ロールス・ロイスと結城紬、クラフトマンシップが紡いできた「至高」のマリアージュ(2/2)
- 筆者: 中込 健太郎
- カメラマン:中込 健太郎/奥順株式会社
月産をこだわらないクルマ作りは結城紬に通じるものがある
セレモニーの途中で乾杯のあいさつに立った奥澤頼之専務は「月産台数を誇るクルマも多い中、届けるユーザーに向けて丹精を込めて今もこだわり、職人による手作りを基本とするロールス・ロイスのクルマ作りには結城紬にも通じるものがあるのではないでしょうか。また、単に人手を介しているだけではなく、古い道も多い結城市周辺で乗ってもその静粛性の高さには格別の世界がしっかり表現されている。高みを目指すという志をしっかりと感じる。」と話した。
結城紬の魅力に触れた後は、実際にロールス・ロイス車の試乗体験も可能。オープンモデルのドーンと、サルーンのゴーストが試乗車として用意され、希望車は20分ほど結城市周辺での試乗を体験することもできる内容になっていた。
進化し続ける結城紬
ロールス・ロイスもまもなく、SUVモデルを紹介することになるのだという。イベントの中で繰り広げられたトークセッションを振り返って、奥澤専務は「ロールス・ロイスもSUVを発売するというお話はとても刺激を受けました。伝統は単に守るだけではなく、その時代や、ニーズに合わせて進化する部分も必要。原則的に古来のスタイルの継承はもちろん大切だが、それ以外でいろんな試みを私たちもしていかなければいけないと感じました。」と話した。
最近では結城紬で洋服用に幅を大きく取った生地も生産し、ジャケットなど洋服への応用なども積極的に取り組んでいるというだけに、伝統を大切にするブランドの挑戦にも大いに響くところがあったようだ。
一方、結城紬もいろいろ見せていただいて、ところどころに不規則な小さい「だま」のようなものができるところに、風合いというか妙な味を感じたものだ。しかしこれについても、お話を伺うと意外なことがわかる。「実際に着てみるとこれが風合いのように結城紬らしさのようにも感じられるのですが、実は職人さんたちはできるだけ反物を滑らかに仕上げたいと思って毎回毎回挑戦をし続けているのです。ですから、どんなに熟練した職人さんであっても100点満点はつかないのです。技能も、技術も常に進化し続けていると言えるかもしれませんね。」
作り手は私たちがもつ結城紬のイメージの先を目指し続けているのだ。この話を聞いて、結城紬自体が「果てしない技の旅」のような技術ではないかと感じたのである。そしてこうして実際に足を運んでみると、先入観や思い込み、知ったつもりなど人間の陥りがちな状況をはるかに超えた発見、感動に出会えるものなのだ。
ロールス・ロイスと日本の伝統工芸が結城市に会した場に足を運び、旅こそ、行った人にしか味わうことのできない感動をもたらしてくれる「平等な贅沢」であることも、「至高の旅」で味わうことができた。
[Text/Photo:中込 健太郎]
ロールス・ロイス 新型ファントムの主要スペック | ||
---|---|---|
車種名 | ファントム | ファントム エクステンデッド・ホイールベース |
グレード | -- | -- |
パワートレイン | ガソリンエンジン | ガソリンエンジン |
JC08モード燃費 | -- | -- |
価格(消費税込) | 5460万円〜 | 6540万円〜 |
全長 | 5,770mm | 5,990mm |
全幅(車幅) | 2,020mm | 2,020mm |
全高(車高) | 1,645mm | 1,645mm |
ホイールベース | 3,550mm | 3,770mm |
車両重量 | 2700kg | 2750kg |
乗車定員 | 4/5人 | 4/5人 |
トランク容量 | 548L | 548L |
ステアリング・ポジション | RHD/LHD | RHD/LHD |
エンジン種類 | 60°V型12気筒/48バルブツインターボ | 60°V型12気筒/48バルブツインターボ |
排気量 | 6,750cc | 6,750cc |
エンジン最高出力 | 420kW(571PS)/5,000rpm | 420kW(571PS)/5,000rpm |
エンジン最大トルク | 900N・m(91.8kg・m)/1,700-4,000rpm | 900N・m(91.8kg・m)/1,700-4,000rpm |
燃料タイプ | ハイオク | ハイオク |
トランスミッション | 電子制御8速AT | 電子制御8速AT |
駆動方式 | 後輪駆動(FR) | 後輪駆動(FR) |
性能 | ||
0-100km/h加速 | 5.3秒 | 5.4秒 |
最高速度 | 250km/h(リミッター作動) | 250km/h(リミッター作動) |
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