最新スタッドレスタイヤ「ダンロップ ウインターマックス03」を真夏のスケートリンクで新旧比較テスト!

  • 筆者: 伊藤 梓
  • カメラマン:茂呂 幸正
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2020年夏、氷上性能に定評のあるダンロップのスタッドレスタイヤがさらに進化し「WINTER MAXX 03(ウインターマックス ゼロスリー)」として登場した。従来の「WINTER MAXX 02(ウインターマックス ゼロツー)」と比較して、氷上ブレーキ性能が22%、氷上コーナリング性能が11%も向上したという。今回は、新横浜にある KOSÉ 新横浜スケートセンターでその性能を体感することができた。

新旧比較! 最新スタッドレスタイヤを真夏のスケートリンクでテスト![写真でもっと見る]

新旧のウインターマックスを氷上で比較試乗

その違い、私にもわかるのかな?

氷上には、従来のダンロップ製スタッドレスタイヤ「WINTER MAXX 02」と、新しい「WINTER MAXX 03」を履いた2台のヤリスが待っていた。スケートリンクの氷の温度は0度付近に保たれていて、ちょうど氷上に水膜が張り、もっともタイヤが滑りやすい環境になっている。

「新旧のタイヤを比較して違いを感じてほしい」ということだったが、いつもスタッドレスタイヤの試乗でドキドキするのは「違いがよく分からなかったらどうしよう…」ということ。私は雪国出身なので、スタッドレスタイヤでの雪道走行には馴染みはあるものの、こういった同じ銘柄のタイヤの新旧モデルを試すとき、明確な違いが分かりにくい時がある。路面の状態が変わったり、雪道での運転に慣れるまで時間がかかり、テストに再現性がなかったり…。雪上、氷上での試乗は特に難しいのだ。

まずは従来モデルに試乗

最初にESC(横滑り防止装置)をオンにした状態でどちらも試乗してみたが、正直に言うと、ESCオンの状態では、車両自身が滑りをコントロールしてくれることもあり、いずれのタイヤもしっかりグリップして走れるように感じた。そこで、ESCをオフにして、再度チャレンジ。

まずは「WINTER MAXX 02」を履いたヤリスで走り出したのだが、ちょっとアクセルを踏んだだけで、タイヤが空転して回転数が思い切りウワーンと上がった。時速15〜20キロに乗った状態でフルブレーキしてみると、ABSが作動しながら、ずるずると制動距離が伸びていく。パイロンを右へ左へ抜けていく時も「氷上ってやっぱり危ないな」と改めて思うほど、慎重に運転しないと途端にコントロールが奪われてしまう。

それでも、ドライバー側が乱暴な運転さえしなければ、「WINTER MAXX 02」でも問題なくクルマを前に進めていくことができた。

食いついてる! 曲がってる! ウインターマックス03は安心感が違う!

そして、いよいよ「WINTER MAXX 03」に乗り換える。

まずは同じように時速15〜20キロの状態からフルブレーキをしてみると、もちろん滑り出してABSは作動するものの、先ほどよりタイヤが氷に食いついている感覚がある。スケートリンク横には、制動距離の参考になるように2m間隔でパイロンが置かれていたのだが、従来のWINTER MAXX 02よりも明らかに手前で停止することができた。

特にその性能差をはっきり感じることができたのは、円状に置かれたパイロンを周回しているとき。

WINTER MAXX 02は、一旦滑り出してしまうと、アンダーステアでコースの外へ外へと出ていってしまうので、ハンドルを戻しつつブレーキを踏むしかなかったが、新しいWINTER MAXX 03では、同じように滑り出してもハンドルを切ったまま少し待っていれば、タイヤがグリップを回復してまた円に沿って曲がり出してくれた。

氷上ブレーキ性能が上がっているのはもちろん有難いが、スキー場などへ行く山道では、下りのコーナーでヒヤヒヤすることも多い。雪道を走ることが多いユーザーとしては、氷上コーナリング性能が向上している「WINTER MAXX 03」のほうが、より安心して使えて嬉しい。

性能向上の秘密は「ナノ凹凸ゴム」にあり

凍結路が滑るのは、氷上の水膜のせい! ならば…

なぜ「WINTER MAXX 03」がここまで進化したかというと、これまでスタッドレスタイヤの性能としてもっとも重要視されていた路面への“密着”だけではなく、氷上の“除水”にも注力したことが大きい。

スタッドレスタイヤは、まず氷上の水膜を除水しなければ、路面に密着して止まれる状態にはならない。そこで「いかに早く除水するか?」を追求したことで、02からの大幅な進化につながったという。

その秘密が「ナノ凹凸ゴム」だ。

ゴムの表面に細かい凹凸を作ることで、水膜を素早く除去し、タイヤが路面に密着するまでの時間を短縮できるので、試乗の際に感じた「早く止まれる」「早く曲がれる」を実現しているという。この「ナノ凹凸ゴム」は、走る度に新しい凹凸ができる構造になっているため、性能も長く続くそうだ。02とグラフで比較するとライフ性能は落ちているように見えるかもしれないが、ダンロップ基準のロングライフ性能は余裕を持って満たしているという(5000km×4年間)。

低速走行でも感じられた“違いが分かる性能”

スケートリンクを数周しただけの試乗会だったが、少し自信がなかった私でもその性能の進化をはっきりと感じることができた。ダンロップの方が「WINTER MAXX 03は、『どんな人が乗っても違いが分かる性能にしよう』と開発を進めました」と言っていたことに、深く納得。

WINTER MAXX 03は、「スタッドレスタイヤはよく分からないから、どれでも同じ」と考えている人にこそ、是非試してもらいたいタイヤだと感じた。

[筆者:伊藤 梓/撮影:茂呂 幸正]

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伊藤 梓
筆者伊藤 梓

グラフィックデザイナー時代にミニカーの商品を担当するようになってから、どっぷりと車に魅了されるように。「こんなに人を惹きつける車というものをもっとたくさんの方に知ってほしい」と、2014年に自動車雑誌の編集者へと転身。2018年に、活動の幅を広げるために独立した。これまでの経験を活かし、自動車関係のライターのほか、イラストレーターとしても活動中。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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