立ち位置を変えず進化を続けてきたポルシェ 911にタルガトップを備えた「911 タルガ4GTS」試乗レポート(1/3)
- 筆者: 渡辺 陽一郎
日本に定着している高級輸入スポーツカー
「クルマ離れが進み、特に趣味性の強いスポーツカーが売れない」といわれるが、伝統のあるポルシェは今でも一目置かれる存在だ。2015年には日本国内で6690台のポルシェが登録された。ブランド全体で、日産「ノート」やトヨタ「ヴィッツ」の1ヶ月分と同程度ではあるが、輸入車では中堅レベルになる。クライスラーのジープブランドとほぼ同じ台数だ。
また2015年に登録されたトヨタ「86」も6688台でほぼ等しい。そう考えると、ポルシェは高価格の輸入スポーツカーとしては、日本に定着しているブランドと考えて良い。
ただしポルシェの売れ筋車種を見ていくと、印象が少し違ってくる。ポルシェといえば生粋のスポーツカーと思われているが、今は車種構成が増えた。スポーツカーの911/ボクスター/ケイマンに加えて、SUVのカイエンとマカン、5ドアハッチバックのパナメーラもある。
特にSUVはファミリーカーとしても使いやすく、価格が比較的安い。カイエンは859万909円、マカンは685万円から設定があるから売れ行きも好調だ。
ポルシェに限らずメルセデス・ベンツもコンパクトな「Aクラス」や「GLA」で売れ行きを伸ばし、BMWには前輪駆動で3列シートの「2シリーズグランツアラー」が加わった。グローバル化を踏まえた選択肢の拡大は、「選択と集中」という合理化が流行る中では景気が良い。今の商品戦略は、ユーザーにとって前向きと違和感が同居するものだろう。
またポルシェのSUVに不自然さを感じたとすれば、従来のブランド構築が成功している証ともいえる。所有できるか否かは別にして、スポーツカーのポルシェは数多くのファンを育て、支えられているわけだ。
このような流れの中で、長年にわたってポルシェの本道とされる911を改めて試乗することにした。
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