0-100km/h加速は2.8秒!? ポルシェ タイカンの高性能モデル『ターボS』の実力とは
- 筆者: 伊藤 梓
- カメラマン:ポルシェジャパン
ポルシェ初のフル電動スポーツカー『ポルシェ タイカン』。ポルシェらしいスポーツカーのエッセンスを盛り込んだ高い完成度を誇るスポーツサルーンだ。
そんなタイカンの中で、高性能なトップモデルとして君臨する、『ターボS』にフォーカス。モータージャーナリストの伊藤 梓さんが、高性能モデルの象徴としてのネーミングされたターボSのスペックの紹介と、ターボSのロードインプレッションを行った。
運転を楽しむ電気自動車「ポルシェ タイカン」
電気自動車といえば、「電気で動くクリーンエネルギーのクルマ」というイメージを持っている人は増えてきただろう。しかし、電気自動車は新しいエネルギーを活用した自動車というだけではなく、これまでの内燃機関と比べて、また違ったドライブフィールを楽しめるという点にも注目してほしい。その「運転を楽しむ電気自動車」として、現時点でその頂点に君臨しているのは、「ポルシェ タイカン」だ。
ポルシェ タイカンは、ポルシェ初の電気自動車で、これまでのようなポルシェ独自の水平対向エンジンなどの内燃機関を搭載せずとも、ポルシェらしいスポーツカーのエッセンスを盛り込んだモデルだという。
今回、試乗したのは、そのタイカンの中でももっともハイパワーな「ターボS」。最初は名前を見た時に「ターボ?!」と驚いた。電気自動車は、エンジンがないのだから、もちろんターボも搭載されているわけがない。
それでも、ポルシェの中でも歴史ある「ターボ」の名を冠するということは、それだけ高性能なスポーツカーとして自信を持って提供するという意味合いが込められているのだろう。
市販車では類い稀な圧倒的なパワーを持つスポーツカー
タイカン ターボSは、前後アクスルにモーターを搭載している4WDモデルだ。最高出力/最大トルクは、なんと625ps(ローンチコントロール使用時は761ps)/1050Nmで、0-100km/h加速は2.8秒!これほどパワフルなモデルは、内燃機関でもなかなかお目にかかることができない。現在市販されている911 GT3で510ps/470Nmなのだから、そのパワーがいかに圧倒的かよく分かるだろう。
しかし、93.4kwhという大容量のバッテリーを搭載していることもあり、車重は2295kg(DIN規格)と、スポーツカーとしては考えられないような重さになっている。「この超ハイパワーなパワーユニットと、超ヘビーウェイトというアンバランスな成り立ちで、果たしてポルシェらしいスポーツカーなんて作れるのだろうか?」という不安を抱えながら試乗してみることに。
ポルシェの中でも最先端を行くデジタルコックピット
室内に入り込むと、明らかにデジタル化されたインテリアにハッとさせられた。他のポルシェのモデルも徐々に近代化されつつあるが、その最先端を行っているモデルはやはりこのタイカンだ。
コックピットらしく滑らかに湾曲しているメーターパネルや、運転席から助手席にわたってつながっている液晶パネルも、他メーカーのEVモデルなどに負けないくらいの存在感を放っている。ただ、アナログの時計は他モデルと変わらず、ダッシュボードの中央に鎮座していた。
それに少しホッとしながらスタートボタンを押すと、エンジンが掛からない代わりに、タイカンのロゴがメーター内に浮かび上がり、ドライバーの気持ちを鼓舞してくれる。まずは、思い切りアクセルペダルを踏み込む前に、一般道や高速道路を流してみることにした。
走行時の静粛性が高く、乗り心地も滑らか。快適なドライブが楽しめる
走り出してまず驚いたのは、その静粛性だ。EVはエンジン音がないため、逆にその他のロードノイズや風切り音などが耳につくこともある。ところが、タイカンはエンジン音以外のノイズもボリュームのつまみを絞り切ったかのように、室内はピタリと静か。室内には、まるでSF映画に出てくる宇宙船のようなモーター音だけが聞こえてくる。
また、3チャンバー式のエアスプリングと可変ダンパーを採用していることもあって、これだけがっちりした重量あるボディから想像できないほど、乗り心地は滑らかだ。道路の継ぎ目なども、何事もなかったかのようにスタッといなす。
高速走行中は、他のポルシェに引けを取らない直進性で、矢のように突き進んでいくのが爽快だった。この乗り心地と直進安定性であれば、スポーツカーとしてではなく、グランドツーリングにも十分使えるモデルになりそうだ。
さらに、街中を快適にドライブできる理由のひとつとして、4輪操舵であることも挙げられる。ボディサイズは、全長4965×全幅1965×全高1380mmと、一見するととても大きなモデルで運転しづらそうに思えるのだが、4輪操舵のおかげで、狭い道や交差点もコンパクトに走ることができた。
驚くほどの加速感、思い通りに操れる快感
「とても快適なのは分かったが、ではポルシェのスポーツカーとしてはどうなのだろう?」と、ワインディングロードも走り込んでみることに。試しにアクセルを奥まで踏み込んでみると、波動砲を思わせるような急激なパワーの放出に一瞬めまいが起きるかと思った。遊園地のジェットコースターにある「心臓の弱い方はご注意ください」という注意書きが必要かもしれない、と思うほどの加速感だ。脳が慣性で置いていかれるかのような感覚に面くらいつつ、ステアリングを握り直す。
「こんなパワーじゃクルマを扱いきれないよ!」と思いながら、ステアリングを道なりに切り返していくと、あら不思議。これだけパワフルで重さのあるタイカンが、驚くほどスムーズに進行方向を変えていく。自分の思い通りにクルマを動かせるこの快感は、まさにポルシェだ。最初は「グランドツーリング志向の電動パナメーラなのかな」と思ったが、この圧倒的な運動性能は、ポルシェによる新しいスポーツカーの解なのだと感じた。
航続可能距離を延ばす大容量のバッテリーを搭載。最大150kWの急速充電施設も展開中
都内で満充電にして、箱根までツーリングし、さらにワインディングを駆け抜けて、都内に戻ってみると、航続可能距離はまだ100kmを超えていた。このバッテリー容量の大きさも、タイカンの優秀なポイントのひとつだろう。ただ、大容量のバッテリーを搭載していると、充電時間が多くかかってしまうというデメリットもある。ポルシェは、最初からそれを想定し、 CHAdeMO規格で最大150kW※の出力を誇る「ポルシェ ターボチャージャー」をABB社と共同開発した。
※現在は充電ケーブルの関係で90kWに抑えての運用中
現在は、東京、大阪、名古屋の主要都市のみの設置となっているが、インフラも含めて自社で開発してしまうところはいかにもポルシェらしい。
「電気自動車のポルシェは受け入れられない」というファンはまだたくさんいるかもしれないが、タイカンはそれを力と技術で納得させる、いかにもポルシェらしいモデルに仕上がっていると感じた。
【文:伊藤 梓 写真:ポルシェジャパン】
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