充実装備に戦略的価格設定。ドイツ車的な側面も持ち合わせるプジョー 308 GTライン試乗レポート(2/3)
- 筆者: 渡辺 陽一郎
- カメラマン:茂呂幸正
ライバルのVW ゴルフとはまた違った魅力
燃費数値の謎が解き明かされたので、いよいよ試乗することにした。
運転席に座ると、座面の前側が大きく持ち上がっている。腰がシートにスッポリと収まる感覚でホールド性が良い。スポーティーモデルとしては、床と座面の間隔が離れ気味で、着座位置が少し高く感じるが不都合はない。
シートはサイズに余裕があり、適度な柔軟性を持たせた。この座り心地は、ゴルフなどとは違うプジョーの魅力だろう。
後席はホイールベース(前輪と後輪の間隔)が2620mmに達するミドルサイズのハッチバックとしては足元空間が少し狭い。身長170cmの大人4名が乗車して、後席に座る同乗者の膝先空間は握りコブシ1つ弱にとどまる。前席と違って後席は着座位置が低く感じられ、腰が落ち込んで膝が持ち上がりやすい。
ゴルフでは同じ測り方で握りコブシ2つ分を確保するから、308をファミリーカーとして使いたいなら、後席の居住性を確認した方が良いだろう。
ただしワゴンの308SWでは、後席の不満はかなり解消される。ホイールベースが110mm長い2730mmになることで、後席の膝先空間も握りコブシ2つ弱まで広がるからだ。微妙な違いともいえるが、居住性に与える影響は小さくない。GTラインは308SWにも設定され、選択の幅を広げている。
308 GTラインの全長は4260mmで全幅は1800mm。ミドルサイズハッチバックとしてはワイドだが、全幅はゴルフと同じで全長も5mm短いだけだ。世界的には標準サイズになる。
前方を見るとボンネットは視野に入らず、メーターパネルが奥まった高い位置にあるので、視認性は良いが少し圧迫感が伴う。先ほど着座位置が高めだと述べたが、このインパネ形状で低い位置に座ると前方が見えにくくなりそうだ。側方や後方の視界も良好とはいえないので、購入するなら車庫入れなどの取りまわし性を試したい。
最小回転半径は5.2mに収まり、18インチタイヤを装着しながら小回りの利きを悪化させない。ゴルフも18インチタイヤのゴルフRを含めて5.2mになる。
スポーティーグレードでも小回り性能が良いのは、欧州車の特徴だろう。全幅がワイドだから、前輪の切れ角を大きく取れることも影響している。
細かいギヤ比で、快適な操舵感
動力性能は、1500回転以下ではターボの過給効果が薄れて駆動力が低下するものの、6速ATとあって不得意な回転域は変速スケジュールの面からあまり使われない。1600回転付近を超えると駆動力が立ち上がり、力不足は感じない。
3気筒エンジンとあって、2000回転前後では特有の振動を感じるが、ATにトルクコンバーターを使うこともあって相応に滑らかだ。マツダのスカイアクティブドライブ(6速AT)にも当てはまる話だが、トルクコンバーターにはエンジン特性を上手にカバーする効果がある。
最高出力は130馬力で発生回転数が5500回転だから、吹き上がりは平均的だ。基本的には実用型のエンジンだが、必要な動力性能は確保した。ATもギヤ比が細かい6速だから、高い加速力が必要な時は高回転域が維持される。
操舵感は軽快で素直に良く曲がる。正確性が高いわけではないが、車両との一体感は得やすい。タイヤは前述のように18インチ(225/40ZR18)で、銘柄はミシュランパイロットスポーツ3。車両重量は1290kgと若干重いが、旋回性能は十分だ。路面の状況も分かりやすい。
乗り心地は18インチタイヤを履いたスポーティーなグレードとしては快適に仕上げた。路上の細かなデコボコをあまり伝えず、段差を乗り越えた時のショックも穏やかだ。サスペンションがフロント側が独立式のストラット、リア側は車軸式のトーションビームでオーソドックスな形式だが、柔軟に伸縮してタイヤをしなやかに接地させる。前述のボリューム感のあるシートも、乗り心地に貢献している。
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