた後、フリーランスのカーライフ・ジャーナリストに転向。「読者の皆さまに怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も重要なテーマと考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を心がけている。記事一覧を見る

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