ポルシェ パナメーラ 海外試乗レポート/金子浩久 編(2/2)
- 筆者: 金子 浩久
- カメラマン:ポルシェジャパン株式会社
ポルシェが初めて後席を重要視して作ったクルマ
参加者はまず後席に乗せられ、ショーファーの運転のもと約150キロ南に下り、ガルミッシュ・パルテンキルヘンに赴いた。ポルシェの、こんな試乗会は初めてだ。
「後席の乗り心地を、ご堪能下さい」パナメーラの後席に座り、最初に眼を惹くのは、センターコンソールだ。左右の席を隔てるように、センターコンソールは高くダッシュボードから後席まで一直線につながり、前後それぞれの左右席を隔てている。
感心させられたのは、センターコンソールで左右を隔てることによって、閉所感ではなく、エクスクルーシブなパーソナル感覚を醸し出しているところだった。
前席並みの立派な背もたれを持つシートに身を委ね、隣と適度に距離が保たれた後席は、ヨーロッパ路線のファーストクラスの雰囲気に似ている。
シートは上半身までしっかりとホールドされるから、いくら飛ばされても、揺すられることがない。一体感すら、生まれて来る。
ハンドルこそ握っていないが、後席からでも積極的にドライビングにコミットメントしている気になる。
とても新鮮な感覚だ。
その意味で、パナメーラはポルシェが初めて後席を前席同様に重要視して作ったクルマだ。
プレスカンファレンスの席上、取締役のひとりであるミハエル・マハトは、パナメーラにバリエーションが追加されることを認めていた。
2010年には、V6エンジン搭載モデルとハイブリッドシステム搭載モデルが発表される。今回、まず発表されたのは、4.8リッターV8エンジンを積む3モデルだ。
自然吸気エンジンの後輪駆動「S」と4輪駆動「4S」。ターボ過給された4輪駆動の「ターボ」は、500馬力を発生し、最高速度は303km/h。0~100km/h加速が4.2秒。
EU5基準の燃費は、総合値で8.2km/L。CO2排出量286g/km。ポルシェ初のアイドリングストップ機構が全モデル標準装備され、赤信号などで停止すると、ほぼその直後に停止する。
3モデルともにサイズを感じさせないほど、十分以上に速く、スポーティな感覚に溢れている。
それでいて、乗り心地を含めた快適性のレベルはとても高い。ガッシリとした強固なボディに、正確に作用するステアリングとサスペンションの働きようは、911やカイエンなどの他のポルシェを思わせる。
反対に、他に似たクルマをちょっと思い出せない。コンセプト、スタイリング、パフォーマンスのどれを取っても、他に例のない独自性の高いクルマだ。
ポルシェは、また新たな一歩を踏み出した。
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