日産 新型 エクストレイル[3代目/2013年末フルモデルチェンジ]試乗レポート/今井優杏(2/3)
- 筆者: 今井 優杏
- カメラマン:オートックワン編集部・NISSAN
伝統を受けつきながらも、高級感のある質感
さらに特筆すべきは内装で、とにかく質感が高い。高級感があるのだ。
クロスカントリー車というよりもまさに高級SUVと言った方がしっくりくる。
カップホルダーは深く、ドリンクを包み込むような形状に加えて、保温保冷機能を備えているため、過酷なアウトドアでも適温のドリンクが飲めるというおもてなし機能は欧州高級車に搭載されているようなクオリティの機能だから、かなり嬉しい。
また、エクストレイル伝統のヘビーアウトドア仕様にももちろんきっちり対応。
防水シート、防水フロア、防水ラゲッジボードなどは健在なので、雪にまみれたスノーボードをガサっと荷室に突っ込み、自分も雪まみれのまま『ワイルドだろ~う?』(やや古ネタですみません)と運転席に乗り込んだとしたって、あとからさりげなくサッと拭き取ればいい。
もちろんこれ、サーファーにもお勧めの機能。
公共のシャワー設備なんか設置されていないポイントで海に入ったり、なんだかんだ塩水が付いたままシートに乗り込む機会の多い『本気波乗り』の皆さんには、とてもありがたいとおもう。
そうそう、多彩な荷室のアレンジは、なにもアウトドアやレジャーのときだけに有り難い機能じゃない。スーパーでお買いものしたあとの、滑りやすいビニール袋だってパーテションのように仕切りを立てればちゃんとホールド出来る、『カシコイ子』なんである。 さらに今回、大きなトピックスとしては3列シート仕様が追加されたこと。
3列目はかなりのエマージェンシーサイズで、乗降性も決して良いとは言えないのだが、3列シート仕様を選べば2列目シートがスライドするレールが付くので、すべての乗員の居住性を確保したまま、7人きっちり乗られる。あれば安心という人はとても多いはずだ。
複数の世界初採用の機能を搭載し、抜かりない走破性
エクストレイルといえば悪路の走破性をイメージする人も多いかと思うが、もちろんその辺もぬかりない。
シャシー制御として、悪路を走行中に鼻先が上下するようなピッチング挙動が起こった際、エンジントルクやブレーキを逆方向にかけ、車体をフラットにする「アクティブライドコントロール」が世界初採用された。
これはトヨタがプリウスα以降のハイブリッドカーに採用している『バネ上抑振制御』と同様のものだが(以前クラウン・マジェスタの記事内で解説してます。ご参照くださいませ)、トヨタではハイブリッドのモーターのトルクを使って行っている制御を、エクストレイルではエンジンのトルクを使用して行っている。電気のように瞬間的な信号ではないものの、日産としてやりたいことは充分にやれている=アシスト出来ているという判断だ。さらに荒れた路面を通行中の大きなピッチングに対しては、加えてブレーキまで使用する。抑振にブレーキまで使用するのが世界初、というわけだ。
また、コーナリング時にCVTのギア比を制御し、エンジンブレーキをかけて速度を抑制する「アクティブエンジンブレーキ」も世界初採用だ。
さらに四輪それぞれのブレーキを制御し、走行ラインをキレイにトレース出来る「コーナリングスタビリティアシスト」は、同社のシーマやフーガなど高級セダンに使用されているものだが、車高の高いエクストレイルではさらにコーナリング後半まで制御を効かせることで、安定したコーナー出口を目指せる。
これらの技術はVDC(横滑り防止制御)やCVT、エンジンなど、ごく普通に装備されているものを使って従来型の性能をさらに発展させたもので、新しいシステムや機械を搭載する必要性がないため、すべてのグレードに標準装備されるのが心強い。
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