青春18きっぷでもっと気ままに旅しよう|私たちの生活を深化させる“モビリティ”の世界 Vol.1
- 筆者: 楠田 悦子
- カメラマン:楠田悦子・茂呂幸正・小林岳夫・オートックワン編集部
様々なモビリティとの関わりが生活の質をも変えてくれる
はじめまして! モビリティジャーナリストの楠田 悦子(くすだ えつこ)と申します。よろしくお願いします。「オートックワンにどうしてクルマ以外の情報が載っているんだろう?」と思った方もいらっしゃるかと思います。私はクルマのメーカー、販売、整備、それを使ったサービスを取材する(株)自動車新聞社の記者を経て、同社のモビリティ情報「LIGARE」の初代編集長として、クルマのみならずICT(情報通信技術)などでつながる鉄道などを含めた移動手段を全般的に取材するようになったのです。
その後フリーランスとして2013年に独立。暮らしや社会をより心豊かにするためには、移動手段はどう進化し、どう活用したらよいのかという視点で活動を開始しました。
クルマ、自転車、パーソナルモビリティ、鉄道の進化や上手な付き合い方をご紹介したり、高齢者の事故や免許返納など、身近な暮らしや社会の問題について考えてみたいと思っています。
格安な「青春18きっぷ」で大人な旅を
「青春18きっぷ」を使って、たまにはのんびり旅をしよう。
そんなことを考えたのは、日々の忙しない国内の新幹線や飛行機の移動に辟易としていたから。
「東京での打合せのために、日々新幹線で往復するんです」
そう語るビジネスマンの方とも数多くお会いしました。政府主導で働き方改革が進められていますが、欧州諸国に比べると日々の時間はバタバタと流れ、長期休暇も短く感じます。
せっかくの夏や年末年始の長期休暇も、日本全国の人が一斉にとるため、新幹線、飛行機、夜行バスやLCCですら混み合い、価格も高くなります。会社が旅費交通費を負担してくれる訳ではないため、田舎への帰省は毎年の大きな出費になったりします。
「仕事で疲れているのに、せっかくの休暇にまた人混みに揉まれるのはうんざり」
そこで友人に勧められたのが「青春18きっぷ」でした。
青春18きっぷは「誰でも使える」切符
「え?19歳以上も使用できるの?」
青春18きっぷは、18歳以下が対象かと思い込みがち。しかし年齢を問わずに、1人旅なら5日、家族や友人などのグループでも分けて使える5枚1組のきっぷなのです。
JRのみどりの窓口などから春夏冬の期間限定で発売されています。
2018年は、春の発売期間が2月20日(火)~2018年3月31日(土)、利用期間が3月1日(木)~2018年4月10日(火)。
夏の発売期間は7月1日(日)~8月31日(金)、利用期間が7月20日(金)~9月10日(月)。
冬の発売期間が12月1日(土)~12月31日(月)、利用期間は12月10日(月)~翌2019年1月10日(木)。
価格は大人も子どもも同額で11,850円。「日本全国の普通と快速が乗り放題で乗り降り自由な2,370円のきっぷ」を5日分購入するイメージです。それを1人で5日使っても、友人と2人で使っても、家族5人でも使ってもいいルールになっています。
往復2,370円を超える移動をすれば得するという考え方もできますし、新幹線を使って東京-新大阪を移動しようとすると片道14,860円かかるので、東京-新大阪を片道移動すれば、元は取れるといった考え方もできます。時間がある週末や長期休暇に使えそうです。
<詳細な利用条件についてはこちらも併せてご一読を>
青春18きっぷを試しに使ってみた
今回、試しに東京-新大阪の往路を1人で乗ってみました。
乗換検索サイト「ジョルダン」では、青春18きっぷの乗換検索のサービスを行っていて、それを基に乗り継ぎました。
東京を起点にお昼頃出発。品川、熱海、静岡、浜松、豊橋、名古屋、岐阜、米原、京都など、主要な駅を順に通過していくことになります。大阪に着くのはもう夜。約10時間かかるので、1人で乗り継ぎをして、車内でおとなしく過ごせるか心配でした。
しかし、これまで移動に半日かかる出張も多かったため、予想より楽なものでした。読書をしたり、電車に揺られてうとうとしてみたり、海のある景色を眺めてぼーっと眺めたり。
新幹線のぞみ号では一瞬で通り過ぎていく途中駅も、各駅停車の旅ではそれぞれ主要なターミナル駅として多くの人が乗り降りし、地域の熱気を感じることが出来ます。これまで幾度となく通り過ぎたけれども、あまり下車したことのない街ばかり。
青春18きっぷは、途中下車が1日のうちで何回でもできるフリー切符なので、日本全国を手中に収めたような気分に。もし時間がもう少しあれば、ひと駅ずつ下車をして周りたいと感じました。
何も考えず気の向くままに出かけるのが大人のゆる旅
旅はきっちり計画を立てるのもよいですが、何も考えずに気の向くままに旅してみるのも楽しいもの。
乗り放題な青春18きっぷを使っての旅なら無計画でも大丈夫です。とりあえず電車に飛び乗ってしまえば、旅を計画する時間はたっぷりあります。最近では、主要都市なら大抵の場合当日でも宿泊施設や24時間空いているお店をネットで探すことができます。観光地や美味しい飲食店の情報も同じようにネット上に溢れています。
例えば・・・車窓いっぱいに浮かび出てきた青い海をもっと見たくなったから、久しぶりに熱海で下車してみよう。静岡に住む大学時代の友人は元気なのか連絡を取ってみよう。土用のうなぎを食べ損ねたから、浜松で食べよう。
そんな気ままな予定変更も可能。気に入った街で今夜の宿を決めるなんて、なんか贅沢な気分です。
普段なら新幹線で移動する東京~新大阪の帰省ぐらいであれば、いつもより少し早めに家を出発して、少し浮いたお金で、実家への往路や自宅への復路を何倍も楽しむことができます。
もちろん、家族や友人と一緒に使っても非常にリーズナブル。時間の制約が少ないので、電車でのんびりおしゃべりする時間もまた楽しく、あっという間に目的地に着いてしまうことでしょう。
旅を組み立てる力は人生を楽しむ力
大きな登山用のリュックを背負った、欧米やアジアなどからの個人旅行者を目にすることが増えました。一般的な日本人の旅と違って、彼らの日本の滞在日数は驚くほど長く、2週間だったり1ヶ月だったり、中には世界一周旅行をしている人もいました。
筆者が留学したスイスの友人の中にも、そんな風に旅することに抵抗のない人がたくさんいます。人生を楽しむために働く、働いたら休む、休日数も自分でコントロールし、ゆっくり過ごす。自分の生き方、家族や友人との時間を大事にする。
旅はまだ見たこともないことや、会ったことのない人との出会いで、ドキドキワクワクするアドベンチャー。そんな価値観を持ち、自分で旅を組み立てて、旅先の人とコミュニケーションをとりながら楽しむことに長けていて、何気ない日常を楽しむ心の豊かさを持ったたくましい人ばかりです。
私たち日本人もこんな風にちょっと旅のスタイルを変えるだけで、見える世界がもっと広がるのかもしれませんね。
[Text:楠田悦子/Photo:楠田悦子・茂呂幸正・小林岳夫・オートックワン編集部]
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