ポルシェ 911ターボS 試乗レポート(3/3)
- 筆者: 森口 将之
強烈な加速とは裏腹に乗り心地の良さは911カレラより上
でも安定性重視というわけじゃない。1,590kgのウェイトは911としては重量級なのに、カレラよりはるかに軽快にコーナーをクリアしていく。
操舵の瞬間のエンジンの揺れを防ぎ、カチッとしたターンインを実現する可変エンジンマウントや、後輪左右の駆動力を変えるトルクべクトリングというハイテクが、このスーパーハンドリングに貢献しているのは間違いない。
しかも驚くなかれ、乗り心地まで911カレラよりいい。
フロントに235/35ZR19、リアには305/30ZR19という超扁平タイヤを履いているとは思えない。
電子制御可変ダンパーPASMがノーマルでは、フワフワした感触を受けるほど。ラグジュアリーセダンに負けない快適性の持ち主なのだ。
ポルシェが考える理想の911とは?たぶんその答えは、このターボSであるはずだ。
とことん速くて、安定していて、ラクでもある。実用性や快適性にも秀でたスポーツカーという911の持ち味を、バランスを保ったまま極限まで高めたスーパーポルシェだった。
911人気の高い日本にあって、なぜかターボ系の評価はイマイチだ。
2,000万円以上ならポルシェではなくフェラーリと考える人が多いからだろう。もったいない話だ。
911の真髄はターボSにあるのだから。
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