ホンダ エディックス 試乗レポート
- 筆者: 松下 宏
- カメラマン:iZM
新しい発想のミニバン”3人掛けシートを前後に配置”
ミニバンといえば3列シートというイメージが強いが、発想を転換してミニバンのシート配置を変更し、3人掛けのシートを2列用意したのがエディックス。普通のハッチバック車並のコンパクトな全長と、1800mmに近いワイドボディという変わったレイアウトの中に十分な広さのあるパッケージングを実現したのが特徴だ。
過去にティーノやフィアット・ムルティプラなどの存在もあるが、エディックスはそれらとは異なる新しいコンセプトから生まれている。特に中央のシートを大きく前後スライドさせることで、前席中央のシートがクルマの中心に位置するようなレイアウトは斬新な発想によるものだ。
基本プラットホームはシビックをベースにしたもので、搭載エンジンは2LのDOHC i-VTECと1.7LのVTECの2機種。2Lには電子制御5速ATが、1.7Lには電子制御4速ATが組みあわされている。サスペンションは前輪がストラット式、後輪がダブルウイッシュボーン式だ。
ワイドで広々とした印象の室内空間と走りを予感させるデザイン
エディックスのエクステリアデザインはちょっとした迫力を感じさせるものになった。ショート&ワイドのプロポーションと、今にも走り出しそうなクラウチングスタイルが、走りを予感させるも。傾斜を強めたバックドアのリヤウインドーなど、リヤビューも個性的なもので、ほかのクルマにはない魅力を備えている。
運転席に座り込むと、横方向に広がったインパネデザインが注目される。ボディそのものも相当にワイドなものだが、インパネデザインによって一段とワイドで広々とした室内という印象を与えている。前席で方向のウォークスルーが可能なようにATレバーはインパネシフトの設定とされた。
それぞれ独立した2列3人掛けのシートは、大人が中央のシートに座るとちょっと窮屈な感じになるが、左右のシートはドアとの間隔がやや狭いものの、シート自体はたっぷりしたサイズで作られており、座り心地、ホールド感とも不満はない。また主に子供用になる中央のシートは、前後席とも3点式シートベルトが装着されるほか、前席は専用のエアバッグが採用されて大人が座ったときの安全性にも配慮されている。
柔らかめの足回りと重さを感じさせないスムーズな走り
2列シートではあるものの、6人掛けのミニバンであるだけに、エディックスの車両重量はちょっと重めの印象。グレードによって多少の違いがあるが、 1400kg前後の車両重量は、同排気量のセダンに比べると100kg~200kgくらい重い。でも2Lのi-VTECエンジンを搭載したモデルの走りは余裕十分。低速域から十分なトルクを感じさせ、重さを感じさせないスムーズな走りを可能にしている。
このスムーズさには5速ATも貢献している。段数が増えることでショック自体が少なくなっているほか、中速域デビューの余分な変速が抑制されているので、走りは実に滑らかなものだ。しかも巡航に入ったときの回転数が抑えられるので、高速クルージングが静かで快適なものになる。
足回りのチューニングはかなり柔らかめの印象だ。ホンダではオデッセイをドライバーズカーとして硬めの乗り心地としているが、同じミニバンでもエディックスの味付けは全く別。ゆったりロールする柔らかな乗り味としている。それでいてコーナーで不安を感じさせないのは、ワイドトレッドによる安定感が大きいのだろう。全体に気持ち良い走りが印象的なクルマだった。
どんなユーザーがどんな使い方をするのか。
基本的にはヤングカップルや小さな子供のいる若い夫婦などが購入のターゲット層だが、3人掛け×2列=6人乗りのシート配置と、多彩なシートアレンジによる大きなラゲッジスペースを使えば、さまざまなユーザーがさまざまな使い方をすることのできるクルマである。6人分のシートが全部独立しているから、中央のシートだけを2つ倒して長尺物の荷物を積んだり、あるいは簡単な操作で2列目のシートをダイブダウンさせ、フラットで広々としたラゲッジスペースを作ることができる。このスペースを使えば、たくさんの遊び道具を積んでカップルで出かけることが可能。自在な使い勝手を実現できるクルマだ。
このようにいろいろな使い方が想定できるエディックスだが、それだけに逆に焦点がボヤけてしまうイメージもある。どんなユーザーがどんな使い方をするのが最も似合うのか、ピンとこない部分もあるからだ。
何とか大人が座れるとはいえ、中央のシートに大人が座って6人乗りとして使うのはちょっと窮屈。無条件で全面的にお勧めできるクルマにはなりにくい。当たればヒットする可能性を持つが、外れたら大コケになる可能性もあるのがエディックスだと思う。
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