スバル レガシィ tS 試乗レポート(1/3)
- 筆者: 小沢 コージ
- カメラマン:原田淳/オートックワン編集部
「STI」の重要性が増したレガシィ
率直な話をしてしまうと、去年出た新型レガシィはある側面「日本市場を捨てた」と言ってもいいと思う。
それは、サイズアップされたエクステリアを見れば明らかで、ツーリングワゴンでいえば全長が95mm伸び、全幅が50mm伸び、全高が65mm伸びた。それに伴い異様に拡大したのが室内で、なんと室内長は実に350mm(35cm!)も伸びて2,190mmになり、室内幅が100mmも伸びて1,545mmにもなった。
これはズバリ、今や販売の約5割を占めるアメリカ市場の影響だ。不況とはいえ、アメリカは未だ巨大マーケットであり、注文を請けざるをえない。結果、特に狭いと言われたリアシートを広くすべく巨大化したわけだ。
ただし、日本市場を「完全に」捨てたかというとそうでもない。ご存じの通り、レガシィはスバルの顔とも呼ぶべきスターシップで、固定客は付いてるし、イメージもいい。
なにしろ80年代終盤にいち早く、走りに妥協のないステーションワゴンを出して“日本のユーティリティGT”の世界を切り開いたのだ。
独特で個性的かつ端正なデザインと、有名スポーティセダンにも負けない走りに高い実用性は、今だ熱心なファンを捉え続ける。しかし、ボディが大きくなり剛性感が増したことでメリットもあるが、これまでの走りの良さはスポイルされざるを得ない。
よって、クローズアップされるのが「STI」の存在だ。元々はスバルのラリー活動を行うべく生まれた会社だが、その後走りに特化したSTIバージョンも作っており、今の巨大化したレガシィにこそ、その味付けが求められている。
そう、「STI」こそ“これぞ本当の日本向けレガシィ”と呼ばれるべき仕様を作ることができるポテンシャルを持った会社なのだ。
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