スバル レガシィ tS 試乗レポート(3/3)

  • 筆者: 小沢 コージ
  • カメラマン:原田淳/オートックワン編集部
スバル レガシィ tS 試乗レポート
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直進安定性の高さと理想のコーナリングはまさに「STIマジック」

さて実車だが、見た目はあえて控えめというか、かなり「通好み」のシブ路線だ。

エアロ面では、ツーリングワゴンが専用ルーフスポイラーとフロントアンダースポイラー、B4が専用トランクスポイラーと同じくフロントアンダースポイラーを備えるのみ。そのほかはSTI専用の18インチホイールと2本出しのスポーツマフラー、赤をまぶした専用エンブレムがアクセントになっているくらい。

それよりもレガシィtSで重要と思われるのが、ボディカラーを4色に絞っているところで、派手なWRCブルーの他は、ブラックとグレー、ホワイトパールのみ。大型化してやや間延びしたデザインを引き締めている。

そして、意外と印象的なのがインテリアで、これまた色遣いは控えめで、STI黒刺繍が施された赤ステッチの黒レザーシートに同じくSTIロゴを配したマニュアルシフト。

その他、助手席前のチタンカーボン調パネルやシルバーの専用サイドシルプレートが付いているくらいで、派手なのは真っ赤なエンジンスイッチと本革キーカバーだけ。だが、「STIに乗っている」気分は結構味わえる。

それより真価はやはり走りである。足回りはバネの硬さで言えば、フロントがノーマル比5割増し、リアが1~2割増しというが、ほぼ感じない。

特にボディ剛性がより高いセダンのB4はそれが顕著で、走り出しで若干「ゴツゴツしてるな」と感じるが、走り出すほどにそれは気にならなくなり、高速ではしなやかさを感じるほど。

エンジン音も専用マフラーにより若干ゴロゴロしたフラット4らしいテイストが強調され、気のせいかトルクアップした風になる。

それよりも直進安定性の良さが素晴らしく、これぞレガシィという感じ。さらにワインディングに入った時は、とにかくそのシームレスな曲がりっぷりにびっくりで、直進状態から切り込むと、すっとフロントに荷重が移ったのを感じつつ、理想的なコーナリング姿勢が取れる。

まさに誰でも運転が上手くなったようで、これぞSTIマジック、もとい辰己マジックと言うべきか。 比べるとツーリングワゴンの方はtSになると若干ボディ剛性の弱さが目立ち、逆に足の硬さをより感じる。しかしこれまた素材の味が分かるtSシリーズならではで、ほどよいスポーティな味わいなのだ。

レガシィtSは「往年のレガシィ」

試乗を終えて、STIマイスターの辰己さんと少々話をしたが、印象的だったのは「クルマの味は会社に残るんじゃない、人に残るんです」という一言だった。

実は、辰己さん自身がスバル本社にいる時に「これぞスバルの走り」「スバルの味」というものを自分なりに会社に残そうとしたが、途中で諦めたそうだ。

結局、その時代のスバルの走りは、その時代のエンジニアであり実験部隊が決める。その人の感性は他人には伝えられないのだ。それはすなわち、往年のレガシィの走りを求めたいと思ったら、今のSTIチューン、つまりレガシィ tSにたどり着くと言うこと。

もしや分かりやすくゴリゴリとした、STIらしい超アルデンテな走りを求める向きには物足りないかもしれない。

だが、歴代レガシィが持っていた快適性とそのバランスは、このレガシィ tSの中にこそ存在する。お値段はノーマル比約70万円増しの400万円台と、決して安くはない。

でも、今のレガシィがどこかピンと来ない方、あるいは昔の味が懐かしいという方にはぜひとも乗って欲しい。

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小沢 コージ
筆者小沢 コージ

横浜市出身。バラエティ自動車ジャーナリスト。自動車メーカー、「NAVI」編集部員を経てフリーに。現在、雑誌やネットに多数連載。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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