プジョー 2008 海外試乗レポート/藤島知子(3/3)
- 筆者: 藤島 知子
FFでも高い制御でトラクションを確保する『グリップコントロール』
そして、いよいよ日本に導入予定の3気筒1.2リッター自然吸気で82馬力のガソリンエンジンに試乗してみることに。日本にはAT免許でドライブできる2ペダルのシングルクラッチの仕様が導入されるようだが、今回試乗できたのは5MTで195/60R16のサマータイヤを装着したモデルだった。
2008はMT車のみに3008の欧州仕様にも設定されていた雪や砂地、泥といった滑りやすい路面でFFながら高度なトラクションコントロールの制御でトラクションを確保する『グリップコントロール』を設定しているが、FFならではのシンプルな構造を採用することで、ボディの重量をわずか1045kg程度に抑えることに成功している。
そうしたメリットはオンロードのドライブにも生きていて、出足の加速は想像以上に軽快だ。街乗りから高速までの幅広いシーンで十分なパワーを発揮するので、わずか1.2リッターという小排気量であっても、デメリットは感じにくかった。
ただ、今回試乗したMT車はトラクションが得づらい2千回転以下で滑らかに走らせるためには、丁寧なペダルワークが要求される一面もみられた。
洗練を求めるのであれば、ゆとりがある1.6リッターがベターだと感じたのも事実だが、最近のモデルはドライバーのスキルを問わず、誰もがスムーズに扱える優等生なモデルが多い。クルマと呼吸を合わせながら走らせるという意味では、上手く走れた時に充実感も得られることがむしろ新鮮に映った。
ダウンサイズ層のニーズを含め、幅広いユーザーの心を掴みそう
プジョーでは今後、SUVやCUVがBセグメントにおいて2番目に支持を得るボディタイプになると見込んでいる。
ヨーロッパの都市部では限られた駐車スペース、特に都市部では縦列駐車をせざるを得ない、狭い路地をすり抜けるシチュエーションに出くわすが、コンパクトカーが主流の実情は日本の道路事情に近い。
そんな環境下で生まれた2008は、コンパクトなモデルでありながら、高級サルーンさながらの質感を実現したデザイン、限られた空間を広く使うスペースユーティリティに、プジョーならではの操縦安定性の高いドライブフィールに、低燃費を両立させた新しいモデル。
扱いやすくお洒落なモデルを求めるユーザーから、クルマ選びにコダワリをもつ層まで、そのボーダレスな魅力がダウンサイズ層のニーズを含め、幅広いユーザーの心を掴みそうだ。ひとクラス上のCセグメントではすでに激戦が始まっているが、私たちにとって身近な小型車市場においても、2008の登場をキッカケに盛り上がりを見せていくのが楽しみだ。
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