ポルシェ ケイマンS 海外試乗レポート(2/3)

  • 筆者: 河村 康彦
  • カメラマン:ポルシェ・ジャパン
ポルシェ ケイマンS 海外試乗レポート
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ボクスターとの血縁関係の濃さを意識させるデザイン

という事で、スペインなどと同様ワインディングロードには事欠かず、加えて“多少の事"ではポリスカーなどもやって来ない(!?)イタリアはシエナの近郊で開催されたのがケイマンの国際試乗会。ちなみに、今回会場に用意をされたのは当然ながら、このイベント直前のタイミングで開催されたフランクフルト・モーターショーの舞台にも展示をされていた3.4Lエンジン搭載のケイマンSのみ。

もちろん、ポルシェの流儀に則ればこうして『S』の記号を語るモデルに対しては、そのベーシック・バージョンも用意をされるというのがもはや公然の秘密というもの。「恐らく3リッター程度の排気量であろう」と噂される“素のケイマン"も、そう遠くはない将来に姿を現すのだろう。

本国仕様車同士のデータを用いて語ればボクスターSよりも12mm長く、10mm高く、幅は同一・・・という事になるケイマンSのルックスは――当然ではあるのだが――やはりパッと見では「ボクスターのクーペ版」という印象を放つものだ。

前述のように、その全高はトップをかけたボクスターとわずかに1センチしか違わないのがケイマンS。だが、それ以上に“高さ"を感じさせるのはルーフトップ部分がボクスターほどには平坦でなく、頭頂部の位置がハッキリとしたプロポーションでもあるからだろう。そうした頂点からなだらかに下降線を描くルーフのラインはそのままリアウインドウへと連続し、そうした流れが116×90cmにもなる大きなテールゲートを下降しきったところでその勢いはリアスポイラーによって断ち切られる。

ボクスター同様の可動ロジックを備えつつもそれとは異なって格納時にも完全にボディラインとは一体化せず、いわゆるダックテール調の処理を見せるのがこちらのスポイラーのデザイン。ちなみに空力データはCd値が0.29で、揚力係数はフロント側が0.07、リア側が0.05と殆ど“ゼロリフト"の値が発表されている。

ダッシュボードやドアトリム部の基本デザインがボクスターと同様な上、さらにドライビング・ポジションについてもボクスターと同じスタンスが継承をされているので、ドライバーズシートへと乗り込みシートやステアリングの調整機能を用いてポジションを決めた段階での雰囲気というのは、これもまた「ボクスターのそれとほとんど同じ」という事になる。

もちろん、振り向けばそこに広がる風景は背後がすぐにリアウインドウというボクスターとは全く異なるし、細かくチェックをすればメーターフードに新たに金属製のグリッドが採用されるといった違いも見出す事は出来るのだが、逆にいえばその程度が「ボクスターとの差」の全てになると表現しても良いのだ。

両者の血縁関係の濃さを最も強く意識させられるのはインテリア、と言って差し支えない。

ただし、前出の巨大なテールゲートの内側に広がるラゲッジスペースは、ハッキリとボクスター以上だ。ボクスターがリアトランクとして用意をする空間部分に加え、ケイマンではそれと連続をする“エンジンルーム"の上部もある程度を荷物用のスペースとして使う事が出来るからだ。

ミドルクラスのスーツケースが立てた状態ですっぽりと収まる150Lのフロントトランクを加えると、ケイマンのラゲッジスペース容量は410Lという数字で表される。単純に数字で語るならば、これはちょっとしたセダン並みの大きさ。いずれにしても、この点では「2シーターのスポーツモデルとして随一の実用性の持ち主」と評価を出来るのがケイマンのパッケージングなのである。

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河村 康彦
筆者河村 康彦

1960年東京生まれ。工学院大学機械工学科卒。モーターファン(三栄書房)の編集者を経て、1985年よりフリーランスのモータージャーナリストとして活動を開始し、現在に至る。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員、ワールド・カー・オブ・ザ・イヤー選考委員、インターナショナル・エンジン・オブ・ザ・イヤー選考委員 などを歴任。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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