充実装備に戦略的価格設定。ドイツ車的な側面も持ち合わせるプジョー 308 GTライン試乗レポート(1/3)

充実装備に戦略的価格設定。ドイツ車的な側面も持ち合わせるプジョー 308 GTライン試乗レポート
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ドイツ車的な側面も持ち合わせるフランス車

プジョー 308GTライン

フランス車には乗り心地が柔軟で快適というイメージが伴うが、プジョーのコンパクトな車種では少し硬く感じることがある。

特に1999年に輸入を開始した「206」は、街中でこの傾向が強かった。硬い代わりに操舵感は機敏で峠道を楽しく走れたが、「石畳に鍛えられたから、荒れた路面でも快適性を損なわない」という印象ではなかった。

プジョーは1974年にシトロエンを吸収して、PSA(プジョー・シトロエン)グループを構成している。両ブランドはエンジンやプラットフォームなどを共通化しながら、指向性の異なるクルマ造りを行う。

現在のプジョーのラインナップは、コンパクトカーの「208」からLサイズセダン&ワゴンの「508」までと幅広い。多人数乗車の可能な「5008」なども用意されるが、全般的にいえば、フランス車の中ではドイツ車的な持ち味がある。長距離ドライブ時の快適性に配慮しながら、運転を楽しませることも忘れていない。

そんなプジョーの中核モデル「308 GTライン」を試乗することにした。

18インチタイヤ装着のスポーティー仕様が、ベーシックグレードよりも燃費が向上!?

プジョー 308GTライン
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プジョー 308は、「フォルクスワーゲン(VW)ゴルフ」などと同じ位置付けのCセグメントモデルだ。プラットフォームはPSAグループが新たに開発した次世代モジュラー型のEMP2を採用。アルミ素材などを使うことで、約70kgの軽量化を行った。

308の現行型は、5ドアハッチバックとワゴンのSWを用意して2014年11月に発売されている。この後、2015年7月に加えられたのが今回の試乗モデル、308 GTラインだ。

文字どおりスポーティーなグレードで、外観では専用のグリルやサイドスカートなどのエアロパーツ、18インチのタイヤ&アルミホイールを装着した。

エンジンは直列3気筒の1.2リッターでターボを備えている。動力性能は「308 アリュール」などのベーシックグレードと同じで、最高出力は130馬力(5500回転)、最大トルクは23.5kg-m(1750回転)。後者の数値は2.3リッタークラスに相当し、トランスミッションは6速ATを組み合わせる。

プジョー 308GTライン

ちなみにこのエンジンはシトロエンC4にも搭載され、最高出力や最大トルクの数値、6速ATのギヤ比も等しい。グループ内で共通化を進めている状態だ。

308 GTラインで不思議なのは、JC08モード燃費が18.1km/Lになることだ。ゴルフは1.2リッターターボが21km/L、1.4リッターターボが19.9km/Lだから数値自体には驚かないが、308の場合、16インチタイヤを装着したアリュールは16.1km/Lにとどまる。18インチタイヤを履いたスポーティー仕様が、16インチのベーシックグレードに比べて2km/L(比率に換算すれば12%)も燃費が向上するのは珍しい。

プジョー 308GTライン

この点をプジョー・シトロエン・ジャポンに尋ねると、以下のような回答が得られた。

「308 GTラインはアリュールよりも後に発売されており、エンジンのマネージメント制御がさらに進化しています。そのために動力性能のスペックは同じですが、燃費は向上しました」。

今のエンジンやATは電子制御によって作動するから、このソフトウェアによって燃費を含めたさまざまな性能が左右される。308 GTラインはアリュールに比べて8か月ほど後に発売されており、その間に日本仕様の燃費を進化させたのだろう。それにしてもグリップ性能の高い18インチタイヤを装着して12%の燃費向上だから、タイヤサイズが同じであれば20%くらいアップしたかも知れない。あくまでも数値の話とはいえ、これも308 GTラインの注目点だろう。

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渡辺 陽一郎
筆者渡辺 陽一郎

1961年生まれ。自動車月刊誌の編集長を約10年務めた後、フリーランスのカーライフ・ジャーナリストに転向。「読者の皆さまに怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も重要なテーマと考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を心がけている。記事一覧を見る

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