強烈な加速が体験できるプジョー 3008GT ハイブリッド4と、魔法の絨毯いまだ健在!のシトロエン C5エアクロスSUV プラグインハイブリッド
- 筆者: 遠藤 イヅル
- カメラマン:和田 清志
2年ぶりの開催となったJAIA輸入車試乗会2022。仏メーカーもSUVを多数販売中で、特にグループPSAジャパンのラインナップには目をみはる。今回はプジョー 3008GT HYBRID4とシトロエン C5エアクロスSUVの2台を紹介する。
メーカーごとの個性鮮やか!SUVでもその性格を反映するプジョー&シトロエン
フランスのメーカーでもSUVラインナップの充実が進んでおり、積極的に国内導入が行われている。中でもステランティス(グループPSAとFCAの合併会社)が取り扱うプジョー/シトロエン/DSオートモビルは、販売車種の多くをSUVが占める。かつてはプジョーとシトロエンは完全な別会社だったが、1970年代に合併。現在でも、スポーティなプジョー・個性豊かで乗り心地が良いシトロエン、さらにシトロエンから派生した上位ブランドDSオートモビルの3ブランドが、それぞれのイメージを大切にしたクルマづくりを続けている。
その個性はSUVにもしっかり反映されており、3ブランドの差別化も徹底。同じプラットフォームや部品を使っているとは思えないほどに、外観や乗り味が異なっている。
海外ではハイブリッドを展開していたプジョー&シトロエン
日本法人のグループPSAジャパンが輸入するSUVのひとつ「3008」。Cセグメントのハッチバック「308」のSUV版という位置付けだ。世代的には2代目を迎える現行型は2017年にデビュー。2021年1月から日本でも販売を開始したマイナーチェンジモデルでは、プラグインハイブリッド版の「GT4ハイブリッド4」追加された。
プジョーにハイブリッド!? と意外な感じもするが、実は本国のグループPSA(当時)は2008年にディーゼルエンジンが前輪、モーターが後輪を駆動する4WD方式の「ハイブリッド4」を発表。2011年からDS5と3008に搭載して販売(日本未導入)していた。さらに2018年にはPHEV(プラグインハイブリッド)システムを公開。現在では、3008や508、C5エアクロスなどに採用されている。
プジョーの市販車史上最強! 良い意味で期待を裏切られる「プジョー3008GT ハイブリッド4」
3008GTハイブリッド4のパワートレーンは、最高出力200psの1.6リッターガソリンターボに110psのモーターを組み合わせ、後輪を駆動する最高出力112psを発生するモーターをリアにも搭載することで、システム全体では最高出力300ps・最大トルク520Nmに達する。この数値は、歴代プジョーの市販車で1位とされている。
ドライブモードは「ハイブリッド」「スポーツ」「4WD」「エレクトリック」の4種類があり、小さなステアリング越しに眺められるメーター内には、どのモードで走行しているか、エンジンのオン・オフ、モーターの作動、駆動軸、回生の作動などがリアルタイムでわかるようになっていて楽しい。電池残量が多ければ、通常はモーター走行が主体で、エンジンがオンになる場面は少ないが、ハイブリッドモードの状態でもアクセルを少し多めに踏み込めば、トータル300psというデータを証明するような目覚ましい加速を見せる。
見た目は少しスポーティなSUVで、大仰な空力付加物もないが、走らせるととても速いという、良い意味で見た目を裏切ってくれる。遮音性も高いために、気にせずに乗っていれば何がクルマに起きているのかわからないほどに、エンジンからモーターへの切り替えはスムーズだった。なおモーターのみで走るエレクトリックモード(EV走行)での航続距離は、WLTCモードで64km(満充電時)である。
少し硬めながらも体のサポートに優れるシートは、座り心地に優れる。車重はハイブリッド化によってガソリン版より400kgほど重くなっているが、それがクラスを超えた重厚感をもたらしているように感じた。プジョーらしく引き締まっているがよく動くサスペンションは、相変わらずいい仕事をしてくれるので、80km/hほどで流すバイパスでは快適至極だった。
このクラスのSUVで500万円オーバーという価格は決して安くはないが、ガソリン・ディーゼル版にはない4WD、よくできたハイブリッドシステム、洗練された内外装に理知的な雰囲気を漂わせる3008GTハイブリッド4は、国内では同クラスに三菱 エクリプスクロスPHEVがライバルに存在する。スポーティな4WDという性格も近いが、高級感が高くクラスレスなSUVという面では、3008GTハイブリッド4に軍配が上がる。実はとんでもなく速い、という奥ゆかしさも好ましい。
ダントツに良い乗り心地!パワートレーンも黒子に徹するシトロエンC5エアクロスSUV プラグインハイブリッド
同じハイブリッドシステムを搭載するシトロエンのSUV、C5エアクロスSUV プラグインハイブリッドも試すことができた。Dセグメントクラスの「C5」という名前を冠するが、クラス的にはCセグメントにあたり、同門の3008を兄弟車とする。
シトロエンといえば座り心地の良いシート、素晴らしい乗り心地がもたらす快適性が自慢。その特長はSUVにおいても堅持されており、2019年から日本での発売が始まったC5エアクロスSUVでも、PHC(プログレッシブ・ハイドローリック・クッション)と呼ばれる新開発のサスペンションによって、かつて「魔法の絨毯」とまで言われたハイドロニューマチックサスペンションを彷彿とさせる乗り心地を実現した。
そのC5エアクロスSUVに、待望のハイブリッドモデルが追加されたのが2021年の6月。プラグインハイブリッドシステムは3008に準ずるが、C5エアクロスSUVでは、プジョー508のハイブリッドと同様、後軸モーターを持たな時FFで、システム合計出力は225ps /360Nmに抑えられている。
数種のドライブモードが用意されるのは同じで、ハイブリッドモードでもリチウムイオン電池に残量があるうちは基本的にEV走行優先となるのも3008と同じ。ただし、こちらには「4WD」モードがない。乗り心地の良さはいうまでもなく、試乗会で乗った他のSUVでは明確に感じた高速道路の継ぎ目すら、トトン!というわずかな音だけで乗り越える。かといって足が柔らかくて車体を上下させることもない。
プジョーとシトロエンでは、同門なのに作り分けが徹底している、と先程書いたが、現在のパワーソースの使用状況がビジュアルで克明にわかるプジョーと異なり、昔から「エンジンは黒子でいい」という考えがあるシトロエンでは、いまどこのモードに入っているかがわかるのみ。抜群の乗り心地、座った瞬間に沈む快適なシートに身を任せ、必要な情報だけを視野に入れてどこまでも走っていく、というシトロエンらしいライドが味わえる。1950年代から、クルマで安楽に移動することを突き詰めてきたシトロエンの哲学は、現代でも脈々と受け継がれているのを感じた。
[筆者:遠藤 イヅル/撮影:和田 清志]
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