日産 エクストレイルハイブリッド「速攻」試乗レポート/渡辺陽一郎(3/3)
- 筆者: 渡辺 陽一郎
- カメラマン:和田清志・茂呂幸正
ライバル車と比較しても納得の価格に
価格についても触れておこう。「エクストレイル 4WD 20Xハイブリッド エマージェンシーブレーキパッケージ」の価格は301万1,040円。ノーマルエンジンを搭載した「4WD 20X エマージェンシーブレーキパッケージ」と比較すると、装備の違いを補正して(ハイブリッドにはLEDヘッドランプやリアスタビライザー、ボディ底面の空力パーツなどが備わる)、実質的に34万円ほど高い。
ちなみにトヨタのハイブリッドはメカニズムが凝っていることもあり、カローラアクシオの場合で換算額は約40万円に達する。実質34万円なら妥当だろう。スカイラインの直列4気筒2リッターターボと、V型6気筒3.5リッターハイブリッドの実質価格差は、同様に装備を補正して47万円くらい。この比較でも、エクストレイルハイブリッドは満足できる価格となっている。
そしてエコカー減税は、エクストレイルハイブリッドは免税、ノーマルエンジン搭載の4WDは自動車取得税が40%、重量税が25%の減税だから、前述の34万円の実質価格差は約29万円に縮まる。4WDモデルのJC08モード燃費は、ハイブリッドが「20km/L」ノーマルエンジンが「16km/L」だから、実用燃費がJC08モードの85%、レギュラーガソリンの価格が1リッター当たり140円で計算すると、1km当たりの燃料代はハイブリッドが8.2円、ノーマルエンジンが10.3円になる。1km当たりの差額は2.1円だ。
となれば減税を含んだ実質差額の29万円を取り戻せるのは、14万kmを走った頃になる。少し距離が長いが、1年間に1.5万kmを走るユーザーであれば約9年だ。動力性能はハイブリッドが力強く、運転も楽しめるので、長距離を走る方ならばハイブリッドも視野に入れてグレードを選びたい。
今後は「クリーンディーゼルターボ」の設定も検討して欲しい
単純な損得勘定だけでなく、ディーラーの試乗車で乗り比べをすれば、ハイブリッドの魅力が燃費の節約にとどまらないことに気付くはずだ。その価値をどのようにとらえるかで、ハイブリッドとノーマルエンジンの選択が決まる。
この考え方はエクストレイルハイブリッドに限らず、趣味性の強い車種のハイブリッド全般に当てはまる傾向だ。
クルマの価値は、燃費性能、価格の割安感など、お金の損得勘定だけで決めることはできない。また走行性能や乗り心地だけでも決められない。なのでいろいろなバリエーションを用意することが、ユーザーのメリットに繋がるわけだ。
エクストレイルも、今後はクリーンディーゼルターボの設定も検討して欲しい。それだけの価値を持つSUVなのだから。
日産 エクストレイルハイブリッド 20X HYBRID“エマージェンシーブレーキパッケージ”[4WD]
全長×全幅×全高:4,640×1,820×1,715mm/ホイールベース:2,705mm/車両重量:1,630kg/燃料消費率(JC08モード):20.0km/L/総排気量:1.997L/最高出力[エンジン]:108kW(147PS)/6,000rpm/最大トルク[エンジン]:207N・m(21.1kgf・m)/4,400rpm/最高出力[モーター]:30kW(41PS)/最大トルク[モーター]:160N・m(16.3kgf・m)/動力主電池 種類:リチウムイオン電池/トランスミッション:エクストロニックCVT/タイヤサイズ(前後):225/65R17/価格:3,011,040円
この記事にコメントする