ポルシェ 911 ターボ 試乗レポート/大谷達也(1/2)
- 筆者: 大谷 達也
- カメラマン:ポルシェジャパン
キング・オブ・911
“ポルシェ911ターボ”
スーパーカー世代であればその名を聞いただけで胸がキュン(古い?)とするくらい、心に深くその名が刻まれたモデルだろう。
初代911ターボがデビューしたのは1973年。それからちょうど40年の歳月を経たいまも、911ターボはポルシェのフラッグシップモデルとして威光を放ち続けている。
もっとも、この40年間で911ファミリーは着実にその数を増やしており、それにあわせて911ターボの位置づけも微妙に異なってきた。特にGT3が登場してからは911のフラッグモデルを巡る論争が激化。そのなかで一応の結論として受け入れられてきたのが、「ハンドリングのGT3」に対して「エンジンパフォーマンスの911ターボ」というものである。
たとえば先代(997)で比較すれば、1400kgを切る軽量ボディにハンドリング最優先のソリッドなサスペンションを装備し、8500rpmまで回る3.8リッター自然吸気エンジンを6MTで操って味わい尽くす「GT3」に対し、「911ターボ」と、その高性能バージョンである「911ターボS」は、1600kg近いボディを650Nm(ターボSは690Nm)の巨大トルクでグイグイと押し出す加速感に浸りきるのが真骨頂。いうなれば、「GT3」はピュアハンドリングスポーツ、“911ターボ”はハイパフォーマンスGTカーとジャンルが異なっているので単純な比較は無意味というのが、ポルシェを愛するファンたちの円満な結論づけだった(以下、911ターボと911ターボSをひとまとめに指す場合には“911ターボ”と表記させていただく)。
ただし、991タイプにモデルチェンジした“911ターボ”の国際試乗会に参加して、ひとつだけはっきりと印象に残ったことがある。それは「エンジンパワーではもちろんのこと、ハンドリングの楽しさを含めてもGT3に“キング・オブ・911”の座を譲り渡すつもりはない」と、“911ターボ”開発陣が固く決意しているように思われたことだ。なにしろ、試乗会の会場はブリスターベルクと呼ばれるドイツ国内のサーキット。全長4.2km、テクニカルな中高速コーナーの続くこのコースで“911ターボ”のパフォーマンスをたっぷり味わって欲しいというのが試乗会の主旨なのだから、ヴァイザッハがこのモデルのハンドリングに強い自信を持っていることは間違いないだろう。
シャシーのポテンシャルが格段に向上し、優れたコーナリング・パフォーマンスと快適性を両立
では、“911ターボ”は991タイプになってどんなふうに生まれ変わったのか?
その最大の違いは、ホイールベースが100mm長く、前後のトレッドが51/42mm(ターボS:49/42mm)広くなった最新の991シャシーを得たことだ。これによりシャシーのポテンシャルが格段に向上し、優れたコーナリング・パフォーマンスと快適性を両立できる土台ができあがった。
この素性のいいシャシーに盛り込まれたのが、様々なハイテクデバイスである。たとえば、GT3で初お目見えしたリア・アクスル・ステアはコーナリング時に後輪のトー(クルマの進行方向とタイヤの向きとのズレ。この値によってハンドリング性能が大きく変化する)を電子的にコントロールすることにより、低速時の取り回しのよさと高速時の安定性の高さを同時に達成した。
アダプティブ・エアロ・ダイナミクスは空力特性を走行状況によって可変させるシステム。リアウィングの角度や高さを変えるものであればこれまでにも採用例はあったが、ポルシェはフロントのチンスポイラーを伸縮可能とすることで、フロントのダウンフォースを増やしたり、もしくはアプローチアングルを拡大するなどの可変制御を実現した。もちろん、フロントだけでなくリアウィングも調整可能となっている。
電子制御油圧多板式クラッチを用いる4WDシステムは先代の「997」で登場したもので、「991」でも基本形式に変わりはないが、その制御はより緻密で素早くなった。特に注目されるのが、フロントアクスルに置かれた油圧多板クラッチを水冷式としたこと。これにより、フロントにより多くのトルクを配分できるようになったという。
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