プジョー 307 試乗レポート

プジョー 307 試乗レポート
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“Feline”という名前を与えられリファイン

2001年のジュネーブショーでワールドデビューをしたプジョー307が、大幅なマイナーチェンジを受けて日本でも新発売となった。冒頭のタイミングからするとすでに丸4年が経過している計算。モデルライフの“後半戦”をVWゴルフをはじめとする並み居る最新のライバルたちと互角に戦うべく施された今回のリファインの内容は、エクステリアやインテリアをはじめかなり多岐にわたるものとなった。

グレード名称の変更を含め、大幅な車種バリエーション展開の変更が行われたのもこのマイナーチェンジの特徴だ。ハッチバック・モデルには全て “Feline”というネコ科の動物を示すサブネームが与えられ、このハッチバック・モデルにはシリーズ最強の177psエンジン車も設定された。サイドエアバッグへの新しい展開システムの採用や後突時の鞭打ちを予防するアクティブ・シートバックの新採用など、安全レベルの向上を図ったのも特徴。“見えるところ”にも“見えざるところ”にも抜かりなく手が加えられているのが最新の307シリーズという事になる。 。

全く異なる顔の表情

ところで、そんな新しい307をマイナーチェンジ前のモデルと見分けるのはたやすい作業。407ばりの“新世代プジョー・マスク”を与えられた新型のフロントビューは、これまでのモデルのそれとは全く異なる表情を示しているからだ。もっとも、こうした大胆な顔付きに対する評価は、人によって大いに分かれる可能性は高そう。ちなみにぼくには、極端なまでに大きなオーバーハングの前端にあの顔が与えられている407シリーズよりは、こちらの方が随分と親しみやすく感じられたのだが…。

クルマに乗り込んだ時点でも“新しさ”は認識出来る。

クロームリングが与えられたメーター周りはより質感が高まっているし、左右独立温度調整式のエアコンも新装備。ダッシュアッパーに設けられたマルチファンクション・ディスプレイもデザインが新しくなり、バックソナー付きモデルの場合は障害物までの距離がここにワーニング表示されるように進化もしている。

“さすがはプジョー車”のテイストがいっぱい

今回テスト行ったのは、前述のとおりFelineという愛称を持つハッチバック・モデル2台。いずれも2L車で、1台が177psエンジンを積んだMT仕様であるFeline Sport。もう1台が140psエンジンにATを組み合わせたFeline 2.0Sだった。

まずは日本ではより多くの販売が期待されるAT仕様でスタート。車両重量は1.3トンと決して軽いとは言えないこのモデルだが、スタートの瞬間から加速の力感はなかなかだ。今回はひとり乗りでのテストとなったが、これならば例え4人乗りでも加速力に不満を覚えるシーンは少なそう。ただし、相変わらず全般に低速ギアで引っ張り気味というシフトプログラムは必ずしも日本での使い方にはマッチしていると思えないのはちょっと残念。ATが4速仕様に留まる点にも、少々古さが感じられるこの頃だ。

一方、それよりも大きなパワーを絞り出す心臓を積んだMT仕様の加速が、スタートの段階ではむしろAT仕様よりも大人しいイメージだったのはちょっと意外。5000rpm以上でパワー感がグ~ンと伸びるこちらの心臓は、逆に4000rpm付近までの“低回転”での力感はさほどでもない印象がある。1速で 70km/h、2速で110km/hまで……と駆動ギア比が全般に高めだった事もそんなフィーリングにつながったようだ。

205/50の17インチ・シューズを履くいずれのモデルも、そのフットワークは「さすがはプジョー車」と感心の出来るスポーティなテイストがいっぱい。ワインディング・ロードをアップテンポに走ってもフロントヘビーゆえのアンダーステアなどはほとんど示さない一方、ゆったりとした街中の走りでも路面凹凸をなかなか軽やかにいなしてくれる点には感心させられる。

進化しているフランス車、変わったのは顔付きだけではない

全般に走りの質感が従来型よりも上がった、と感じさせられた要因には、静粛性が想像以上に高かったことも挙げられそうだ。ひと昔前までのフランス車には「走りは良いけど騒々しくてね…」といった印象が付き物だった。が、こうした高い静粛性を筆頭に快適性がグンと進化したこのようなクルマに乗ってみると、フランス車のキャラクターも時代と共に大きく変わってきた事を痛感させられる。

ところで、こんなハッチバック・モデルと同様に“新世代顔”へと変更を受けたのが、リトラクタブル式ルーフを備えるオープンモデルである『307CC』と、『307SW』/『307スタイル・ブレーク』というステーション・ワゴンモデル。これらを含め、全10種類以上の仕様の中から自分好みのモデルを選択が可能というのも、307というモデルの特徴点だ。

新しいフロントマスクを得てちょっとばかり“ミニバン風”だった見た目のイメージから脱却するのに成功をした307シリーズ。が、変わったのはそんな顔付きだけではないのである。

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河村 康彦
筆者河村 康彦

1960年東京生まれ。工学院大学機械工学科卒。モーターファン(三栄書房)の編集者を経て、1985年よりフリーランスのモータージャーナリストとして活動を開始し、現在に至る。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員、ワールド・カー・オブ・ザ・イヤー選考委員、インターナショナル・エンジン・オブ・ザ・イヤー選考委員 などを歴任。記事一覧を見る

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