自転車への自賠責保険加入を“義務化”したい理由とは・・・違反すると「罰金」はあるの?(2/3)

自転車への自賠責保険加入を“義務化”したい理由とは・・・違反すると「罰金」はあるの?
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自転車事故も減少傾向にはあるものの・・・

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自転車に限定した保険では、自転車の乗員を補償する自転車傷害保険(名称は保険会社によって異なる)、相手方に与えた損害を補償する個人賠償責任保険がある。

一般的な「自転車保険」は、両方の補償を兼ね備える。事故時に支払われる保険金額は、自転車に乗車中に死亡した場合で300~500万円。加害者になって賠償責任が生じた時は1~2億円という補償内容が多い。保険料は年額で4000~7000円くらいだ。

自動車の任意保険に加入しているなら、特約で付帯したり標準付帯になることもあるが、今は保険が自由化されているから保険会社によって補償が異なる。自転車の乗員の補償と、個人賠償責任保険の内、どちらか片方のみの標準付帯になることもあるから注意したい。

近年では交通事故全体の件数が減っていて、自転車事故も減少傾向にある。しかし交通事故件数全体に占める自転車事故の割合は、ほぼ横這いで20%前後を占めている。また交通事故の死者数は1970年の1万6765人をピークに減り続けて2015年は4117人となったが、大幅に減ったのは主に自動車に乗車中の死者数だ。

そのために1965~1975年頃は、死傷者全体に占める自転車乗車中の比率は13~15%だった。今は前述の20%前後だから、長期間で見ると自転車乗車中の割合が増えている。自動車と併せて、自転車の安全性を確保せねばならない。

道路によっては「車道の左側を通行する」ことに危険が伴う場合も

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子供に対しては交通安全教育が重要だが、地域に合わせて行う必要がある。例えば都市部の小中学校で生徒に配布するチラシにも、「自転車は軽車両なので、車道の左側を通行しましょう」と書いてある。近隣には交通量の多い2車線の幹線道路が縦横に通っていて、車道の左側にはコインパーキングが設置されている道路も多い。

このような道路環境で「車道の左側を通行」するのはきわめて危険だ。幹線道路などでは自転車も歩道を通行可能にしている箇所が多く、歩行者と自転車の描かれた道路標識を設置している。このような道路では警察官が自転車で移動する時も歩道を使うが、前述のチラシには明記されていないことが多い。

学校で教えられたことを厳守する子供は、2車線の幹線道路の左側を自転車で走ることになり、事故に繋がりやすい。この点を警視庁の広報課に問い合わせると、次のような返答だった。

「自転車の通行については、警視庁も憂慮しています。子供によっては『車道の左側を通行』と教えても『左側』が抜け落ちて、車道の右側を走ってしまう場合があるのです。なので交通量の多い地域では違った教え方をしたいのですが、チラシなどは全国で統一することになっていて、柔軟に対応しにくい現実があります」

交通環境は地域によって異なり、川を隔てただけでも地形によって変わる場合がある。なので交通教育は地域に応じて行う必要があり、子供には状況に応じて柔軟に判断することも教えたい。

前述のように府立高校の生徒に自転車の利用に際して保険の加入を義務づけるなら、保険を使わずに済む安全教育こそが大切だ。

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渡辺 陽一郎
筆者渡辺 陽一郎

1961年生まれ。自動車月刊誌の編集長を約10年務めた後、フリーランスのカーライフ・ジャーナリストに転向。「読者の皆さまに怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も重要なテーマと考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を心がけている。記事一覧を見る

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